「これは、昭和版富山の女房一揆か」サンマデモクラシー 知徳さんの映画レビュー(感想・評価)
これは、昭和版富山の女房一揆か
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「民主主義のショウウィンドウ」を標榜したはずの米軍占領下の沖縄で起きた大衆魚サンマへの課税問題。それを決めたのが布令といわれる琉球政府による絶対的な命令だった。その法的な根拠がまったくないことに怒った糸満の魚商、玉城ウシが琉球政府高等弁務官の出したこの布令に異議を唱え、粘り強く戦ったことが、結果としてその後沖縄本土復帰運動の起爆剤となってゆく。ウシとそれを支えたラッパーこと、弁護士下里恵良。布令によって被選挙権を剥奪されたカメジローこと、瀬長亀次郎。軽微な罰金刑にもかかわらず、立法院議員当選を剥奪されたトラこと、友利隆彪。サンマ裁判と友利裁判は琉球政府の手を離れ、裁判移送という形で、アメリカ本土でアメリカ人の手によって裁かれることになる。結果として本土復帰運動に火がつき、大きな政治運動となってゆく。
ウシのサンマ裁判は、富山の女一揆、いわゆる米騒動の始まりを思い出させずにはいられない。映画の進行役をつとめる噺家、志ぃさーの語り口も絶妙で、オススメです。
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