劇場公開日 2023年11月10日

「女子会して宇宙を救う話。」マーベルズ NandSさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5女子会して宇宙を救う話。

2023年11月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

単純

前提として
・『キャプテンマーベル』は視聴済。
・『ワンダヴィジョン』『ミズ・マーベル』『シークレット・インベージョン』は未視聴。
・MCUの映画作品は大体視聴済。
・ニア・ダコスタ監督の他作品は未視聴。

要素が多すぎたのか、色々大事な部分をすっ飛ばした感じがする。

まずMCU作品の前提として、前作品を観ていないといけない。ついてはいけたが、情報量の処理が大変だった。唐突にオーバーテクノロジーな世界観のフューリーが出てきたり、モニカの能力がイマイチ掴めなかったり、カマラのコミック描写やしゃべり方にびっくりしたり。ついていけても少し疲れた。
これはあくまでMCU全体の懸念点。MCU好きだけどね。

さて、"最強ヒーロー"を売りにした『キャプテンマーベル』シリーズ。こういう最強系には、"危機感が薄くなりがち"という問題点が生まれやすいと思っている。
今作はその問題点が明確に出ていた。前作は、記憶喪失だったり、そもそもオリジンだったりでそこら辺のバランスは取れていたと思う。今作ではキャロルとモニカ、そしてカマラの入れ替わり現象がそれ。序盤のヤバヤバ感は楽しかった、のだが中盤ぐらいから完全に解消されてしまっている。
結果、敵が何をしようと逃げおおせようと、「まぁ、どうにかなるでしょ」と考えてしまう。
他の部分、例えばキャロルの精神的な葛藤(人間とは違う感覚)で盛り上げ……られているわけでもない。葛藤が無いわけじゃないけど、彼女の成長が観られなかったように感じる。自分が気づいてないだけであったのかな……?

ストーリーは分かりやすかった。宇宙に穴を開けまくる(この理由も説明される。)ダーを止める話。そこに、三人のヒーローがごちゃつく。
移民問題ともとれる描写もいくつかあり、描き方によってはめちゃくちゃ奥深い作品になっていたと思う。
……のだが、メインが"女子会"だった。三人のわちゃわちゃがメイン。あとは異文化交流。プリンセスマーベルの下りは好き。ディズニー色出てきたじゃない。

アクションはみんなカッコいい。マジでカッコいい。三人の入れ替わりアクション、狭い屋内での動き、三人それぞれの能力描写、アンチマーベルとも言えるダー、果てはフューリーまで、戦闘シーンがカッコいい。
細かいわちゃわちゃしたシーンも見ごたえはある。女子会のシーン、フューリーとの雑談、グースとの邂逅、惑星の描写、まさかのゲストキャラ……あんまり記憶に残らないけど、楽しかったのは(アクションも含め)こういうシーンが大量にあったからだろう。だだっ広い"MCU"の良さが少しづつ出てきてる。

ただ個人的に観たかったのは、三人の変化と成長である。ついでに言うとダー。
カマラはキャロルとモニカ、フューリーとの繋がりができただけ。家族間の愛情は深まったが、大きく変化したわけでもない。
キャロルとモニカの二人に関しては、こじれた関係の修復があるのだが、それも妙に短い。「必要なシーンだから挟んでおこう」ぐらいにしか取れなかった。観ている側に心の変化が起きない。あとパワーアップすればいいってもんじゃない。
ダーに至っては舞台装置にしか観えないし……
キャロルの"贖罪"というテーマも妙に薄い。序盤のスクラルの下りとかなんだった??

面白い映像をストーリーになるように無理やりつなげた感じがする。そんな作品。
ポストクレジットはびっくり。

NandS