ベイビーわるきゅーれのレビュー・感想・評価
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日常とアクション。バランスと振り切り。
◯作品全体
デフォルメチックな部分とリアル寄りな部分のバランスが楽しい映画だった。
しかもそれぞれが独立してるわけじゃなくて、シーンごと、カットごとに両立しているのが良い。例えば主人公二人が部屋でダラダラと喋るシーン。女子高生殺し屋として仕事について話したりする中で、シームレスに夕飯の話とかバイト先の愚痴を話したりする。話すトーンもアニメチックな「作った声」のときもあれば等身大の10代女子っぽいトーンのときもある。どっちかを極めて作った作品ももちろん面白いけど、上手く演出しないと「作りすぎ」「地味すぎ」な作品になってしまう。本作はどちらの要素も上手く取り入れていたように感じた。
一方でアクションシーンはリアルなアクション構成に振り切っていた。女子高生だから体格差は圧倒的で、近接戦を真っ向から挑めない。拘束されてしまえば振り切ることは容易でない。そのために相手に背中を見せてもスピードと手数で勝負する。その戦術の見せ方がとても新鮮で面白かった。
バランスと振り切り。作品全体を俯瞰するとそこの巧さが印象に残った。
◯カメラワークとか
・二人の部屋の映し方が上手だった。基本的にリビングのソファを正面から捉えるカメラの時間が多い。登場人物は奥にあるキッチンだったりサンドバッグとを行き来して二人の「風通しの良さ」をカメラ越しに演出する。そうすることで二人の気兼ねない日常を映しているのだと思う。ただ、二人がメイド喫茶のバイトのことで喧嘩するシーンではリビングとキッチンの空間をきっちり分けるカメラが多かった。先に言及したソファを正面から捉えるカメラもほとんど用いず、それぞれを分断するようなカメラワーク。ラストシーンでそのソファからの正面カットに戻るが、キッチンにいたちさとが部屋を退出していなくなる。一人ぼっちになったまひろを印象づけるような終わり方で、上手なカメラワークだった。
◯その他
・ちさと役の高石あかりの芝居が上手だった。10代女子高生っぽい気だるそうなトーンのときと、テンションが高いときの、作ったような芝居。ちさとの二面性がよく出てた。それとは別に「もえもえキュン」のときのくねくねした動きがめちゃくちゃおもしろかった。
・ヤクザの親分である浜岡一平のキャラ付けが面白い。ヤクザ映画にありがちな「理不尽な暴虐」のギャグっぽくなるところを上手く狙ってる感じ。面白いキャラだったからラスボスにしてほしいと思った。
この2人をもっと観ていたい
「“俺たちに明日はない”の令和版かな?騙されんぞ〜どうせボニー&クライドは超えないんだ」と、かなり斜めに観始めたんですが、見終わったらすっかり2人のことが好きになって、この2人をもっと観ていたい、と思ってたから、まんまとやられたんだと思う。
殺し屋という荒唐無稽(とも最近は言えくなってきた?)な世界にいる2人の会話はごくごく日常でリアル。
説教してくる人のどうにもならないズレとか、さっきまで仲良くしてたのにちょっとしたことでキレてケンカになる感じとか、抱えてる生きづらさとか、「今の感覚」みたいなのを、よくまぁこんな滑らかに描写できるな、と。
そんな「今の当たり前の感覚」を殺し屋さんが何の疑問も持たずにもってる狂気。笑
うまい脚本、高石さんの魅力的なリアクション、伊澤さんのすごいアクション。
見終わった後、なんかスカッとしてがんばろって思えたから、今回も良い映画を観れたんだな、と思いました。
余談ですが
この作品もまた池袋シネマ・ロサでの上映ロングランから始まったようで。シネマ・ロサの「面白い映画かけてやるぞ力」すごい。
ドラマにも期待
今秋ドラマ化もされるらしく、過去作の配信も始まり鑑賞。
ジョン・ウィックのような『殺し屋』という稼業が普通に存在し、ファブルのように殺し屋ではなく一般人社会人としても暮らせていけるように…と、殺し屋であり高校生の女子二人がワチャワチャするお話
冒頭のコンビニでのアクション、伊澤彩織が演じるまひろが殺し屋であることを認識させるインパクトのあるシーンではあるが、これはバイト面接中にウトウトして見てた夢だったわけだが
シーンとしては必要だし見応えもあったが、もう少しコンパクトに、戦いの途中で目が覚めるぐらいのほうが良かった。
夢のシーンなのに、必要以上に長い
本宮泰風さんがヤクザの組長役だったので、てっきりラスボスと思ってたのに、あっさり殺されたのは面喰らった(笑)
贅沢な使い方だなぁ、と。
阪元裕吾監督はバイオレンス、アクションの見せ方は上手いと思う。日常生活と仕事の時の二人の対比もいい。もう少しテンポというかバランスがよくなれば、もっと。
アクションに関してはコーディネーターでなくアクション監督として園村健介氏が担当なので
『格闘』は申し分ない。
特に、ほとんどの映画の格闘アクションは剣劇の殺陣のようにテンポよすぎる型や演武、組手みたいな格闘が多いが
不意なリズムというか、一応の流れは決めてるものの(バランス崩して打つべきとこで打てない時に)アドリブ入れて相手も対応してる感じで、リアルファイトさながらの臨場感がある。
かたやガンアクションに関しては、まぁ、ちさとが銃担当であの性格というのもあるけれど、割りと雑というか…
相手は銃覚えたばかりの素人で、それに付き合ってか乱射だったり、何発装填してるんだ?ってぐらいマガジン交換なしで撃ちっぱなし
銃の場面でもリアルな演出があれば、とんでもなく凄い作品になると想う
高校生の日常のポップさから、リアルなアクションのギャップ
2も配信で観るし、3を劇場でみて秋からのドラマも楽しみにしたい
雰囲気は好きだけど
緩い雰囲気が良かった。
ただ、脚本家が坂元雄二に憧れているのか、頻繁に「ワードで刺したい」みたいな思惑を感じるセリフが多くてモヤっとした。
また、最近見たアクション映画が『シティーハンター』だったため、どうしてもアクションシーンに物足りなさを覚えました。
あと、アクションシーンの効果音がチープかつくどすぎて結構冷めてしまった。
残りは30分はながら見した。
殺し屋お仕事にバイトに社会生活に、ウチら奮闘中!
映画の面白さの一つに、異色ジャンルの掛け合わせ。SF×青春とか、ゾンビ×ミュージカルとか、特撮×アイドルとか。
本作もユニーク。殺し屋アクション×日常系コメディ。例えるなら、『ジョン・ウィック』×『けいおん!』みたいな…?
口コミヒットやシリーズ化されたのも聞いていた。今秋に早くも第3弾。
ふと思い出して、やっと『1』鑑賞。うん、面白い! 瞬殺の如くお気に入りに。2回続けて見ちゃった。一般的な知名度はまだまだかもしれないけど、知る人ぞ知る人気になったのも分かるわ~。
ちさととまひろ。
女子高生で、殺し屋。
殺し屋としてはプロだが、一般的な社会知識や生活能力は皆無。
どれくらいかと言うと、マンゴー知らない。家賃や公共料金や税金ってどう払うの…??
『ザ・ファブル』の佐藤くんといい勝負。
そんな二人に、殺し屋お仕事より大変な事が…。
高校時代は組織の寮暮らしだったが、組織の方針で高校卒業後は寮を出なくてはならない。
アパートでルームシェア、バイト、一般的な日常生活も。
殺し屋お仕事以外に社会を経験。“普通”に生きていけるように。
“殺し屋”って事を除いたら、女の子が高校卒業してバイトして社会に出て自立する奮闘記そのもの。
って言うか、それが出来ない。それが面倒臭ェ~!
社会不適合者の二人。
日常生活や面接やバイトでトラブル続々出。
ちさとは明るく社交的。が、時々すぐキレやすい。バイト先の客や先輩にぶちギレてついついヤッちまう…。
問題はまひろ。ちさと以外とはオドオド、まともに喋れない。コミュ障。面接も落ちまくり…。
二人で同じ面接を受けて、まず一日体験。社交的なちさとはすぐ慣れて、いきなり接客。人間関係も打ち解ける。ちなみに、メイドカフェ。
が、まひろは…。メイドカフェなんて超絶無理。引きこもり、ネガティブ発言…。
それがきっかけで二人の関係が悪化。二人で住み始めた時のあるある。
…って、これ、本当に殺し屋アクション…?
ご安心を。ちさとがバイト先でヤクザとトラブっちゃって…。
命を狙われるハメになった上に、只今喧嘩中。
マジ、ヤベーじゃん!
“萌え萌えキュン”も出来る社交的なちさと面接やバイトもやりたくないコミュ障のまひろ。
黒髪ロングのちさとと金髪ショートのまひろ。
見た目や性格のみならず、ファイトスタイルも対照的。
ちさとは主に銃。まひろは主に格闘。
キュートだけど、キレのあるアクション。
ナチュラルな演技、やり取り。日常あるある、殺し屋あるある、ユル~い会話など、クスクス笑える。
色んな意味で、二人の魅力ぎっしり。ずっと見ていられる。
高石あかりと伊澤彩織。
高石あかりは『わたしの幸せな結婚』でいい嫌味な役所だったね。伊澤彩織はアクション・スタントとして『るろうに剣心』『キングダム』『ジョン・ウィック』(!)にも参加している本格派。
同年代かと思いきや、伊澤彩織の方が10歳くらい年上。それも感じさせないくらい名コンビで、親友。
喧嘩しちゃったけど、謝る。仲直りのケーキ、いじらしい。
社会不適合者としての悩みを吐露しつつ、キュートさやアクション弾ける。
本当に、ずっと見ていられる。
戦う事になるヤクザファミリーも個性あり。
親父は硬派。多様性も意識。でも、「お釣り200万」とか「油売る」とか冗談や例えが全く通じないからご注意を。メイドに冥土に送ってやると案外上手い事も言う。
娘もかなりイカれたヤベー奴。一度嗅いだ香水の匂いだけでちさとを特定。秋谷百音の怪演とキャラも特出してた。
兄貴はそれなりに常識人だけど、父妹の扱いに一苦労。
親父と兄貴がちさとがバイトするメイドカフェへ。ヤクザに萌え萌え接客で笑い所のシーンだけど、私ゃメチャハラハラドキドキしたよ(笑)
小ネタも満載。
確かに野原ひろし、あんな事言ってないね。
まひろが見てたのはNetflix配信映画かな…? 私もエンドロールは最後まで見たい派なので、分かるぅ~。
まるで会社みたいな殺し屋ビジネス。二人のサポート役、クレーム多い掃除係、何だか妙にリアルで面白い。
笑いのセンス。見せ場的なアクションはクライマックスくらいだけど、見せ方、スピーディーさ、カッコ良さ…アクションのセンスも。アクション・シーンも無駄に長いんじゃなく、タイトにスタイリッシュにキメる。
言うまでもなく低予算。それでもセンスがあればアクションは撮れる。橋本環奈の『バイオレンスアクション』との比較で本作が絶賛されてたのも分かるし、『リボルバー・リリー』も如何にセンス無しか…。
阪元裕吾。日本映画界に小粋なアクションを魅せる注目株登場。他の監督作もチェックしなければ。
『2』はTSUTAYAの宅配レンタル頼むかWOWOW放送まで待とうと思ったけど、早速U-NEXTで見よう。見放題だし♪︎
二人の次の“仕事”やまだまだ続く社会奮闘記も早く見たいし。
橋本○奈の「バイオレンスアクション」より遥かに面白かった!!
独特の日常感があって、映画の世界に入り込み易かったです。橋本環奈の「バイオレンスアクション」より遥かに面白かったです。ヤクザのおっさんが店舗に現れるシーン、2つとも怖いですが良く撮れていて印象的でした。何か活気のある作風で良いなと思っていたら、監督が若い(96年生まれ)ですね。続編も是非観たいです。
普通が一番難しい
ある特殊な能力には恵まれているが、コミュニケーションを取るのが苦手で、一般的な生活能力がない人間は結構いると思う。
そういう意味では色々と主人公に共感出来る作品ではあった。
ただし殺し屋という職業はあまりにも特殊すぎやしないか。
何故か組織の意向で殺し屋としても十分生活出来るのに、一般社会に馴染むためにバイトの面接を受けさせられることになったちさととまひろ。
特にまひろは完全なコミュ障で、冒頭のコンビニの面接では怒りのあまり店長を射殺してしまう(後にまひろの妄想であることが分かるが)
二人は組織の意向で共同生活をすることになるが、コミュ障のまひろとマイペースなちさとは反りが合わず険悪なムードになってしまう。
が、どちらもアウトローであり、実は似た者同士でもある。
社会に溶け込めない二人の友情物語はそれなりにホロリとさせられるし、どこに怒りの捌け口を探せばよいのか分からない今の時代だからこそ突き刺さるものはある。
それでも基本的に軽く、ゆるく、ダル~いノリが続くので、頭を空っぽにして楽しめる作品だ。
そして極道映画としての残虐さとクレイジーさを併せ持った作品でもある。
ただ時代錯誤、というかこんな極道いないだろうという誇張されたヤクザ像には失笑してしまった。
メイドカフェで本性を露にした極道の親子を一瞬で冥土送りにするちさとの姿にはしびれた。
そしてラストのちさととまひろが極道と正面衝突するアクションシーンは爽快。
突っ込みどころは多いが、まひろとちさとの二人の空気感がとても自然で好感を持てた。
そして殺し屋という非日常的な設定の中に、とてもリアリティーのある普通の日常の光景が繰り広げられるのがとても面白かった。
落差
んー、まぁ、合わなかったなあ。
アクションパートはどれも好きだけど。
正直、この作品の面白みが俺にはよくわからない。
こういう世界観で、こんな日常を生きていて、そんな子達が殺しを生業にしててって事なのだけど、それ以外に何もない。
彼女達は彼女達の日常を生きてるだけで、こちらはただそれを観察してるような感じで、彼女達に感情移入できなければ辛いのだ。
その垂れ流される日常を眺めるのが。
彼女達の名前さえ覚えてない。
普段の生活で全く正気を感じられなかった金髪の子がバトルになり俄然目の色が変わる感じは好きだった。笑うのは生きてる実感が湧いたからなのかもしれない。
非常に退屈だった。
もうちょい彼女達を飲み込めるだけの材料があれば、俺には良かったのかもしれない。
ゆるい中に本物のアクション
女の子たちの妙にリアルでゆるい日常の中にある
バイオレンスさが嘘みたいなんだけど
アクションが本物だから見入ってしまった
ストーリーは軽くてみやすい
設定もあり得ないからいい
日本でこんなアクションできる人いるだとびっくり
ただただ主演2人のファンになってしまった
あと、この作品にラバーガールがいるのがいい
これだけでもサブカルっぽさが増す不思議
日常、ときどき(多めで)、ばいおれんす
"ベイビーわるきゅーれ" シリーズ第1作。
Amazon Prime Videoで鑑賞(レンタル)。
女子高生殺し屋コンビ、ちさととまひろが高校卒業を機に社会人をしなくちゃいけなくなると云う設定がとてもユニークだった。独特な世界観と全体に漂うユルさがクセになる。
殺ししか知らない彼女らの暮らしに溢れる平凡な日常感と、本格的でキレキレなアクションが炸裂するバイオレンスのギャップにヤラれた。このふたり、間違い無くどこかにいる。
※修正(2024/07/14)
ラジオで絶賛する人がいたので、、、
見てみました。レンタルで。最近「2」が上映されてたんだよね。
設定的には「天使の処刑人バイオレット&デイジー」に似てると言うか。
基本「ギャップの面白さ」をシリアスでもユーモアでも出したいんでしょうね。
でも演技がちょっとわざとらしいような。敵役の女性も含め、ちょっと演技が「あざとい」というかね。「へらへらしてるけどやるときはやる」みたいなのやりたかったんだろうけど。
女子高生が殺し屋って設定だけでもインパクトあるのに、それに加えてあの演技はちょっと相乗効果になりきれてないようなね。
ラストのアクションは良かった。ガンファイトがサクサク進むのもまあまあ。というかあの2人無敵?と言えるような強さがね。続編とかで敵役の強さがインフレ起こさなきゃいいけど。
タブーのハードルを、ここまで低くする事には賛成する。しかし、日本古...
タブーのハードルを、ここまで低くする事には賛成する。しかし、日本古来からの『殺陣』を大事にして貰いたい。飛び遠具とか殴り合いでは『殺られる側』の演技だけに掛かって来る。
タブーを無視した殴り合いならば、『金的』しか無いわけで『金的』を狙えば『一分間で終わる』。どうせサブストーリーなんだから『必殺技金的狙い』である。何故そのタブーが破れないかは、映像的に面白く無い事と、殺陣の演技が出来ない演者ばかりだからだと思う。まぁ今に始まった事ではないが、
例えば、マカロニウェスタンで早打ち演技とか言うが、所詮、ピストルを構えるだけの演技。
また、駅馬車の倒れるネイティブも馬上から転げ落ちるスタントマンの演技。
だから、やはり、日本古来からの殺陣を大事にした、刀を使った演技をするか、金的がガードされていることを明示した戦いであるか、肉体的に女性同志の殴り合いであってもらいたい。
従って
女性は金的を狙えば、間違いなく、男には瞬時に勝てる日頃からそう思って良いと感じる。
この映画で、金髪の女の子の方がアクションは出来るとは思うが、男のアクターと比べると、力量の差ははっきりしてしまっている。その為にも、やられまくって、最後の土壇場で金的を使って.大勝利♥と言った演出でも良いのではないかなぁ。
少女終末旅行見たく、もっと違うキャラクターにするとか、片方は可愛くなくするとか。そう言った設定をすると5話位続編が作れると思う。
アイドルばかり使って、頭でっかちな話ばかりを作る企業系配給元の作品よりは遥かに良い。
殺しはピカイチ。暮らしはイマイチ!
ゆるーい生活と過激な殺し屋女子高生の激しいバトル!!
殺し屋女子2人組の日常をユルーいユーモアと激しいアクションで描いた映画。
確かに今までの日本映画にないタイプの映画かも!
第一にタイトルのネーミングが最高。
《ベイビー+わるきゅーれ》
ワルキューレって北欧の勇ましい女戦士のことだよ。
(戦場で、生きる者と死ぬ者を定める役割をする)
ベイビー2人があり得なく強くて漫画だけど、現実生活のダサさとの
落差に新鮮味がある。
要するに気取ってない。
強いけれど尊敬もされない、
金もない誰からも大事にされないヒロインなのだ。
殺し屋の腕はピカイチだけど社会にはなかなか馴染めない2人に
組織は正業(アルバイト)に就いて自立してアパート生活を勧めてくる。
まひろとちさとは同居生活をはじめる。
イケテナイ部屋にイケテナイ・インテリア。
食べるのはおでんやカップ麺。
冒頭のまひろ(伊澤彩織)のコンビニ採用面接シーンは、
過激度&刺激度120%。
いきなりアクション全開だ。
身体の大きさが倍もある大男4人とタイマンで戦うまひろ。
ケタハズレに強いというより、背負われたり投げられたりのツイストで見せる。
スピードと技の多彩さは伊澤が元々はスタントパフォーマーだから。
対してちさと(高石あかり)の職場は、「メイドカフェ」
の前に勤めていたレストランの厨房の補助スタッフ。
ワッフルの飾り付けパートは超ワロタ!!
(私らは現実には、ウザいやつは夢でしか殺せないけれど、
「ベイビーわるきゅーれ」は瞬殺出来るもんね!!
そこも人気の秘密か!!
難なくメイドに成り切る順応性の高いちさと。
ヤクザの親分役で「日本統一」の本宮泰風が子分と登場する。
日本統一は全く観たことがないが本宮泰風、めっちゃめちゃイケ面。
ため息ものの格好良さ。
(この人の妻が松本明子なのか?似合わない!!)
本宮泰風はヤクザの親分。
敵対するあかりの親で、あかりはベイビー2人の対抗組織。
だんごやの親父のお釣り200万円に因縁つけるやり方は、
これがヤクザだよな!!
だからお前ら嫌われるんだよ!!
メイドカフェのシーンで秒殺される泰風親分。
やるやん!!
スタントマン出身のまひろ役の伊澤彩織のアクションのキレは
女性とはイヤ、日本の今までのアクション女優とは次元が違う感じ。
あと、BGMのテンポ良さにアクションの相乗効果が大きい。
音楽はノリが最高だった。
あとひとつ、
ストーリーがもう少し面白ければ韓国映画に勝てる!!
ドライなのは好きだがストーリーにもう少し、
トッピングが欲しい!!
どこか癖になる殺し屋の日常
殺し屋として活動する杉本ちさと(高石あかり)と深川まひろ(伊澤彩織)の2人の少女が、なかなか社会に馴染めない様子を描く。
ちさととまひろには、殺し屋としての才能しかなく、その他の社会的な側面や日常的な側面が欠落している。生活のためにどうにかバイトをしようにも、面接で上手く話せなかったり、バイト先で問題を起こしてしまったり、終いにはヤクザとの抗争を引き起こしてしまう。
登場人物の大半は頭のネジが数本外れており、その点が各人物の社会不適合性という側面と物語としての笑いを生み出している。個人的には、まひろの食事シーンに一貫した、食べ物を落とす描写がお気に入りである。
香水のせいだよ〜
横浜ジャック&ベティにて、2との連続鑑賞。
当時観逃していたので助かりました。
設定やキャラ付けなど、正直アニメ向きとも言える本作だが、あのアクションを生身でやることには意味がある。
日常パートも楽しく、両者が引き立て合うことで掛け算になっていたし、それを地続きで成り立たせるバランスもお見事です。
アクションとコメディ(滅茶苦茶笑った)は満点ながら、脚本面は今一歩。
ちさとがひまりと渡部に殺されなかった理由が分からないし、話の流れが微妙にスムーズでないとも感じた。
最後もバラけて闘ったためバディ感が薄く、肉弾戦がカッコよかったのにトドメで銃に頼ったのも残念。
本作で一番良かったのはキャラクターの描き方。
台詞や表情、服や小物、仕草など“現在”の情報だけで“過去”を語る以上の愛着を持たせてくれた。
極道親子から掃除屋、メイドや和菓子屋の店主まで、大好きです。
「青春映画」と謳われているように、主人公たちの友情や成長も描かれる。
アクションやコメディだけでなく、多層的に楽しめる快作です。
このショートケーキが人生の総量
脱力系×バイオレンスという組み合わせはコーエン兄弟『ファーゴ』やタランティーノ『パルプ・フィクション』という偉大な先鋭らが座していて意外にも難関なのだが、それらに劣らない傑作だったように思う。
「殺し屋の女子高生」などといういかにもタランティーノ的な2人組(ちさと、まひろ)がこの映画の主人公なのだが、「女子高生」という表象がもたらすお決まりのイメージを張り手で押し返すパワーとリアリティがあった。
彼女たちの標的はおしなべて屈強な男たちだが、彼女たちはまるでタイムカードを切るように易々と引き金を引く。さっきまで楽しげに談笑していたってお構いなしだ。男たちの必死の命乞いもガン無視。その横で他愛もない雑談に花を咲かせる。彼女たちにとって人を殺すことはその程度の意味しか持たない。
後半になると本物のヤクザや喧嘩のプロといった錚々たるメンツがこぞって彼女たちの前に立ちはだかるのだが、昭和から連綿と続く仁義の魂も平成の内閉的なストイシズムがもたらす鋭い暴力性も、彼女たちの前では等しく価値がない。お前らの時代は終わったんだよ!とでも言わんばかりに2人の新暴力が景気よく炸裂する。
そうそう、幕間に挟まる雑談もまた素晴らしい。「野原ひろしの格言で説教してくる奴ウザい」「ジョジョ知らないのにいちいちジョジョのセリフで返事すんな」「バイト落ちた」「香水つけすぎ」。
この他愛もなさ、まさにファミレスで耳に入ってくる女子高生の会話そのものだ。『デス・プルーフ』の前半部の会話劇みたいな。しかし彼女たちが死ぬか生きるかの危険な稼業に身を置いていることを踏まえれば、これらの雑談が彼女たちにとっていかに痛切でかけがえのないものであるかが伺えるというもの。
それにつけても巧いのは彼女たちの言葉遣いの塩梅だ。シニシズムとアレゴリーを基調とした冷めた物言いはまさにZ世代そのものといった感じだが、それが単なる形態模写に留まっていない。たとえばちょっとでも時代遅れな言い回しを誰かがすれば「それまだ使う人いるんだ笑」という彼女たちの容赦ないツッコミが入る。要するに彼女たちにはものすごく自信がある。自分たちが最先端なのだという堂々たる自負を持ったうえで発話をしている。
現代/現在の言葉遣いを取り入れようとしておかしな空転が生じている作品が山ほどある中で、最先端の心づもりをかなり精密に汲んでいる作品だなと感心した。
2人の服装に関しても文句ナシだ。外交性の高いちさとはショート丈の英字スウェット、オーバーサイズカーディガン、ベロアワイドパンツ、キルティングジャケット、converseといったTHE・現代JKといったスタイルで、一方内向的なまひろは「忘れらんねえよ」のスウェット、ゴシックなバンドT、暗色系デニム、絵文字の総柄ロンT、ジップアップパーカー、スポーツ系ナイロンジャケット、VANSといった所謂ボーイッシュオタクスタイル。両者ともにTikTokからそのまま飛び出してきたかのような出立ちだ。何がいいって出てくる服がみんなQoo10やらSHEINやらで揃いそうなところだ。一式予算5000円くらいで。
中盤にはメイド喫茶でバイトを始めたちさとが、奨学金で大学に通うメイドの先輩をしきりに「貧乏」と形容するシーンがある。しかし2人の関係は悪化するどころかむしろ親密なものとなる。Z世代にとってもはや貧困は隠すべきスティグマなどではなく、一定の確率で付与されるバッドステータス程度の認識になってしまっていることの証左だろう。
そういえば序盤のちさととまひろの雑談シーンでも「増税が悪い」「社会が悪い」というやりとりがあったが、実のところここはけっこう本質的なシーンなのではないかと思う。「失われた30年」を全身に浴び続けてきたZ世代にとって、社会とは基本的に憎むべき敵なのだ。敵、という表現は大袈裟かもしれないが、少なくとも同じ場所にいる味方ではない、とはいえる。
事実、ちさともまひろも近縁の人間関係については深く頭を悩ませることはあるものの、それ以外のものに関してはほとんど関心さえ寄せない。内輪には徹底的に優しく、外部には徹底的に冷たく、という極端な情緒配分。わかるわかる。私もそうだ。
そもそもちさととまひろはどうして殺し屋などという危険な仕事をしているのだろうか。まひろは自分のことを「社会不適合者」と嘲ったが、裏を返せばそれは、彼女のような人間を受け入れる素地が日本に存在しないということなのではないか。落伍者たちの最後のセーフティネットとしての「殺し屋」。
もし「殺し屋」という設定が何かのアレゴリーだとすれば、それはキャバクラやソープといった風俗業のことを指すといえるかもしれない。風俗業もまた、高給と自由の代わりに自身の身体的安全を差し出すという点では殺し屋と大差がない。
最終決戦前、ちさととまひろは食べようとしていたショートケーキを冷蔵庫の中にしまう。「この戦いが終わったら…」というお決まりの約束を交わして決戦に繰り出すのだ。カゴ付きの自転車で。
しかし生きるか死ぬかの戦いを乗り越えるための願掛けアイテムがたかだか数百円のショートケーキというのはあまりにも物悲しい。思えばちさととまひろは殺し屋稼業で潤沢な資金を得ているはずなのに、彼女たちの食べるものは軒並み貧相だ。具の少ないおでん、硬そうなフランスパン、300円の団子、何かの煮物など…バブル以降少しずつ日本を蝕み続けている貧困は、今や精神の領域にまで入り込んでいるのかもしれない。したがって、たかだか数百円のショートケーキに自分のたちの命運を賭けてしまえるのだ。
そして彼女たちは欺瞞と不条理に満ちた戦地に向かう。まあなんとかなるだろ、という持ち前の軽いメンタルで。しかしそこにはオプティミズムというよりはむしろ諦観のようなものを感じる。そうでも思っていなければやっていられないような不安が彼女たちの目の前にあるかのようだ。
殺し屋稼業は確かに割がいい。しかしそれがいつまで続くかはわからない。任務途中で死ぬかもしれないし、会社が倒産するかもしれない。そうなったらいよいよおしまいだ。だから彼女たちは笑う、軽視する、冗談を飛ばす。正気でい続けるために。
現代社会の下層に生じた歪みを、怒りと悲しみによって直接抉り出すのではなく、あくまでシニカルな笑いによって逆説的に提示しているという点では中島哲也『嫌われ松子の一生』を彷彿とさせる。あるいは山野一『四丁目の夕日』か。
しかし私はこういう作品がとても好きだ。ひとしきり笑ったあとでじわじわと滲み出してくるシリアスほどシリアスなものはない。阪本監督の他の作品もぜひ観てみたくなった。
振り返らないで出ていく
喫茶店のシーンが面白いんです。
設定が面白いから、やり取りも面白い。
それと、須佐野を演じた飛永さんが芸人さんということで、間の取り方や声のトーンに、面白くする技術も有るんじゃないかな。
この辺の配役が上手だなと思いました。
それから、もう一人気になった役者さんが、メイド役の福島雪菜さん。
メイド以外の役も見たくなりました。
それでね、ちょっと調べてみたんです。
そしたら、彼女は八月で所属していた劇団4ドル50セントを退団していたみたいです。
発表されている彼女のコメントを見る限り、女優業を引退しちゃうみたいですね。
となると、この作品が福島さんにとって最後の映画になるのかな。
この映画での彼女の最後の登場シーンは、ちさとがあの親子を射つところですね。
振り返らず出ていく場面が、彼女のラストシーンだなんて、新しい世界に踏み出すみたいでいいじゃないですか。
なんか映画の本筋とは関係ないところで、感動しちゃった。
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