なにを見ようかとNetflixをさがしていてこれをみつけた。
かるいテレビ映画な装丁に飛ばしそうになったが、クレジットにSaoirse-Monica Jacksonがいた。
デリーガールズでだれがいちばんかといったらホットなJamie-Lee O'Donnell“ミシェル”。でもドラマを牽引しているのは愉快なSaoirse-Monica Jackson“エリン”だ。
なんでアメリカのヤングアダルトドラマにSaoirse-Monica Jacksonが?──と思って概要を見たら主人公がアイルランドに留学する設定だった。
さらにヴァネッサレッドグレイヴを見つけて驚いた。(失礼ながら)ご存命を知らなかった。冠にデイムが付いていた。
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Imdb6.4、RottenTomatoesが53%と91%。大衆票が延びる数値があらわすように、かっちり予定調和するロマンチックコメディ。
お馴染みのドラマ要素──自分探しと、ノッティングヒルと、難渋な人に施せ──で構成されていて──
主人公はバイオリニストとして挫折を味わい、映画スターは自分の居場所に疑問を感じている。──からの自分探し──からの恋が始まるが、ふたりはスターと庶民、思わぬ抵抗に遭い・・・。
サイドストーリーとして、頑固婆キャスリーン(レッドグレイヴ)を懐柔しようとするうちに、隠された真実へ辿りつく。
わたしは昔見たファニア歌いなさいをまざまざと記憶していてレッドグレイヴが演じるとかわいそうな役がさらにかわいそうだった。
くさいところもあったが、泣かすところもあり、アイルランドの緑豊かな自然もいい。
“エリン”も持ち味を出していたし、ヒロイン役Rose Reidは縦に伸ばしたヘイリールーリチャードソンだった。
が、ノッティングヒル値が弱い。むろんノッティングヒル値なんていう言葉はなく今つくった言葉に過ぎないが、スターと庶民がもたらすマジカルな値をいう。
なんならローマの休日値でもいい。有名人と市井人がもたらす愉しさのこと。
本編におけるヒロインは撮影にきていた映画俳優と懇ろ(ねんごろ)になる──という筋書きだが、そのときめきに欠けていた。
ひるがえってこの値の難しさがわかる。
映画の役はたんなる設定に過ぎない。ペックは記者でヘプバーンは王女、グラントは書店店長でロバーツは女優。役者が役を演じている──だけのこと。だけど、かれらがほんとにそのものに見えてときめくマジックがある。──という話。
とはいえこれはヤングアダルトだしバジェットの規模感よりずっと健闘していたと思う。