「小松菜奈さんの底知れない女優力を体感できます。」ムーンライト・シャドウ グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
小松菜奈さんの底知れない女優力を体感できます。
原作未読。
なので、原作の雰囲気も何も知らないのですが、抽象的かつ断片的な心象を繋げていくこの映画は、かなり〝文学っぽさ〟を追求したように思えます。
その狙いが成功したかどうかは鑑賞者それぞれの判断ですが、私にはとても心地よい時間でした。
登場人物についての属性情報は、感情移入なんか始めから期待してません、というほどに少ないのです。
さつき…第二外国語はフランス語(たぶん。正直自信がありません)。親からの仕送りで一人暮らしとしてはさほど狭くない部屋で生活。特にバイトなどに追われている様子もなくジョギングが習慣の健康的な大学生。
等…庭付きの二階建てに弟と二人暮らし。心に問題を抱えている弟の面倒を見ながら、それ以外の生活ぶりはほとんど分からない大学生(たぶん)。生活は親からの仕送りで特に不自由がないレベルと推測される。
さつきが等のことを知らないというのものも仕方ないと思うほどに何も周辺情報は語られません。
本当にほとんどのことが「たぶん」としか言いようがないのです。
柊とゆみこのこともほとんど具体的には説明されることがありません。
一見、現実的な世界での出来事のように描かれてはいますが、経済状況とか格差や家族関係などといった現実的なしがらみとは縁のない世界での話、つまりは、一種のファンタジーであり、お伽噺なのだと思います。
〝さつき〟というあるひとつのピュアな魂が、耐え難い喪失により傷つき、慰め合い、不可思議な体験(実はそれこそが人間が持つ、精神世界で物語を作り出せることの意味なのではないか、という文学的提言なのだと思います)を経て、恢復していく。
この純文学的な世界、映画的にはつまらないかもしれない作品の主役を、絶妙に体現できる小松菜奈さんの凄さ。
それだけでもとても価値のある映画だと思います。
風の又三郎さん
ありがとうございます。
正直、映画的に面白いとは、私も思って無いのですが、小松菜奈さんの色々な表情、スッピンも含めて、丸いおでこや憔悴してだるそうなまぶた、とか何から何まで愛おしかったです。
『糸』ではカツ丼でしたが、この作品ではエビ天❗️食べる女を演じる小松菜奈もやはり最高でした。
小松菜奈の女優力を体感できるなら、自分にとっては、もうそれだけで『名作』に決定 (/--)/
で、見に行ったんだが、 睡眠時間が3時間。ごはん食べた後の土曜の午後の昼下がり。寝ちまったぜい zzZ。 起きてたのは最初と最後の10分間。ナーイス。
もう1回見に行かねば \(^_^)/
私もグレシャムさんの仰ることはわかります。
たた、それが意見としてわかるか、浸透してくるかということですよね、
みる人によってここまで違うのか、とホント面白いです。