「新展開の序章なのに、既存のファン向けに特化したことが残念に思いました。」マーベルズ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
新展開の序章なのに、既存のファン向けに特化したことが残念に思いました。
マーベル・コミックのヒーローたちが活躍する作品群「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」の一作で、アベンジャーズ最強ともいわれる女性ヒーロー、キャプテン・マーベルを主役に描いた映画「キャプテン・マーベル」に続くシリーズ第2弾です。 メガホンをとったのは「キャンディマン」の女性監督ニア・ダコスタ。
●ストーリー
規格外のパワーと不屈の心を兼ね備え、ヒーロー不在の惑星を守るため幅広く宇宙で活動していたキャプテン・マーベル(フリー・ラーソン)。そんな彼女のある過去を憎み、復讐を企てる謎の敵が出現します。
時を同じくして、キャプテン・マーベルと、ベンジャーズやキャプテン・マーベルの熱心なファンであるオタクの高校生ヒーロー、カマラ・カーンのちのミズ・マーベル(イマン・ヴェラーニ)、強大なパワーを覚醒させたばかりの宇宙ステーション「S.A.B.E.R.(セイバー)」に所属する敏腕エージェントであるモニカ・ランボー(テヨナ・パリス)の3人が、それぞれのパワーを発動するとお互いが入れ替わってしまうという謎の現象が起こります。原因不明のこの現象に困惑するなか、地球には未曽有の危機が迫り、キャプテン・マーベルはミズ・マーベル、モニカ・ランボーと足並みのそろわないチームを結成することになるのですが……。
これまで一人で戦ってきたキャプテン・マーベルは仲間との運命的な繋がりからチームを結成し、新たな“強さ”に目覚めていくことになります。
●感想
アクションも映像美も一級品ですが、仲間となるモニカ、ミズ・マーベルの背景は配信ドラマで描いており、今作では省略気味です。コンパクトにまとめる上では良かったのかもしれませんが、新展開の序章なのに、既存のファン向けに特化したことが残念に思いました。初見の人は、三人の女性ヒーローを見て、この人たち誰?と疑問に思うでしょう。 おまけにヒーローの三人が序盤で次々入れ替わるシーンは、早すぎてついていけませんでした。
そしてニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が、いつの間にかアベンジャーズから離れていて、現在は宇宙ステーションS.A.B.E.R.の監督になっているのもビックリでした。
それにしても、キャプテン・マーベルが飼っているネコちゃんのグースには、ビックリ。かつてはマー・ベルがペガサス計画の実験施設で飼っていた猫にして、地球外の危険生物なんですね。可愛い顔して、次々周りの人間を飲み込んでいく獰猛さに驚きました。
●おまけのシーン/ネタバレなし解説
おまけシーンでは、モニカのその後が描かれます。病室のような場所で目を覚ますと、そこには母マリア・ランボー(ラシャーナ・リンチ)と瓜二つの人物が座っていたのです。しかし、その正体はマリアではなく、“バイナリー”と名乗るヒーローでした。原作コミックにおけるバイナリーは、キャプテン・マーベル/キャロル・ダンヴァースの別名称で、X-MENとタッグを組んでいたこともあります。
さらに、モニカの様子を見に来たのは『X-MEN』シリーズでお馴染みのミュータントが登場します。さらにエンドクレジットでは、『X-MEN2』『X-MEN:フューチャー&パスト』の楽曲が使用されていることも確認できます。
X-MENは、ディズニーがフォックスを買収したことでMCU合流が可能となりました。実際にマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギは、X-MENのMCU合流は「おそらく、もうすぐだろう」と語っています。
2027年までに公開されるアベンジャーズシリーズの2作で、同シリーズが完結するといわれている中で、新たなMCUフェーズとして、マルチバースによってモニカが残った次元のX-MENとアベンジャーズの共闘も夢ではないかもしれません。