「確かにホクロが気になります。」こちらあみ子 アキよりさんの映画レビュー(感想・評価)
確かにホクロが気になります。
広島で暮らす四人家族。主人公のあみ子は発達障害、多動症なのか?他の子供達とは違う子供。母(尾野真千子)は家で書道を教えている。父も兄も優しく穏やかな家族。母は、妊娠中だったが子供が死産になってしまう。あみ子は思いつくと行動に出す為庭に亡くなった子供の墓を作り母に見せた事で母はおかしくなり徐々に家庭が良くない方向へと進むストーリー。
とてもセンシティブで、衝撃的、切なくて、残酷に描いた映画だが良く表現したなと感じます。
あみ子は、ただ思った事、感じた事を行動にしてしまい相手の気持ちが理解出来ないが故に、周囲の人間も恐怖や不快に感じる。あみ子は、確かに理解もしているし、会話も成立する所から普通の子供と一緒に学ばせるのも理解は出来るが!学校側もあみ子を見て手を差し伸べる事が出来なかったのか?なんて思ってしまう。先生も家庭訪問に来て、母親が病気になっている事は父と話している場面がある。
学校でも、唯一あみ子に一番自然に接する坊主の青年がいたのが、救いでしたね。
兄も、たぶん一番あみ子の理解者じゃないのかな?回想シーンで兄とあみ子が歩きながら、母の事をホクロと言うあみ子にきちんとお母さんで、ハゲは兄、メガネは父親と会話するシーンは心に残りましたね。しかし、不良に走ってしまう。状況を受け止めるには、無理だったんだろうと感じて切なくなってしまう。決して家族は誰一人悪くないのでは?と思う。
あみ子は、裸足が好きで感性が敏感すぎるのでは?きっと本当に霊的な存在も見えていてラストでのシーンであみ子が手を振っているのは、あみ子なりの選択で「大丈夫❗️」と言ったのなら、前向きなラストにもとれました。
全編通して、家族意外の関わりがあまり表現されていないので、社会から孤立している家族である様にも映り社会が冷たくも映ります。そこで手を差し伸べてくれたのが、祖母だった。
あみ子は、これが個性だから仕方ないと一言で片付けられない内容なだけに実際に悩んでいる家族もいるだろう。こういった子供もいると言う大人の理解が必要な社会が確立することなのか?なんて考えさせられる映画でした。