「無口なメリー・ポピンズ」キャッシュトラック kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
無口なメリー・ポピンズ
目が優しい感じがしたジェイソン・ステイサム。怒りを抑えているけど、はらわたが煮えくり返ってるに違いない。一見して物静かだけど、実は怖い男といった雰囲気を醸し出していた。そんなパトリック・ヒル、通称“H”がファルティコ警備会社に入社してくる。ギリギリ合格点だったHはさっそく現金輸送車襲撃に遭うがものの見事に悪党たちを皆殺しにしてしまう・・・
時系列をかなりいじくってあるけど、基本的には発端となる、息子ダギーを殺された凄腕現金輸送車強盗団のシークエンスであり、3つの視点で描かれていた。息子を殺したジャン(イーストウッド)の顔をしっかり目に焼き付けながら現場に倒れるステイサム。そんなところで死んじゃいけない!
とにかく静かな復讐者というステイサムの作品で、実はフランス映画の『ブルーレクイエム』がオリジナルだという(未見)。最初は単なる警備会社を渡り歩いているといった設定だと思わせておいて、実は裏社会のボスだったことがわかる。それでも捕まらずに生きていけるのはFBIの上層部と繋がっているからだ。もちろん部下たちは何も知らない。警備会社の内部にも強盗団の一味がいるとわかり、FBIと組んだ“H”が潜入するという具合だ。
計画と実行を同時進行させるなどして、シンプルでわかりやすい復讐劇ではあるけど、納得できない部分も多い。とりあえずステイサムの不死身ぶりは置いといて、部下たちが勝手に別の強盗団として襲撃を繰り返していたのに、ボスの行動パターンが分からなかったのか?とか、ケータイの着メロが「ワルキューレ」とわかりやすいけど目立つんじゃないか?とか。その他にも細かなところが・・・まぁ、ワルキューレの伏線は良かったけどね。
最も納得できないのは「無口なメリー・ポピンズ」というあだ名。てっきり魔法を使うとか傘を広げるとか、家庭教師をするとか、そんな伏線があるのかと思ってたのに・・・残念。ステイサムの組織が実は義賊であったりとか、そんな設定も欲しかったかも。