成れの果てのレビュー・感想・評価
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とんでもない人たち
いやぁ、グロテスク。
こんなにも自己中心的な人ばかりが出てくる映画は久しぶり。人間の持つ醜悪さを詰め込んだような90分間。
まず、妹の気持ちに配慮しない姉。気を遣っている風に見えて自分の事しか考えていない。
その彼氏も同様にこの2人は何があろうと絶対に繋がってはいけない事を分かっているはずなのに、結局は自分の幸せを求める行動になっている。
居候する友人は分かりやすくクズだし、幼馴染の電気工事屋も同じく。みんな自分の為なら他人を犠牲にしても構わないという本音が露悪的に描かれている。
セカンドレイプという概念の無い世界線なの?と疑うくらいに配慮の無い人たち。みんな幸せを求めているけれど、そうなれない原因は自分にある。利己的に生きた人間の成れの果て。
と、偉そうに書いている自分にも、同じような部分が無いかと振り返ってしまう。
こんな風になってはダメだよという反面教師ばかり。
主人公の彼女だけは幸せになってほしいなぁと願うばかり…
舞台劇の映画化
元々舞台劇であったものの映画化と聞きとても納得。出てくる人がみな舞台劇の登場人物らしいデフォルメされた存在であり、強烈にいやらしく戯画的で面白い。その中で一人、主人公はリアルそのものであり、迫真の演技は素晴らしかった。ただそれゆえに見ていて苦しかった。
世の不条理を告発する部類の映画は好きだし意欲作だと思う。ただ主人公が憎しみを吐き続けてその先が描かれていないことにどうしてもモヤモヤしてしまう。このように出口のないさまがリアルな被害者なのだということもわかるし、狙った通りの後味の悪さだなのだろうとも思うが。
脚本が良い、映画を見て気分が良くなりたい人には不向き
これは映画館で見る映画です。テレビドラマではこのような作り方は出来ません。何の救いのない終わり方で終わります。映画を見て気分が良くなりたい人は絶対に見てはいけません。
筋書きは「気分悪いけど、私は好き」です。変に「勧善懲悪」になっていないところが良い。
それにしても登場人物が全員「胸くそ悪い!」、これを演じられるのは、すごいと思います。
田舎の人間関係の濃密な部分が「これでもか」というように表現されていて、見終わって「ああ、田舎はいやだな、都会に出たい」と思った人がいるのでは。
減点要素:画面がブレて見苦しい箇所が散在する。手でしっかりカメラを支えられないのならば、三脚にでも載せなさい。
嫌な気分に浸りたいなら観てもいいかも
予告を見てなんだか嫌そうな作品だな、と却って興味を持ったので観てみたけれど、想像以上に嫌な作品だった。
田舎町に暮らす姉と、都会に出た妹。姉から結婚することになったと連絡があり祝福するが、その相手はかつて自分をレイプした男だった。
田舎町のことで、周囲の人間は皆そのことを知っており、かつその話で受けを取ったり盛り上がったりする醜悪な人間ばかり。妹は男と対峙し、男は姉の元を去る。かいつまむとそういうお話なんだけど、8人しかいない登場人物の誰にも感情移入ができない。そして最後に放たれるどす黒い瘴気のような感情の爆発が静止できないほどに酷い。
最初からそういう嫌な話だろうなと当たりをつけて観ているから、それはそれで見ていられるけれども、そうでなかったら相当きついのではないか。観てよかったとは思ったけれども、もう一度観たくはない。
あぶりだされてゆく。
レイプ事件の被害者、小夜。加害者、布施野。事もあろうに姉のあすみからその布施野と結婚するつもりだと連絡を受け、動揺と困惑と何もかも破壊してやりたいほどの憎しみを持って8年振りに疎遠になっていた実家へ帰省する小夜。
めちゃくちゃ狭いコミュニティの中で物語が進みます。田畑に囲まれた田舎町。あすみ一人で暮らすには広すぎる家。田舎特有の空気感が相まって更にどんよりした重たい雰囲気に包まれてゆきます。しかも不幸な事に登場人物がみんな自分勝手で胸焼けするほどタチが悪いです。事件を軽視する当事者達。面白おかしく茶化す外野。小夜の乱入でそれぞれの心の奥にある汚いものがあぶりだされてゆきます。醜悪で見るに堪えません。それなのに言葉の力が強くていつの間にか釘付けになっていました。
地味で物静かなあすみが化粧をする刹那。鏡に写し出されるその本性と向き合うのは他でもない自分自身。見事にタイトルが回収されるラストシーンは必見です。
凝縮された劇映画
ポスターは金髪に染めた主演女優の萩原みのりが強い目力でインパクトが強い。観てみると出てくる俳優は知らない人ばかりで(好演しているけれど)、地方が舞台でおそらく低予算、地味な印象を受ける。
もともとは10年以上前に話題になった劇をベースにしているというだけあって、90分程度の上映時間に無駄なく緊張感持った内容。主演の萩原みのり演じる小夜が東京から姉のいる実家に戻ったことで8年前のある事件が再び記憶を呼び起こす。小夜は有無を言わさぬ物言いで周囲の人物たちを追いつめかき回す。腫れ物のような存在であるがポスターそのままにインパクトが強い。姉も図書館に勤める堅実な女性だが、その姉が8年前の事件の加害者である男と婚約したことが物語の始まりで、一見して地味な彼女がその恐ろしい本性を顕わにするのがこの映画の真骨頂。その取り巻きたちも嫌らしい人間ばかりで救いのない閉鎖的な舞台。
でもおもしろいと思った。上映館数も少なくて埋もれてしまうのは惜しい。
この町の人々に思いやりという気持ちは無いようです
とりあえず加害者が増えなくて安心した。小夜はそのことに気付いたんだろうか?踏み留まってくれて良かったと言って良いのだろうか?
例の出来事が理由で関係性が壊れたのか、元々破綻してたのか、どっちなんだろう?と観終わった今でも悩んでいる
なかなかの熱演。
確かに熱演ではある。
短編小説をドラマ化したような雰囲気もある。
この映画は、舞台の演劇を元につくられたということのようだ。
エンディングは、物語の途中で終わる感じがあり、もう少し背景を描きたいところだが、低予算映画の限界があるのかもしれない。
少し物足りなさはあるが、インディーズとして見れば、悪くない出来と言えるかもしれない。
劇場公開の期間は短めなので、観たい方はお早めに!
許されざる幸せ
姉の結婚、小夜は素直に喜べなかった。
何故なら相手は絶対に許せないあの男だったから。
小夜は久しぶりに帰郷し、忌まわしき過去と対峙する。
なんとも言えない映画だった。
小夜の過去に何があったのか?
事件については鑑賞以前から容易に想像出来るが、それだけで終わらないのがこの映画。
田舎の小さなコミュニティの中で“なんとなく”封じられてきた事件を、地元から追い出され幸せを奪われた小夜が、決して“なんとなく”では終わらせないと、関係者たちに思い出させ毒を流し込む。
前半は小夜の強い女性像に惹かれた。
彼女の強い憤りの籠った言葉の一つ一つには、論破や逆張りをしているかのような圧と絶対に揺るがないカッコ良さがあった。
ただし彼女の悲痛を美化してはいけない。
後半ではある程度張っていた予防線を壊し、復讐へと転じてしまう。やはり復讐は何も生まない。自分の復讐によって自分が傷つけられてしまう。
こういった場合の復讐的正義は罷り通るべきだと思うのだけど、なんとも切ない。
登場人物が本当に全員狂っている。
怒り、悲しみ、悪意、自衛。
終始ドロドロで重いテーマにも関わらず、そこまで引きずる重さではなかったが、やはり小夜の受けたことを考えると苦しく辛い。
それに対して、自分のことばかり考えて小夜を上手く利用するクズどもには、腹が立って仕方がない。
ただ、それだけ魅力的な演技だったということ。
作中では大嫌いだけど、役者はみんな良かった。
中でも萩原みのりさんは群を抜いて上手い。
流石、良い女優さんですわ。
また、カメラワークがなかなか凝っていて好きだった。
全く詳しくないので詳しいことはよく分からないが、やり過ぎとも言える構図や撮影方法は見ていてワクワクした。
また、化粧の扱い方も上手い。エイゴによる化粧を引き立たせるために、その前のシーンの化粧を落としてあるのには感心した。
清純そうな見た目でも〇〇○犯である。ふとした瞬間に化粧が剥がれ、本性が見える。
前半だけならば今年ベスト級だったが、ラストの展開の雑さが少し惜しい。
理解力が乏しいからかもしれないが、夫の出張〜まーくんの狂気〜姉の崩壊の流れが自分にはさっぱり。
結局小夜はどうなったの?あれは、どういう時系列での出来事なの?
妹主体としてやってきたことが、あそこで急に変わってしまったような気がした。
かなり非現実的ではあれど、このテーマはかなり現実的。どうか、この映画が“フィクション”であって欲しい。
そして、萩原さんには作品の中でも現実でも、是非幸せになって欲しい。
【化粧】
この作品、もっと注目されても良いように思う。
映画タイトル「成れの果て」の意味は、エンディングで明らかになる。
舞台がベースの物語の映画化と云うことだが、海外を中心に複数の賞を獲得してるだけあって、僕は、人物像…というか、人物の描き方を中心に見応えがある作品だと思った。
人物描写は、どちらかというとデフォルメされた感じで、舞台の良さが踏襲されているようにも思える。
この作品は、事件は題材のひとつであって、実は、事件そのものよりも、それによって明らかになる人の奥底に潜む醜さとか、嫉妬とか、身勝手さとか、そうしたものを考える作品なのではないのか。
(以下ネタバレ)
さて、ストーリーについては、途中、メイキャップ・アーティストの野本が、あすみに対して、化粧をしないで生きていくなんて辛いというようなことを言うのだが、どこか本音…というか、裏の顔をひた隠しにしている登場人物達と、実は、逆説的に重なっていると感じるようになる。
登場人物達が、いつ本音を曝(さらけ)け出すのか、曝け出した時に、人はどうなってしまうのか、或いは、その前には気が付かなかった溢れ出る感情や、奥底に潜む自分自身と向き合って、人はどうなってしまうのか。
ここにデフォルメされた登場人物達は、どこか僕たちに重なるところはないだろうか。
こうした作品では、観る側は、事件そのものをフォーカスしがちだと思うが、レイプも、そして、仮にレイプじゃなくても、人を傷つけることはあるだろう。
そんな時、ちゃんと向き合っているのか。
傍観して、責任逃れなどしていないか。
人の失敗につけ込んだりしていないか。
自分本位で他者を顧みないのではないのか。
嫉妬が募るばかりで、上手くいかないことを他人のせいにしていないか。
想像力の先に考えさせられることは多々あるように思う。
皆んな奥底に潜むどこか醜い自分自身を化粧して隠して生きているのだ。
ここまで来ると滑稽だ…愚かな人間の私欲の果てに感じる作品の芯
想像を遥かに上回る、重く力強い作品。幸の薄い萩原みのりの真骨頂と呼んでも良いのではないか、そう思えた。
姉の婚約相手は、自分をレイプした男だった…という衝撃的な所から始まる。一見するとありえないように思えるが、田舎のロケーションが説得力を持つ。昔の話がいつまでもこびり付くクセ、仕事などはどうにでもなるから怖い。そんな特有の関係性が、小夜が帰ってきたことで崩れていく。
実は緻密に作られているのがこの作品の凄み。役回りも皆絶妙に噛み合っていて、目を覆いたくたくなるような痛みを長回しで見せる。さらに、画で説得するのではなく、言葉だけで状況を説明して重みを生み出すから恐ろしい。
その中でも萩原みのりが特に凄い。復讐の為なら誰の弱みを握り、叩きのめすまで荒らしていく。あえて背景を直接的に見せず、台詞だけで過去を描いていくので、痛みを伴った台詞が刺さる。他の人物も欲望のまま、その過去の受け止め方も様々。だからこそ、雪崩のように堕ちていく果てはあまりにも衝動が大きい。
ぜひ、成れの果てまで焼き付けてほしい。悲劇的なコミュニティの末路にきっと開いた口が塞がらなくはずだ。
胸糞悪くて救いようも無く、偏差値が低い人たちに悪趣味自慢されてるようで実に不愉快でした
良い意味で褒めてるわけじゃなく、悪い意味で言ってます
思い出せる中で最低部類の映画です
画作りとか役者の芝居とか褒められる部分はあるんですが、それを圧倒的に上回るぐらい脚本監督の人間性や品性を疑いたくなる内容です
人を傷つける悪口としてはいい線いってるセリフもありますが、良い意味でいいセリフは1つも無いし、伝えたいメッセージも何も無いし、人間が描けている、ということでもない
何もポジティブなものだけが映画ではありませんけど、反面教師的に役立つ思想も教養も一切ありません
もちろん、それまでのフラストレーションが吹き飛ぶような感動的なラストなんてありません
ここまで悪趣味で救いも無い映画を逆によく作ろうとするな、と感心しますが、これを面白いと思う人とは関わりたくないとさえ思います
レイプ被害者やLGBTを話を面白くする道具としてしか思ってなくて、実際に存在する当事者たちに配慮して、マイノリティと真摯に向き合って社会問題を扱おうとする気をまるで感じないんですよ
まぁ、観客を心底不快にする事が脚本監督の目的なら、それは成功してますけどね
ドラマの基本は対立と葛藤にあることはこの程度の脚本監督でも分かってそうですが、だからといって登場人物たちがお互いをお互いに罵り合っていれば良いわけではありませんよ
人間には社会性や上下関係があるので、嫌いな人にでも嫌いな感情を出して後で自分が損することもあるから、みんな我慢して本音を言わずに取り繕って生きてるわけです
なのに、この映画の登場人物たちはすぐに他人に悪態をつき口喧嘩を始めます
誰かと誰かが口喧嘩していたら私は止める役に回ろうとか、役割分担的な振る舞いをする人も一切いない
それもダラダラと長い会話で口喧嘩が続くし、なんなら同じシーンでAとB、AとCが連続で口喧嘩したりします
普通はシーンを分けるだろ
同じシーンの中で色んな人が代わる代わる口喧嘩されても見辛いんですよ
(この辺が安い舞台脚本そのもの)
そもそも、口喧嘩する感情の流れをちゃんと作れてないのに、口喧嘩が多ければ多いほど面白いと作り手が勘違いしてるから、ずっと誰かと誰かが口喧嘩してる
口喧嘩させたいために登場人物たちを全員バカにしてるのが安易すぎます
なんなら絶対必要ないキャラクター(秋山ゆずきや居候の女など)までぶち込んで口喧嘩の数を水増ししてる始末です
もう呆れますよ……
偏差値35の底辺高校の生徒でも、もっと社会性は備わってますからね
こんなにすぐ口喧嘩を始めないのに、この映画の登場人物と来たら……
この脚本監督は言葉とは裏腹な、言葉にしない本音にこそドラマがあることが分かってないわけです
だから、野次馬は火事が好きだから次々と放火してでも火事を増やしてしまえレベルの発想で物語を展開させるわけです
あと、レイプという単語が出てくるまで40分ぐらいかけてるんですが、過去にレイプされた加害者と被害者だと観客みんなが思ってますから、そこまで引っ張る情報でも無いんですよ
さっさと設定を分からせてくれるか、引っ張るなら意外性があるけど納得できる別の答えを啓示してくれないと
あと、元が舞台だからでしょうけど、家とレイプ現場だけでシーンを起こしすぎです
逃げ場のない家というパーソナルスペースにレイプ被害者と加害者が二人きりでいるのも変だし、関わりたくない忘れたいと思ってるデブがいつも家にいるのも変だし、興味本位で取材に来る小説家志望女もその彼氏で加害者の先輩も、みんなで家に集まるわけが無いんですよ
本来ならせめて他に客はいない静かな喫茶店でギリギリ会話するようなデリケートな内容ですからね
さらに主人公はどんな気持ちでレイプ被害の現場に通うのか?
あのソファーに座れるのか?
普通ならトラウマで近づけるわけないのに、座れるわけないのに、そうしたほうがショッキングで面白いから、制作費を安く抑えたいから、という安易な理由でシーンを限定してる
それにレイプ被害者の友だちのために自分がレイプ加害者になるって、どういう心境なんですか?
ご都合展開のために異常行動を繰り返す登場人物だらけの話で、何が何やら……
根本的に受け入れがたいからどうでもいいことですが、あのラストなら主人公は姉ですよね
決して荻原みのりではない
1番有名で旬だからといって興行成績目当てで無理矢理主人公として扱われないでほしいです
荻原みのりも演技で上にいきたいなら、こんな映画の主演オファーは蹴れと思いますね
舞台に詳しくないけど、関係者はよくこんな脚本を今さら映画にしようと思いましたよ
その時点で偏差値が低いのが不幸の始まりですね
その思いつきの成れの果てがこれですよ
厚化粧
消えないトラウマを抱える女性が、姉とトラウマを与えた男との縁談に憤る話。
東京で暮らす妹に田舎の実家で暮らす姉が男との交際と結婚話を電話で告げたことで巻き起こっていくストーリー。
田舎に帰ってきて会う人会う人みんなに荒ぶる主人公と、帰ってきた彼女によそよそしい態度をとる面々。
トラウマが何なのか、なかなか明確には告げないけれど、そこははじめからお察しな訳で、一見柔らかい感じもするけれど、この姉は正気なのか?と思うことの連続。
そしてこの町にはまともな感性の人間はいないのか…。
ぼそっと姉の口からこぼれた一言、からの剥き出しにした本心は、何一つ共感、同情できるものではなかったけれど、なかなか強烈だった。
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