「終始消化不良の原作レイプ作品」スパイラル ソウ オールリセット カガチさんの映画レビュー(感想・評価)
終始消化不良の原作レイプ作品
前作?と呼んでいいのか「JIGSAW」の方がはるかにマシだった。
SAWの魅力とは、"薄汚い廃屋で行われるデスゲーム""ゲームの被験者は裁きを免れた悪人""最後の口あんぐりなどんでん返し"などが挙げられるが、本作はそれらをネットで確認し、原作を見ることなく片手間に作った言わば「同人作品」みたいなもの。
ストーリーはまだ良かった。まぁ復讐物の犯人が発端の事件の被害者の息子なんて擦られた設定を持って来た時点で、この映画はもはやミステリーでは無いが。
何が酷いって、これまでの作品では絶対無かった禁忌「結局犯人がジグソウの模倣犯」をやってしまった事。
これまでのゲーム支配人はあくまでジグソウの後継者や弟子、一部暴走した者もいたが、結局は後継者が後に立った。
まぁ続編なりなんなりで、もしかしたら今作の犯人は実はジグソウの弟子だった…的な後付けが行われるかもしれないが、本編中にその解説は無し。
言ってしまえば、警察に恨みを持った犯人がジグソウを真似て、腐った警察官をデスゲームに誘った。ただそれだけの作品。SAWシリーズに含む必要がまるでない。
※本作のタイトルからして、恐らく制作側もSAWシリーズのスピンオフ的な立ち位置で制作したのかもしれないが、ならば尚更模倣犯はダメ。原作の設定がまるで活きていない。
スピンオフ作品は、メインの作品と切って考えられがちだが、それはあくまでメインと設定を共有している場合。
本作から「SAW」の設定を取っ払った所で、映画としては何の影響もない。
それって"SAW"の名を冠する意味ありますか?
後は、ビックリするくらい犯人が予想通りだったこと。
あの時点で裏切ったら意外で、しかも死に方が不自然な人なんて一人しかいない。
しかも署への配属が例の事件発生間際で、主役に従順。そんな人が捜査で殉職、しかし遺体は誰の物か分からない。こんなのバカでも犯人が分かる。
それを最終局面で惜しげもなく例の名曲にのせて披露されても、何にも驚かない。
推理のし甲斐も意外性も何にもない、ただの犯人発表。
SAWを超える犯人発表が出来るとは到底思えないが、それならもっと容疑者を増やしてほしかった。
肝心のゲームの内容だが、何とも評価しがたい…ギリ及第点?
指のヤツは良かったが、最初の舌のヤツとあつあつ蝋の脊椎のヤツは、クリア条件満たしても致死率が高すぎて、あまりにも救いが無い様に思えた。
そして何より評価を下げているのが、最後の操り人形。
あの状況だから何とも言えないが、被験者の意識がある中であの仕掛けはダメじゃないか?
もし元所長の知り合いがSWATの隊員にいたら?元所長がもうろうとする意識の中で助けを求めたら?
中盤の伏線回収をしたかったのだろうが、もはや設定先行の派手さ&シメの重要さを欠いたゲームに思えた。
総評としては、もしSAWシリーズでオススメ作品を列挙しろと言われても、頭の隅にも浮かばない、サミュエル・L・ジャクソンファンにもオススメできない何もかも中途半端な駄作。
どうしてもSAWシリーズ制覇したい…と言う人にも微妙。だって徹頭徹尾全くジグソウの影も形も無いんだから。