かばのレビュー・感想・評価
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取材3年、制作7年間の持つ迫力
とにかく、浮いたセリフが一つもない。出てくるエピソードは、すべて、川本監督が取材の中で聞き取った事実ということがその理由だろう。
借り物の設定で、安易な感動を与えようなどといった姿勢は微塵もなく、その場所で全力で生きている人たちに正面から向き合って作られた映画だということが伝わってくる。
登場する先生たち、教え子たち、すべてが光っていた。いわゆる、名の通った俳優は出てこないが、全員素晴らしい。
映像的にもとても練り上げられていて、そういった足腰の部分がしっかりしているからこそ、観客にテーマが届いてくる。
とても力のある監督だと思った。
配信やDVD化をせず、きちんと届けられる場へ丁寧に届けるという川本監督の誠実さにも打たれた。
近くで上映の機会があったら、ぜひ鑑賞を勧めたい作品。
人間へのあたたかい眼差し
あったかい、あつい映画です。
他者への、人間への、あたたかい眼差しによって作られた作品。
いくつかのシーンでは涙がにじみました。
今の自分に欠けているもの、いつの間にか失ってしまったものがこの映画の中にある、とそんなことを考えさせられました。
いい映画
いい映画でした。
蒲先生たちに,もしも家庭があるなら
パートナーの理解がだいぶんないと
大変なことだろうなあとか,
自分を顧みない生活で体調崩さないでとか
いろいろ思ってしまいましたが
温かい先生たちと生徒の
人と人との魂のふれあいのお話でした。
川本監督から借金がたくさんあると
お聞きしました。
こんないい映画を撮ったのに
映画監督も大変なんだなあと思います。
「かば」がいろんなところで上映されて
またいい映画をつくって見せてほしいと思います。
知っているようで知らないこと。
1985年。大阪西成のとある中学校。荒れる子供達と真っ正面から向き合う教師達。実在した蒲先生をモデルにあの時代のリアルを描いた力作。
新任女性教師に啖呵を切る不良少年。「ここには部落、在日、沖縄しかいない。お前は何だ」と。それはきっと魂の叫び。彼らこそ自分が何者なのかを知りたかったに違いない。差別の本質を知らぬ者に平等を語る資格などないと思い知らされる。私達はちゃんと知らなければならない。
重苦しいテーマのはずなのに先生達はいつも明るく決して焦らず本当の意味で子供達を見守っている。それでも要所要所に発せられる言葉の重みや沁みるエピソードに何度も涙が出た。教え子の未来の為に振り下ろした拳はいつからただの暴力にすげ変わってしまったのか。ありがとうと声を詰まらせた母親の想いはいつからただの時代錯誤になってしまったのか。
ジャージに身を包んだチャー子が倒れこんだ生徒に立ち上がれ!と檄を飛ばす。立ち上がってこの差別にまみれた世界に自分の足で踏み出せと。
私は生まれてからずっと大阪で生きています。残念ながら今でも西成地区にはマイナスイメージを持っている人が多いです。正直私もそうです。ここには私の知ってる西成がありました。そしてそれ以上に私の知らない西成がありました。
部落か朝鮮か沖縄のどれ
と言うセリフは言い得て妙だと思いつつ、誤った歴史認識や整理されていない歴史教育を受けた世代が鵜呑みにならないことと、思い込みで可笑しくなった世代が変な反応をしないよう祈りつつ観た。と言うのが本当のことである。監督同席の公開で拝聴しその時に質問したかった「フィクション何割事実何割?」の意図もそう言うところにあるのだが、まぁ、そこよりも伝えたいメッセージがグッと伝わってくる映画ということで良しな映画🎬
良作だと思う
見ようと思いながら、年明けてしまった1本。これがまだまだ公開され続ける大阪って素晴らしい。監督のトークイベント付き上映。
監督の話では、差別に無関心だった人が関心を持つきっかけになればとの事。
1エピソードを除いて全て実話が元になっているらしく、年取って涙腺が弱くなったのか、4回ほど涙がこぼれ落ちました。
DVD化の予定も無いらしいので機会あれば、視聴をおすすめします。
チャー子先生の物語
大阪の西成区、なんとなく耳にする街の名前。
日雇い労働者の街のイメージ
そんな街に住み、生活する家族や生徒たちに寄り添う、
かば先生たちは、今の時代にはいないのだと思う
かば先生に師事し、生徒たちと向き合って成長する、
チャー子先生の物語なんだと、この映画を観て思った。
昭和テイスト満載の映画
在日朝鮮人の方や被差別部落出身の方とは、無縁の人生を送ってきた。或いは接していたかもしれないが、本人が隠していたかもしれない。
差別されている人が多い地区の公立中学校の生徒と先生の話。暗い話になりそうなところを明るくユーモアを持って描いて好感が持てる。こんな先生が担任だったら、羨ましい。希望が持てる終わり方をしていて後味がいいけど、現実はそうでも泣いだろうと偏屈な私は思ってしまう。星を0.5挙げなかった私のへそ曲がりのためです。
心に残る映画
携帯もパソコンもなかった1980年代。大阪・西成を舞台にさまざまな葛藤を抱えた若者や大人達が悩み、ぶつかり合いながらも心を通わせていくストーリー。
長い年月をかけてクラウドファンディングを募りながら作られた作品というだけあって、沢山の人の応援や愛情がこもった素晴らしい作品だった。
脚本も役者も演出も音楽も全てがマッチしていて、時代は変われど感情移入してしまう。
「全部の生徒に優しい先生でいてね。」
問題児だけじゃなく、悩みを心の内に秘めた生徒にも寄り添う大切さに気付くシーンに心打たれた。
この作品に出会えてよかった。決して商業的な映画ではないと思うが、円盤化・全国での上映を希望する。
自分の中にある日本の差別性にハッとし、参った⤵️
戦後まもなく葛飾の立石で生まれた自分も、近い世界にいたなぁー。
自分の田舎の村にも、山の合間に行っちゃいけない部落があった。
知らない間に、染み付いちゃったものがある。
逃げなかったチャー子先生 偉いなぁー凄い!
内容が濃く、様々なドラマから出来上がった映画。
ネットフリックスで、ドラマ化して欲しい。
きっと、たくさんの方が見てくれる。
みて欲しい!
This is Us 的構成の日本版
作れないかなぁー?
1.かば先生、先生たち
2.チャー子先生
3.リョウタ
4.ユウコ
5.卒業生のユキ
6.繁 野球
PS
バスのシーン、凄くいいです。
かば先生
ろくでもない母親がチャー子先生に「教師がよその家庭にズカズカ入り込んで!」と言うと、チャー子は「教師なことも忘れてたわ!」位のことを言い返していた。子供を思う熱量が凄い!かば先生を間近に見てたからか。この映画はチャー子の成長物語でもあると思う。
生徒の中ではリョウタとユウコ、卒業生のユキのエピソードが染みた。特にユウコちゃんの健気さが…あの環境でよくこんな美しい心のままで!応援します!
実話をもとにしたそうで、その後はみんな元気に暮らしてるのかな。35年前の話だから今頃はユウコちゃん50歳くらいか…
こう思いを馳せることが出来るのも、実話映画の良さ。
映画のあとのトークショー(主役の山中アラタさんと、睡蓮みどりさん)も面白かった。
大阪西成版・中学生日記。
この映画は資金的な問題もあり、実際に完成するまで、5年以上の歳月がかかっているらしい。
かば先生は実在し、チャーコ先生は本当は男の先生だったそうだ。
5年以上の歳月が流れると、子供は成長してしまうため、子供はキャストを入れ替えて撮影されている。
もし、この映画が短期間に撮影され、2時間以内の尺におさまっていたとしたら、いい作品になっていたと思う。
実際には、たくさんのエピソードが詰め込まれ、ちょっとストーリーの線があやふやになってしまった感がある。
もう少し、丁寧に、綿密に作られていれば、本当に「大阪西成版・中学生日記」になっていたと思う。
でも、悪くないですよ!ぜひ、映画館で観てみてください!
西成の景色と子供達が、いとおしくなってくる!そんなあたたかい作品だと思います。
こういう人間関係があった時代を知る意味はある
熱血スーパーティーチャー物語ではありません。中島みゆきをバックに腐ったミカンが運ばれていく話でもありません。本作は教師を含めた地域の大人と子供の「人付き合い」と「学び」のお話ではないでしょうか。
上映後のトークショーにて、パイロット版制作含め7年制作にかかってるそうで、最初の2年半はしっかり取材を重ね脚本を作り、実在の学校で実際にあったエピソードを全て物語に組み込んだそうです。(1つだけ創作有り)さまざまな登場人物にエピソードを散りばめているものの「起きたことは事実」だそうです。嘘だろ?って昭和生まれの僕でもすら驚くことばかりです。事実は小説より奇なりですね。
本作を見ると確かに時代は変わったなぁって思います。スマホもなく、PCだって普及してない。だから直接コミュニケーションしか方法がなかった時代。決して「昔は良かったわ!」、「あの頃に戻ろう」ってことではないと思います。
ですが、すごく大事なことを描いている気がします。「伝える=理解してもらう」ってすごくパワーがかかるし、自分の内面の葛藤があります。自身の意思で何かを乗り越えていかないと実現できなかった時代とも言えると思います。すごく面倒なことではあるけど、やるべきことはとてもシンプルなことだとも思います。
そもそも人間付き合いって面倒なんです。答えがない、さらに相手は感情を持つ考える生物。こちらの動きで何をするかわからない。さらに自分が傷つくこともある。そりゃ、手軽に文章だけで「伝える(言いっぱなし)」で終わらせられれば楽ですよね。だけど、その一方通行が故の悲しいことって、現在は増えてきていませんかね?
時代は移り、価値観も生活も社会も変わっているわけですから、今にFITした様式ややり方ってのはあるのでしょう。だからコミュニケーションの方法をとやかくいうつもりはないです。ですが、パワーがかかるはずのコミュニケーションが手軽に簡便になってきたが故に、人間関係が希薄になっている気もするのです。それはすごく残念なことだと思うのですね。大切だからこそ面倒だと思います。
本作に出てくる大人たちは、とにかく子供を見守ってます。親だろうが教師だろうが地域の者だろうが。もしかしたら、今の大人達が自ら子供との人間関係を希薄にしているのではないだろうか?なんて思っちゃいました。人間社会は問題が毎日起こると思います。ですが、その問題に逃げずに立ち向かう本作の先生達のように生きているだろうか?何かやった風なことをしてお茶を濁していないだろうか?ちゃんと火種に水をかける努力をしているだろうか?その姿を若者や子供達に見せているだろうか?と自らを律したくなりました。
この作品は「あの頃を等身大で」描いたものだと思います。故に観る方々のこれまでの人生経験で伝わるものが変わってくると思います。ですから老若男女で変わるはずです。ですが、僕は「普遍的な大事なもの」が描かれていると思いますからぜひ親子で(前半、やばいエピソードありますが)見て欲しいと思います。
余談ですが取材を綿密にした作品なのに、本作には陰湿なイジメ描写がないのです。なぜでしょうね?あったのかも?ですが大きな問題になる前に鎮火したのではないか?と推測できます。それも身近な大人達の密接な人間関係の賜物だったのではないのでしょうか?
また余談ですが、本作の制作のきっかけはモデルの蒲先生の葬儀の際にとても多くの参列者がいらっしゃったことだそうです。それに興味を持たれて取材が始まったとのこと。
葬儀にその人の人生が現れるって聞いたことがありますけど、本作見て納得です。
おすすめです。
観て良かったで終わらせたくない。
人種、ルーツへの差別。
差別されることへの怒り、恨み、悲しみ。
親自体がそんな中で日々世間と闘ったり、生活で一杯いっぱいだったり、生活が崩れに崩れてしまっていたり。
子供としても生活でやっとで勉強どころではないだろう。
安心できる優しい場所がなければ曲がっていってしまうのは仕方ない面もあると思う。
あのような地域の場合、学校は学校教育以前に教師が半ば親代わりの気持ちでいかないと子供は安心してついてきてくれないだろう。
教師といえば激務、企業でいえばブラックど真ん中では?
その中で子供のプライベートにも取り組むとなれば大変な覚悟と体力気力、工夫が必要になるだろう。
映画の最後は希望の持てるラストになっているようで良かった。
観て良かったと思える映画だったが、観て良かったで終わりにする映画でもないと思った。
カメ止めの流れのように最初は限定的でも最後は全国津々浦々で上映してほしいと思う。
在日の人に苛められて未だにトラウマになっている私日本人としても考えさせられた。
出来たら仲良くしたかったが相手の殻が厚くとても怖くて無理だった。
しかし私にも反省点はなかったかもう一度考えるきっかけになる映画でもあった。
こんな「教師」が、いたのだなぁ。
『かば』。何かと思うでしょう?……「蒲先生」。人名なんですな。
実在した大阪・西成の中学教師を軸にした「実話ベース」の群像劇。これが、実にいい。結論から言えば、快作です。
ドキュメンタリーかというような、1985年の、リアル。変な言い方ですが、これはスターなり役者名で釣る作品でないも、逆にプラスに作用してるかも。
あらゆるベタベタなドラマ的「説教臭さ」や「泣かせテク」を排除しているのが、本当に好感。ましてや、勘違いされがちなんでしょうけど、同和教育の映画では全くない。かといって、えげつない暴力や死を描くというのでもなければ、逆に淡々としすぎてるのでもない。程よい「映画濃度」でもって描かれる、教師と複雑なバックボーンの生徒が向き合う日々。
「この学校にはなぁ、部落か在日か沖縄しかないんや!」と、のっけに生徒の一人が言いますが、大坂でその世界観となると、ともすれば某作品のようなアプローチ方法しかないかと思いきや、この作品は意外に「俯瞰」。よって、嫌味がないことにつながるのです。
で、そういうカテゴライズは良くないのかもしれませんが、「覚悟を決めた根っからのご当地映画」には、そうそう外れはないというのが持論です。その法則には、ハマった気がするワケで。
また、自分もあの頃の小・中学生ですから……。当時の不良たちの姿はね、なんかありありとフラッシュバックしてきました。中年世代なら、そういうなんとも言えん感じもね、味わえるんではないですかね。
ソフト・放送・配信でのアプローチは今の所ないらしいので、劇場なりで観るしかないです。率直にはそれも勿体ない気もしますけれど、それこそ「向き合って」みてもいい作品ではないかな、と。
カバさんカトちゃん奮闘記
1985年夏、大阪市西成区の中学校を舞台に、荒れる中学生と彼等に向き合うベテラン教師&新米臨時講師達の交流をみせる話。
自分は東京都の某所ではあるけれど、この生徒たちとほぼ同年代。
自分が通っていた中学校は特段荒れていたという訳ではないけれど、掲示物が燃えてたり、モノが上の階から落ちてきたり、教室に爆竹や花火が投げ込まれたり、火災報知器が鳴りまくったり消化器まいたり、校門の前に余所の中学の生徒がずら~っととか、生徒が盗んで来た車が校庭を走り回ったりなんてこともあったなあー…と遠い目になる。w
まあ、そういう時代だったってことですね。
製作に際して関係者にインタビューをし脚本されたとのことで、1つのエピソードを除き実際にあった話とのことで、全てが同時に起きたことでは無いだろうけど、まあ、そこは映画なのでね。
荒れてる子に関してはだいぶマイルドに描かれているのかなとも感じたし、そういう子の家庭がなんちゃらっていうのは稀で、正味愉しいからそんなことやってるが殆どだと思うけど、ドラマとしては実は良い子ちゃん達なのが受け入れやすくて良かった。
卒業生や女生徒の話は地域的なものもあるだろうし…父親との居酒屋トークは、大人である今ちょっと考えさせられた。
ただ、これについても東京育ちの自分は同和問題なんてモノは学校で教育されたこともなく、そんな意識もなかったので、映画で謳うものとは違う方向で少しモヤモヤはしたかな。
(そういう地域は遠く無い場所にあったというのは知っていたけれど、当時の大人を含めそれをどうこう言う声を聞いたこともなかったし、朝鮮学校は近くにあったけど、これはただの揉める可能性の高い他校の一つw、同級生にも在日の人はいたけれど、どうということはないただの同級生だったので)
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