ももいろそらを カラー版のレビュー・感想・評価
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この天才監督を正当に評価する言葉を知らない‼️
所謂見たことのあるタイプの映画の評価を直線上で傑作、駄作と評する事はたやすい。しかしこの作品の様に映画を知り尽くしていながらかつて見た事の無いようなタイプの作品を作り上げる事は至難の業である。カラー版もモノクロ版もラストに黒澤の影響が強く感じられて本当に映画をよく分かっている監督だな~と思う反面、このシナリオをいったいどうやって書き上げる事が出来るのだろうといつも感心する。また書き上げる事が出来たとしてもこれを高校生に近いような俳優陣に演じさせる演出法は見た事がない。敢えて言えば小津か森田芳光か相米慎二くらいか・・・。それにしても頭抜けてる。 常に露出過多のPOV方式のカメラワークも秀逸である。女子高生と言う得体のしれない生物を撮影するにはこれ以上ない方法論。何処をとってもこの監督の作る映画は誰もマネできない唯一無二の世界。まだ未見の作品が何点かあるのでこれからも潰して歩くのが楽しみで仕方がない。
世の中すべてお金...なのか?
「殺さない彼と死なない彼女」「恋は光」の小林啓一監督、初の長編作品。本当はモノクロバージョンが良かったんだけどねぇ。U-NEXTがカラー版しかないもんですから、仕方なくこっちで。でも、流石小林監督。さすがの面白さでした。 やっぱりこの監督はキャラ付けが上手い。 全員個性的なんだけど、どこか抜けていて、どうしようもない。主人公含め、どの登場人物も人間臭い。しかも面白いのが、登場人物全員、映画が終わる頃には格段に成長を遂げているということ。ちょっとしたことで人は変わる、ちょっとした経験が影響を与える。この監督はいつだって、そのテーマを忘れない。だから好き。 ストーリー、キャラクター共にかなり変わっているんだけど、それが故にめちゃくちゃ笑えるし、シュールでたまらない。何度もみたいシーンなんて沢山ある。適当な感じに見えて、実はしっかり考え尽くされている本作。伏線回収もお見事で、ラストも最高にいい。 正直、小林監督作の2作品と比べると、ストーリーは弱いし、見応えも薄いんだけど、らしさ全開でかなり面白い。いやぁ、本当によくできてるこの映画。また新作、待ってます。ちなみに、恋は光は本年度(2022年)1位です。
所持したい映画
日本映画をザ日本映画と称して貶すことがありますが、ときどきじぶんの見識が具体性に欠けていると思うことがあります。 (もちろん素人が勝手なことを言っているだけなので、どうでもよろしいことですが・・・。) 「ザ日本映画」にいくらかの具体性を付与するために、ザ日本映画の系譜ではないひと(監督や映画)を挙げます。現代に限ったチョイスです。いま思いついた限りなので網羅性はありません。(挙げられてない人がいるはずですが、そもそもすべてが偏見にみちた個人の見解に過ぎません。) 中村義洋、中島哲也、李相日、是枝裕和、原田眞人、鈴木雅之 ・・・。演出ができる監督は、ザ日本映画ではありません。また、テレビドラマを主軸にしていて、さほど映画監督としての知名度のない演出家──真夏の方程式・祈りの幕が下りる時・罪の声・グッドモーニングショー等々の監督も、ザ日本映画の系譜ではないと思います。(グッドモーニングショーの世評低いですが、個人的には高評価です) さいきんの傾向として、テレビ畑の演出家の映画が、さらりとザ日本映画を凌駕することが多い気がします。日本映画がアート側から輩出されず、西谷弘福澤克雄土井裕泰君塚良一のようにテレビや技術畑から出る人たちで構成されていたら、日本映画の混迷はなかったはずです。ひとつの結論として、映画をアートだと捉えている人はアウトだと思います。 北野武、庵野秀明、岩井俊二は別枠で、濱口竜介も日本映画にいなかった人です。 氷菓という映画があって、わたし(も)山崎賢人は好きじゃないのですが、世評に反して、わたしには氷菓の実写版がすごくいい映画でした。で、アニメ版も見ましたが氷菓の実写版は、やっぱりいい映画でした。ので安里麻里監督を個人的に買っています。 逆にどんな映画がザ日本映画かと言うと三島有紀子園子温河瀬直美瀬々敬久塩田明彦蜷川実花熊切和嘉高橋伴明荒井晴彦石井岳龍奥田瑛二行定勲石井隆大森立嗣廣木隆一SABU・・・などなど。(行定勲の円卓、熊斬切和嘉の海炭市はいずれもよかったです。ぜんぶ見ているわけではないので、なかにはいいのがあるかもしれません)21世紀の女の子系は言うに及ばす。山中瑶子はフルスロットルでザ日本映画です。深田晃司もふつうの不条理でザ日本映画です。黒沢清はザ日本映画ではありませんが(個人的に)力量がまったくわかりません。 ザ日本映画の見分け方は簡単で、日活ロマンポルノを思わせるとザ日本映画認定です。ふしぎなことですが日活ロマンポルノを知らない世代でも日活ロマンポルノをしてしまう──のがザ日本映画の系譜です(例:21世紀の女の子) (ザ日本映画にたいして昭和感(時代遅れの印象)と同時によくおぼえるのが「それは映画でやることじゃない」の気配──です。松本人志の映画を、わりと面白く見ました。だけど、なんていうか「それは映画でやることじゃない」わけです。奇抜なアイデアではあっても「それは映画でやることじゃない」の印象は、はやいスピードで陳腐化するものだと思います。 若い人が撮影のシステムを知らずに脚光を浴びた結果、強靱なザ日本映画の作家になっていく──そんな悪循環がザ日本映画界にはあるような気がしています。21世紀の女の子なんて、もてはやすのも罪深いと思います。) ところで、さいきん「あ、これザ日本映画じゃないぞ」の体験は濱口竜介監督でしたが、そのまえはももいろそらをの小林啓一監督でした。注視してきましたが、その後ももいろそらをの感動は得られませんでしたが、ザ日本映画の監督ではありません。 この(オリジナル白黒版の)DVDを持っていてなんども見ています。 カラー版が公開されたことを知りませんでした。ようするにわたしはこの映画を見ていません。が、カラー版告知動画の、極彩色の池田愛を見て衝撃を受け、その勢いでレビューを書いてしまいました。メディア化おねがいします。 わたしはかつて、ももいろそらをのオリジナル白黒版のレビューにこう書きました。 『いったい何度、池田愛をググったかわかりません。この女優の愛すべき下手さは、まるで街頭でニューヨークヘラルドトリビューン!を繰り返し叫ぶジーンセバーグのようにフレッシュな映画的魅力がありました。やっぱりサンダンスは信頼できます。』 かわいい映画です。かわいいとは容姿の形容としてのかわいいではなく、こじんまりとして、しっかり世界観があって、独自性がある──というような意味合いです。池田愛の下手が気にならないどころか、むしろ愛着がわきます。佐藤役高山翼のめんどくさそうな気配もいいです。映画に、映画的アイデアがあります。新聞記事を採点するJK→財布をひろう→佐藤につながる→新聞づくりをさせられる→ゲイがばれる→なんか死んじまう→カラースモークしこむ。すべて小さなできごとですが、オリジナリティがあります。じゃー自首してきますわとかあいかわらずばかかとかロバートパティンソンに噛まれたいわとか──セリフも楽しいです。 ザ日本映画の見分け方は簡単で、日活ロマンポルノを思わせる──と書きましたが、もうひとつ顕著なのは、承認欲求です。映画が「おれの描く世界すげえだろ」の印象を持っています。賞ほしさに身もだえしている気配やオレオレ感があります。(とりわけ園やSABU)そんな外国映画を見たことありますか?ザ日本映画だけがもっている特徴です。 かわいい映画は承認欲求が払拭されていることが前提条件です。ももいろそらをや、たとえばフランシスハに、だれかに褒められたがっている気配がありますか?かわいい映画は、何も望んでいないフォルムを備えています。カンヌどころかサンダンスも──いや、出品しなくてもいいですよ──の無欲が「かわいい」の根拠です。 この映画とフランシスハにはなんの関係もありませんが「かわいい小品」なのでわたしのなかでは似ています。フランシスハは単館からじわじわ拡がった映画なので、おそらくひっそり公開される──立ち位置も似ていると思います。が、個人的にこういった小品こそグランドシネマサンシャインとか最大級の箱で見たいものです。ノアバームバックがカラー化を承諾してももいろそらをとフランシスハのカラー版の二本立てをやったら、最高だと思います。 繰り返しますがわたしはこの映画を見ていません。が、カラー版の告知動画で色つきの池田愛を見て、衝撃を受け、レビューを書いてしましました。すいません。
ハートキャッチいづみちゃん
2021年映画館鑑賞66作品目 7月18日(日)フォーラム仙台 モノクロ版未鑑賞 オリジナルは2011年の作品 だからスマホではなくガラケー 女子高生3人と男子高生1人を中心としたコメディー映画 出演者は『ぼんとリンちゃん』にも出ていた桃月庵白酒しか知らない 主演池田愛演じる川島いづみ 声が大きい 暴言癖 立憲の某国会議員のように新聞の記事を読んで採点をするのが趣味 発言内容は日刊ゲンダイやリテラ以上に猛烈に臭い 不機嫌な時の顔が面白い 30万入った財布を警察に届けず知人の印刷屋に20万貸してしまういけない女子高生いづみ なんやかんやで女友達2人と財布の持ち主と一緒にポジティブな新聞を作る羽目に その新聞のおかげで印刷屋は借金返済するというなかなかな展開 インディーズだろうか 石井裕也監督の初期の作品にちょっと似た感じがする だが石井作品と比べテンポが悪く眠くなる人がいてもおかしくない なぜ今どき(といっても今から10年前の作品だが)モノクロで製作したのか理解に苦しむ 初めからカラーで良かったのではないか 時代劇ならともかく現代劇でモノクロ撮影するなんて監督のマスターベーションとしか思えない ボーリング場で膝枕するシーン エッチなバイトで稼ごうとしたが経営側が門前払いで掌返し女友達に謝罪するシーン わりと好き
鑑賞出来て幸運、だから映画館へ行くのです
オリジナルは観ていません。 というか知らなかった🙇♂️ ダメな人には全くダメな作品でしょうか。 序盤、失敗したと思いましたが、じわじわと魅了されます。いづみさん、演技が上手いのか下手なのか、いい感じです。 相当恥ずかしいこと言ってますが。 セリフの一つ一つが面白くて😊 ストーリーも20万円返ってきて、しっかりまとまった?感じ。 ラストはどう感じるか人それぞれ じゃれあいなのか、新しい恋の始まりなのか 劇場で観る機会はもうないかと思うので パンフレットが買えて嬉しい😃 たしかに、寅さんかも(笑) 上映館全国6劇場、鑑賞出来て幸運 だから映画館通いはやめられません。
【カラフル 2】
(カラーバージョンに寄せて) カラーバージョンは、モノクロよりノスタルジック感は少なくなるのかしらと思っていたが、いづみの着替えるTシャツがカラフルで、高校時代の色鮮やかさが思い出されて、逆にノスタルジックだなと思ったりした。 だんだん、シックが良いとかいってカラフルなものを身に着けなるなるしね。 僕は、赤とかショッキングピンクのTシャツを今でも身に着けるけどね(笑) (以下、レビューは同じ) 中学生よりは少し大人になって、でも、大人に片足を突っ込んでみると、世の中の嫌なところが目について、場合によっては、打算に縛られて生きていくことになるのかと閉塞感も募る。 進学云々で違いがあっても、もしかしたら、それが高校時代かもしれない。 溢れる様々な嫌なニュースを高所から批判的な目で見ているつもりが、世の中を斜めに見る目は、大人の書いたそんなニュースに大きく影響されていることも多い。 こいつんちは、天下り官僚だとか、その息子だとか。 反対に、自分で良いニュースを集めてみても、決して居心地は良くならない。 きっと、良いニュースと悪いニュースは、バランスしているように僕は思う。 廃業寸前の印刷屋が、病院で請け負った新聞の印刷で復活する。 その中に自分も含めた潤滑油があって、世の中は巡り巡っているのだ。 それを知ることは大人になることだ。 イケ好かない天下り官僚の息子の甘酸っぱい同性愛も、ニュースで取り上げられるような話題じゃない。 良いニュースと悪いニュースの陰に隠れた事実も沢山あるのだ。 「ゲっ、あっ!、ホっ」 いづみは、光輝にゲイとかホモという言葉を浴びせるのを思いとどまっていたじゃないか。 僕はこの場面が結構好きだ。 バカバカバーカばっかり言っていたのに、少し考えらえるようになったのだ。 良いことだ。 でも、考え抜いたアナル・ファッカーはアウトだけどね。 空が想うようにピンクにならなくても、たとえ僅かだけだったとしても、ちょっと世の中にかましてやったと思えたら、それは素晴らしいことのように思う。 そう考えられるようになることも、大人になるということだ。 カラフルな青春。
行動すれば偽善も善
モノクロ版未鑑賞 駅近くの自転車置き場で財布を拾った女子高生とその友人達が持ち主に絡んで巻き起こる話。 持ち去るのか、届けるのかほんのり葛藤かと思ったら、何と直接お家にお届け?から始まり、友人との財布を巡るやり取りは、個人差なのか世代差なのか性別差なのかは判らないけれど何がしたいんだ?という中途半端な行動にみえるし、その子と友達?というちょっとやり過ぎかという感覚を憶えるし、演技力は仕方ないところもあるけれど、狙った様な演出とか、リアクションとかがちょっと多くて、イマイチ真っ直ぐ伝わってこない。 話しの転がり方は良かったんだけどね。 内容の割に尺も長いしテンポも悪いし、色々と省いてくれたら面白くなりそうな感じはしたかな。
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