劇場公開日 2022年7月8日

「「アベンジャーズ エンドゲーム」からのソーの帰還は嬉しい。ただ、本作を気に入るかは「ワイティティ監督の作風」の反応で分かれる?」ソー ラブ&サンダー 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「アベンジャーズ エンドゲーム」からのソーの帰還は嬉しい。ただ、本作を気に入るかは「ワイティティ監督の作風」の反応で分かれる?

2022年7月8日
PCから投稿

「アベンジャーズ エンドゲーム」では、隠居しブヨブヨに太ってしまったソー。なぜソーがあのようになっていたのかも本作では明かされます。
そして、ソーの恋人だったジェーン・フォスター役のナタリー・ポートマンが、シリーズ第2作「マイティ・ソー ダーク・ワールド」以来の本格的な「MCU」映画に復帰します。
さらには、本作は前作の「MCU」映画28作目「ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス」のように、ディズニーの配信サイト「Disney+」用に作られた「連ドラ」も見ていることが前提となっていません。
その上、シリーズ第3作「マイティ・ソー バトルロイヤル」から引き続きタイカ・ワイティティがメガホンをとり、「予習」要素を減らすために、「ソーとジェーンの関係性」や「これまでのソーに何があったのか」という新規映像を作成し、「復習映像」として作中で流してくれるのです!
本作の本質的な物語は、「アベンジャーズの雷神ソー」と、ジェーンによる「新生マイティ・ソー」がメインとなります。
そして、敵側の新キャラは、 クリスチャン・ベール扮する「全ての神々を殺害できる」という伝説の恐ろしい剣を手にした“神殺し”ゴアで、「アベンジャーズの雷神ソー」×「新生マイティ・ソー」VS「“神殺し”ゴア」が大きな骨格となっています。
このように比較的わかりやすい作りになっている点はとても良いと思いました。
ただ、このところの「MCU」映画は良くも悪くも監督の個性が大きく出てくるようになったと感じています。
本作では、タイカ・ワイティティ監督はかなり楽しんで作っていることが伝わります。ワイティティ監督は、独特なユーモアセンスを持っていて、第92回アカデミー賞で話題となった「ジョジョ・ラビット」の際は、私は素直に面白いと思っていました。ワイティティ自らヒトラーに扮し、ドイツでナチスに洗脳されているジョジョ少年における「フレンドリーな幻想キャラクター」として登場し、割と絶妙なラインをついていました。
「通常のユーモア」というより、「クセの強いユーモア」と言えます。
本作では叫ぶヤギなどが象徴的でしたが、残念ながら私にはあまり響きませんでした。
おそらく本作を気に入るかどうかは「タイカ・ワイティティ監督によるクセの強いユーモア」がどこまでウケるかによって大きく左右されるように思われます。
最後に「MCU」映画のエンドロール後の映像は常識ですが、本作では、その内容の捉え方が難しく感じました。それは、「MCU」映画ではマルチバース、神の国など世界観が大きくなりすぎたからでしょうか。何れにせよ次にどうつながるのか楽しみです。

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細野真宏