劇場公開日 2022年7月8日

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「成長という生きづらさ。」こちらあみ子 ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0成長という生きづらさ。

2023年5月30日
iPhoneアプリから投稿

誰もが通り過ぎた子供の頃の"あの感覚"。
それを持ったまま成長"しない"あみ子。

しかし周りの同級生は成長して思春期を迎えていく。
変わらぬあみ子は次第に同級生と心理的な溝を深めていく。。

あみ子本人はいたって素直。
自分が思うままに話し、生きているだけ。
なのに彼女の奔放すぎる振る舞いによって、周りの大切な人がバラバラになっていく。

あみ子役がもう全く演技に見えなくて、もはやドキュメンタリーを見ているような没入感・実在感。
スクリーンの画角を活かした"見せない"カメラワークや特殊な音響も没入感に拍車をかける。

発達障害の子供と、その子供を抱えた家族の生き辛さ。それを見守る物言わぬ視点。
この包み込むような視点はいったい誰なのだろうか?
そんな事に思いを馳せつつ、エンディングを迎えてその歌詞を聴いていると。
なるほどあみ子の生みの親、今は亡き母親の視点に思えてくるのだ。

残酷な映画ではある。
でも、あみ子はそれでもしゃんと前を向いて歩く事を選んだ。
誰に言われるでもなく、進む事を選んだ。
そんなあみ子の姿勢に一縷の希望があるのかもしれない。

ジョイ☮ JOY86式。