「嫌な思い出」こちらあみ子 リプリーさんの映画レビュー(感想・評価)
嫌な思い出
私にはあみ子、兄ちゃん、お父さん、お母さん、ノリ君、各々の気持ちが理解できます。あみ子程に重症ではありませんが、あみ子のような人物が身近に居たからです。私の場合は親の立場ではありませんでしたが、最終的にはお父さんと似た様な選択を取りました。その選択に後悔はありません。逆にそんな選択肢があったことを知らず、1人悩み続けてきた莫大な時間を後悔しています。今はようやく自分の人生を創造できているんだなと思えます。
一方、私自身もあみ子同様、目に映る外の世界を理解するのに苦労するタイプでもありました。そんな私には最初、お父さんは健気に映りました。けれど、他のレビューを見ているとどうやらその認識は見直さないといけないのかなとも思うようになってきました。これはドライブマイカーのテーマでもありましたが、「見たくないものを見ない。それに対して向き合わない。」という行為は、場合によって命取りとなるからです。お父さんを肯定する一方、余裕が生まれれば見たくないモノと向き合う瞬間も作らないといけないのかなとも思うようになってきました。あみ子の様な人と積極的に付き合きあおうとは二度と思いません。しかし、社会活動する上では避けられない場面もあります。付きっきりはしませんが、あの坊主頭の同級生の様に一瞬でもいいから損得抜きのコミュニケーション出来るようになりたい、それが出来る勇気が欲しいと思うばかりでした。それができるようになった時、自分の目に映る世界はまた変わるのかなとも思いました。
それにしても嫌な思い出を回想する羽目になり、珍しく映画を見るのが嫌になりました。それが映画の果たす役割でもあるんですけどね。次は娯楽作が観たいです。