「期待を裏切らない出来栄えだけに、ジェームズ・ガンの離脱に不安を感じてしまう」ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
期待を裏切らない出来栄えだけに、ジェームズ・ガンの離脱に不安を感じてしまう
知られざるロケットの悲しい過去は涙を誘うし、彼を救おうと奮闘する仲間たちの姿には胸が熱くなる。
いつもながらの漫才のような掛け合いや、派手なアクションも存分に楽しめる。
「メイズ・ランナー」や「ミッドサマー」で意地の悪そうな嫌われ者を演じていたウィル・ポールターが、強敵だけれども憎めないアダムとして活躍するのも嬉しいし、ヴィランの頭がヘルメットを取ったロボコップみたいだと思っていたら、クイルが本当にそうツッコむところにもニヤリとさせられた。(ちなみに、「ロボコップ」の公開は、クイルが地球から連れ去られる前年の1987年で、ちゃんと整合性も取られている!)
さらに、グルートが、いつもとは違う台詞を初めて喋るという驚きと感動のシーンは、シリーズを通じてのクライマックスと言ってもいいかもしれない。
ただし、メンバーの一人ひとりに活躍の場が用意されていて、見どころが盛り沢山なのは良いのだが、やや冗長に感じられるところがあったのは気になった。単純明快な話なだけに、もっと短い時間でテンポ良く描かれていれば、よりサクサクと楽しめたのではないかと思う。
ヴィランのキャラクターが、「クアントマニア」で登場したカーンと被っているようにも感じたが、今回に限っては、カーンどころか、ソーや他のMCU作品との関連性もまったくなく、その点には物足りなさも残った。
これも、ユニバース化に慣れてしまったことの弊害なのだろうが、その一方で、DCのCEOとなるジェームズ・ガンの、マーベルへの決別宣言なのかもしれないとも思ってしまった。
いずれにしても、最後に映し出されたメッセージを見ると、これがシリーズの完結編ではないことが分かって嬉しい限りなのだが、おそらく、ジェームズ・ガンから監督が代わるであろうことには、やはり一抹の不安を感じざるを得ない。