「悪い意味でアクションコメディになってしまった」ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス サラダチキンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0悪い意味でアクションコメディになってしまった

2022年5月5日
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鑑賞方法:映画館

普通に面白い映画ではあると思うが、前々から懸念していたマルチバースになることの弊害が表面化し始めたと感じた作品だった。
マルチバースが当たり前のこととして扱われれば当然、マルチバース的な驚きは今後しりすぼみになっていくのが必然。
また肝心の別次元の扱いも今作では雑さが感じられ、戦闘シーンの落としどころをもっと慎重にすべきだったと思う。

超人同士の戦闘がああいう風になるのはリアルに考えれば想像できるが、今までのMCUの戦闘ではあのような描写が無かったので不自然だし、今作は別次元の話だしコミックではそういうものだし、監督のテイストだからと言われても到底納得はできない。コメディ感さえありマルチバースやそこに暮らしている人々を茶化しているかの様にも感じられ、今までMCUの中で慎重に扱ってきた生命に対するリスペクトが台無しになった。というかコミックではそうだとしても、それを今までのMCUの世界観を無視してコミック通りの演出にするのであれば監督なんていらないのでは?それをどう落とし込むかが監督の仕事ではないだろうか。

結果として命をぞんざいに扱った事でこれからサノス以上の脅威が描かれても、以前の様に深刻には受け止められないと思うし、今回あのようなノリを戦闘の演出に持ってきた事で今後のMCUの戦闘の格を下げたことは間違いない。
これまでMCUについてはファンとかは抜きにして単純に映画作品として評価、リスペクトしてきたけど、今作でマーティン・スコセッシ監督の意見に賛同することになるとは思わなかった。

サラダチキン