「神は細部に宿る。サンマは神?、民主主義は神話に過ぎないという物語。」サンマデモクラシー kumiko21さんの映画レビュー(感想・評価)
神は細部に宿る。サンマは神?、民主主義は神話に過ぎないという物語。
たかがサンマ、されどサンマの物語。
ウシさん、幼い時分の娘さんを亡くし、夫にも先立たれ、エネルギーの矛先がサンマ裁判に集約されたのでしょうね。何れにしても太っ腹で、大したものです。
実は発端から運命的に繋がっていた弁護士の厚かましくもたくましい人生、占領時代の高等弁務官の交代(首のすげ替え)が相次いだ(占領期間四半世紀で十五人以上?)わけの一端が垣間見られたこと(サンマ以外にも普通に考えれば苦しい立場)、どうしたってこの人抜きには沖縄は語れない、瀬長亀次郎の貴重な記録、、、、つながるつながる沖縄ワールドヒストリーが集約されていました。
つながるといえば、時は下って終盤、菅官房長官(当時)が「辺野古しかない」と最後通牒を突きつけるカットがあり、翁長知事(当時)が思わず口にした一言が刺さりました。
統治者にとって、「民主」とは、「民が主(あるじ)」なのではなく「民の主」なのだそう。法治国家ゆえ、法律(統治下の沖縄では布令)さえ変えれば裁判結果何するものよの精神。今の日本、民の主(あるじ)は誰なんだろう?
沖縄の落語家や川平慈英をナレーターに据えたのは、重苦しさ・事の深刻さをストレートに訴えるよりも、テンポ感を重視する事でこういった構造が決して過去のものでないことを示唆するかのような、クリエーティブの考え方だと思いました。
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