「そしてパパになる」ソー ラブ&サンダー ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
そしてパパになる
マイティ・ソーシリーズからマイティの冠が外れ、米国と同じタイトルになり、前作のような副題の改悪も無くなり、無事に足踏み揃ったソー。MCUの中でも現時点で1番長く活躍されているソーの姿を劇場で拝むのは初めてだったので超ワクワクしながら鑑賞しました。
う〜ん、面白いんだけれどタイカ・ワイティティ監督の力量と前作のハイテンションさと比べるとかなり物足りない作品になっていました。
<GOOD POINT>
・ソーや周りのコミカルさ
アベンジャーズの中でもコメディリリーフの位置を確立されたソーですが、やはりワイティティ監督の相性が良いのか、笑わせるところでしっかり笑わせてきてくれました。時差ボケだったり、1、2で人気だったキャラを粗末に葬った前作を弄ってみたり、その顛末を監督が演じるキャラが語ったり、ずっと叫んでる飛び道具担当のヤギだったりと、随時に散りばめられているコメディ部分はとても楽しめました。
・神バトル
アクションや映像面で見比べると酔わされるような感覚に陥った「ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス」には劣りますが、雷撃が光りまくったり、地面を踏み込む様子が力強かったり、最終戦の子供達と共に戦うシーンが印象的に残っています。子供たちが目をホントに輝かせて敵を一掃していく様子は清々しいです。今作のMVPはちょいメンヘラ気質だったストームブレイカーです。ニュッと画面外から登場する姿はB級映画で怨霊の魂の宿ったアイテムのようでした。
・ラストの継承の物語
ソー自体も4作目とそろそろ終わりが見えてきているんじゃないかなとは思っていましたが、ラストに今作のヴィランのゴアから託された娘を引き取り、自身の娘のように育てパパになったソーの姿はいつもより逞しく思えました。最後新たな敵の出撃に娘とソー、ストームブレイカーをソーは手に持ち、娘はムジョルニア、亡くなったジェーンからの継承でもあり、そのシーンで戦いに赴く姿はとてもグッときました。盛り上がる音楽と共にめちゃくちゃグッときました。
<BAD POINT>
・テンポが非常に悪い
ソーの扱いが難しいのは1作目からひしひし伝わってきており、前作でワイティティ監督が上手く乗りこなしたなと思いましたが、アクの強いコメディとダラダラと続けるノリ、シリアスになり切れない展開もあり中盤はかなりグダッてしまいました。フロックだったのかなぁ…。
・ゼウスの扱い
ラッセル・クロウ演じるゼウスもポッと出で強さという強さも感じられませんし、非常に勿体無いなと思いました。エンドロール後の映像で続編を匂わせており、確実に関わってくるとは思いますが、5作目まで観たいかというと…。
・画面が暗い
クリーチャーとの戦いの際も全体的に暗く、せっかく面白そうなのにシルエットだけのクリーチャー相手に無双する姿は滑稽というか、物足りないというか。ここにお金かけて欲しかったなぁ。
・ガーディアンズ速攻退場
エンドゲームから帯同しているソーとガーディアンズ、ガッツリとはいかなくてもそこそこ絡んでくれるんじゃないかなと思いましたがかなり冒頭で退場という残念さ。ソーの単独作なので仕方のないことなんですが、序盤もソーの強さを見せつけるための引き立て役のようでしたし、ガーディアンズの扱い方はジェームズ・ガン監督がずば抜けているんだなと再確認。
トータルでは否よりになってしまいましたが、マーベルとしての最低限の面白さは保っていたと思います。変にドラマとの関わりを匂わせてないのも好印象ですし、シンプルなので割りかしスッと入ってはくる作品でした。
鑑賞日 7/8
鑑賞時間 18:30〜20:45
座席 L-9