「テーマが多すぎる」アントマン&ワスプ クアントマニア サブレさんの映画レビュー(感想・評価)
テーマが多すぎる
コミカルな雰囲気と娘への愛をテーマとしてやってきたアントマンがなんちゃってスターウォーズとして一新。摩訶不思議なワールドで異形の人々と交流しながら、絶対君主の打倒、ヒーローの条件、ろくでもない人間でもやりなおすことができる、など社会的なテーマに始まり、マルチバースへの展開をじっくりと行っていた。
どれか一つにしてほしかった。エンドゲームを経て元妻や泥棒仲間たちを自然に切り離したのは許容できるとして、スターウォーズのような異形の人々を出すわ、今後のMCUのためにマルチバースについてストレンジよりも深く切り込むわ、社会問題に絡めて娘がヒーローとして立ち上がる話も盛り込むわ、テーマが多すぎて忙しいのよ。
かといって面白くないわけではない。カーンの悪役っぷりはかなりよかった。アントマンシリーズでは初の科学的ではないスーパーパワーを持ったカーン。指先一つで誰もかれも痛めつけることができるカーンにはじめは手も足も出ないアントマン。だからこそ、カーンの計画を壊すためにアントマンが大暴れしたときはとてもワクワクしたし、カーンの倒し方も実にアントマンらしくてよかった。とどめの指し方はなんかよくわからなかったけど。
コメディ要素も悪くはない。たま~に小粒の面白いやつが出てくるだけではあるけれど。
と、ひとつひとつの要素は悪くないのだが、全体を通してあれこれ感想を言おうとすると、「なんか軸がたくさんあるな」「それぞれ別の映画にしてもよかったのでは…?」と思わせる映画だった。悪くはないのだけど…!
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