「ルート26とかいう映画があったが、あれだろ?深キョンが渋谷246をスクーターで爆走する奴だろ?」こちらあみ子 病人28号さんの映画レビュー(感想・評価)
ルート26とかいう映画があったが、あれだろ?深キョンが渋谷246をスクーターで爆走する奴だろ?
本当にあの映画は最低だった。「こちらあみ子」 の続編という事だが、同じ役者が出演しているだけで、続編でも何でもなかった。
さて、この映画だが「 ルート26」 とは違い、ちゃんと映画になっている。「 八犬伝」 もそうだが、原作が面白いと脚本家に力量がなくても名作になる。原作がウンコちゃんなら、ウンコ映画にしかならない。それくらい原作選びって大事なワケ?アンダースタン?
総勢330人の中から選ばれた、あみ子役の大沢一菜の演技がもう絶品!この子にしか出来ない演技で、この子でないと映画が成立しないくらいのハマり役である。
あみ子は、中学1年生。自宅で書道教室を経営しているお母さんとお父さんと、学校は同じだけど、三年生のお兄さんと暮らしている。あみ子とお兄さんはお父さんの連れ子で、お母さんとは再婚。
お母さんは、再婚したお父さんの子どもを身ごもっていて、生まれてくる子の為に臨月を過ぎているのに、書道教室で授業をしている。
ある日、お母さんは破水して病院に駆け込む。念願の自分の愛する旦那様との子どもが生まれるかと思いきや、赤ちゃんを流産してしまう。悲しみに暮れて、書道教室は出来なくなってしまう。
そんなお母さんを見て、慰めようとした、あみ子は家の庭に流産で亡くなってしまった子どもを追悼する為に、庭に小さい卒塔婆を作り「 弟のお墓」 を作り、それをお母さんに見せてしまう。
お母さんを演じるのは尾野真千子。お母さんは、そのお墓を見るなり、狂ったように泣き崩れる。この演技が神演技で、あみ子役の大沢一菜が驚愕したそうな。
あみ子はお母さんを慰めようとして、やった行為が裏目に出てしまって、お母さんは心を病んで、引きこもりになってしまう。
あみ子は学習障害の気があるので、一般常識に欠けている所があるので、こんな残念な結果になってしまったが、あみ子は自分が出来る精一杯の追悼なのだという事を理解出来なかった両親の教育に問題があったのではないだろうか?
お母さんが病んでから、それがきっかけで、お兄ちゃんもグレて家に帰らなくなる。
ちょっと省略するね?
色々あって、学習障害のせいで、普通の学校生活もおくれなくなってしまった、あみ子は唯一の理解者だった同級生の男の子から、「 お前、気持ち悪いんじゃ!」 と言われて、顔面をグーパンチで殴られて倒れてしまう。もう、あみ子は家庭にも学校にも居場所がなくなってしまう。
映画の劇中に何度か、あみ子にしか見えない妖怪のイマジナリーフレンド達があみ子を慰める為に、遊んだり、一緒に歌ったりもする。あみ子にはこの妖怪のイマジナリーフレンドしか友達がいない。
お父さんがあみ子と一緒にお婆ちゃんの家に車で向かう。しばらく、お婆ちゃんの家で楽しむあみ子。お父さんがあみ子にこう言う。
「 あみ子は今日からお婆ちゃん家に住むんだよ」
「 そうなの?お父さんはどの部屋に住むの?」
「 お父さんは住まない、あみ子だけが住むんだよ?」
そう、あみ子はお父さんに捨てられたのだ。
お婆ちゃんの家に住む事になったあみ子は早朝に近所の浜辺に辿り着く。
ふと、海を見ると、あみ子にしか見えないイマジナリーフレンドの妖怪達が海を手漕ぎの船に乗っていて、
「 僕らの世界においでよ?」
と、言わんばかりに手招きをする。
しかし、あみ子はそのお誘いを拒否する。
寂しそうに妖怪達はオールを漕いでいなくなってしまう。
もう、あみ子にはイマジナリーフレンドの友達もいなくなってしまった。
海を見続けるあみ子。そんな時に、あみ子の後ろから声がする。
「 どうした?お嬢ちゃん、大丈夫か?」
あみ子は笑顔で振り返って、
「 大丈夫じゃ!」
と、声に応える。
暗転。
EDロールの曲は、青葉市子のhello
最後に、あみ子に声をかける老人がイマジナリーフレンドだったら、凄く嫌な話しになっちゃうので、声をかける老人は普通の人間であって欲しい。じゃないと、救いようがないぜ?
以上、全部語ってしまったが文句なしの傑作!お子さんが学習障害のお父さん、お母さんにも是非見て欲しい映画。
理解しろとは言わないが、理解するキッカケになればいいと思う。必見です!
これだけの傑作を作れたのに、何故「 ルート26」 はあんな無様な結果になったのだ?
監督さん、才能をどっかに落とした?舞台挨拶の時にうっかり落としていない?
分かった!キネカ大森で舞台挨拶した時に落としたんだ!今でも片桐はいりがモギリをやっている筈だから、落とした才能を保管してくれている筈だ。今すぐ、落とした才能を取りに行け!絶対にだ!いいか?約束だかんな?