「ワンダの扱いが不満すぎる」ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス akumonさんの映画レビュー(感想・評価)
ワンダの扱いが不満すぎる
ドクター・ストレンジMoMは、ドクター・ストレンジ、アベンジャーズIW/EG、スパイダーマンNWHから続くストレンジの物語であり、同時に「ワンダヴィジョン」から続くワンダの物語でもあります。
今作ではワンダはスカーレットウィッチというヒーローではなく、スカーレットウィッチというホラーモンスター(ヴィラン)として終始描かれます。
それがどうしても許せなかった。
「ワンダヴィジョン」で道を踏み外したワンダは、ラストで自分の良心と向き合い、かりそめの家族を手放す選択をしたはずです。ポストクレジットシーンでマルチバースでは息子たちがいて、助けを求めているような描写がありましたが、ワンダヴィジョンで描かれたのはそこまでです。
(そもそもそのシーンもワンダヴィジョンチームによるものかMoMチームによるものか知りませんが)
そこから、どうとでも話を紡ぐことはできたはずです。
今回MoMの製作陣は、それを「手放したはずの家族に執着して過ちを繰り返す異常者」として解釈し、そのような話としました。
ザ・ボーイズならわかりますが、堕落した元ヒーローの殺戮をマーベル作品で描く必要がありましたか?バッサバッサ人を殺していくワンダは見たくなかった。
前作よりもさらにヒロイックに描かれるストレンジとの対比のつもりなのかもしれません。
しかしワンダヴィジョンで丁寧に描かれた彼女の苦悩や絶望を体験してきた視聴者が、このような描写に納得できるものでしょうか?共感を抱くことができる方はいるのでしょうか?
MoMの予告を見て、本作に「ワンダの救済の物語」を期待していた方は少なくなかったと思います。
プロフェッサーXはその役割を一部担うキャラとして登場するのだと、私は勝手に想像していましたが、そのような勘違いをしたのも私だけではなかったはずです。
それらに背いてでも、こういう風に彼女を描くことが、このユニバース上に必要だったのか?
そんな疑問がいつまでも拭えません。
こんなに見ていて憂鬱な気持ちになるMCU作品ははじめてでした。
映画としては、ライミ監督が得意としているホラー演出が多分に盛り込まれてて、ストーリー面からみても演出面からみても、良くも悪くも他のMCU作品とは特異であると感じました。
ライミ監督は「市民とヒーローとの関係性」や「市民から見たヒーローの姿」を描写するのが特に上手く、今作でも結婚式場から飛び出すストレンジなどは格別にかっこよく、上手な作りだと感動しました。
ただ、スパイダーマンNWHでのマルチバース展開・設定が今作にはほとんど関係がなく、ただ単に「新しくマルチバースを取り扱った単独映画」に縮こまっているのが少々残念ではありました。
せっかくのマルチバースで、どうせドラマシリーズの視聴が必須なのであれば、NWHや「ロキ」や「ホワットイフ」と連なる作品であってほしかった。
追記
二回目みてきました。
プロフェッサーXを筆頭にイルミナティの役割がさっぱりわからなかった。何のために出てきたんだ?
アース616のモルドはどこいったんだ
「ワンダヴィジョン」をまだ観ていませんでした。
なので、今作のワンダというキャラクターに対しての否定的な評価の理由がしっくり来ました。
面白くなかったわけではないけど、「意欲作」と自分が書いてしまう何か違和感のようなものを感じていた理由も把握できた気がします。
ありがとうございます、すごく参考になりました。
コメントありがとうございます。私は厳しい評価をつけてしまいましたが映画として嫌いではありませんし、高く評価されている方の理由も理解できます。面白い映画だっただけに、個人的にはどうしてもワンダの扱いだけが納得できませんでした…。
私と評価は違うけど、言いたいことすごく分かります。
ワンダヴィジョン観ていないけど、何かで読んだから、家族を手放したのも知っていたので。
思っていたのと違う、と思ったのはそこだったのかも。