サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)のレビュー・感想・評価
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自分の知ってる彼らの過去と現在と
多くの出演者を大体80-90年代で覚えているので、その昔と新しく追加されたインタビューで今が見れるという不思議体験をした。
もっと音楽を!
クエストラブが編集している時点で嫌な予感はしていたが、音楽以外に色々詰め込みすぎ。
当時の政治的背景を抜きに、このフェスは語れないというのは、勿論わからんでもないが、イチイチ演奏中にコメントをインサートするのは全くよろしくない。
素材のライブ演奏が、どれもこれも本当に素晴らしかったので「クエストラブのアホめ!」と何度も呟いてしまった。ホントわかってねえ野郎だ。
ハービー・マン&ロイ・エアーズは殆どBGM扱いだし、ソニー・シャーロックも僅かなパートのみで本当にガックシ。
これがヒップホップ特有のミクスチュア感覚だと言うなら勘違い甚だしいとしか言いようがない。
ちなみに、この埋もれていた映像を発掘したのはクエストラブではない。
NYの Historic Films Archive の職員が、当時のライブを全編に渡り録画していたTVプロデューサーのHal Tulchin氏の居場所を突き止め、そこの地下室で何十年も丁重に保管されていた40時間にも及ぶビデオテープ(Scotch!)と巡り合ったらしい。
むしろ、このお宝発掘的なエピソードの方が、当時の観客の思い出話なんかよりもグイグイと引き込むストーリー要素があったと思う。こういう所も「わかってねえなあ〜」といった感じ。
一方、キング牧師の暗殺の瞬間の件や、New York Times のNegro→Blackの件など(Negro is dead. Black is born!)当時の諸々のエピソードは、それら単体でも記録映像としては貴重だった訳で、
ライブ演奏とキッチリ分けて編集して、タイトルにも引用したギル・スコット・ヘロンの名曲をインタビューのBGMとして流して、政治的なドキュメンタリーとしてメリハリもつければ、もっと演奏の方もじっくり堪能できたはず。
スライも、このフェスならではの政治的なメッセージでもあるかとチョット期待したが、結局そんな事も特になく。あのウッドストックの熱狂にも遠く及ばず(アレに比べるのも酷かもしれんが)。
ニーナ・シモンの過激なアジテーションにはチョットびっくりしたが、あれほどストレートな言葉だと、当局から危険視されたのも無理もない。あの頃の黒人の状況だとアレくらい言いたくもなるのも無理ないが。それにしても彼女の音楽はフルで聴きたかった。
マックス・ローチ&アビー・リンカーンなんか、間違いなくニーナ以上に過激にアジってたと思うが、ここも残念なことに勿体なく編集されてしまい…… もっとフルで見せろ!フルで!!
あと、実際の開催日が1969年6月29日から8月24日で、毎回日曜日の午後3時スタートだったのだから、演奏した日付はキャプションに入れないと!基本や!基本!
みんな演奏のパフォーマンスは、本当に素晴らしかったので、出来れば全体の尺もう30分、いや1時間!は伸ばして、とにかく、もっともっと音楽を聴かせて欲しかった。
是非、ウッドストックみたいにno-editのコンプリート版の方をHuluか何処かで配信して欲しい。
スライの凄みとスティビーの天才っぷり
見所はたくさんある、が、流石に大昔の映像なんでカメラワークや機材的な問題もあってクエストラブ監督も苦労したろうなぁ。オープニングに出てきて、ドラムを叩きだしたりやりたい放題の天才Sワンダー。誰も止められない、珍しいロングコート姿も超絶カッコいい✨スライストーンはもはやブラックミュージックとかソウルとかジャンル分け不能。強いて言えばロックとしか言いようがない、もっと観たかった。
単なる音楽フェスではない
ブラックミュージックが好きで行ったんだけど、単なる音楽フェスの記録映画ではなかった。今も続く黒人差別、貧困等の問題について考えさせられる。しかし純粋に、音楽、ダンス、ファッションを楽しめる。踊りたい人は最後列で思いっきり体を揺らして楽しみましょう♩
この映像から50年、科学技術は凄まじい進歩を遂げたのに。
映画は初っぱなから、心をゆさぶってくる、まさにソウル。人種差別の中から生まれた音楽の力強さに圧倒される。
でも観賞中つい自分の住む国に思いをはせてしまう。
音楽に政治を持ち込むな、という陳腐な言動がまかり通る日本。
いまだ名誉白人の意識のままに、欧米にへりくだり、対して隣国人への差別感情丸出しの日本。
なんちゃってソウルフル、うわべだけブルージー、カッコだけヒップホップ…
嬉々として君が代を歌ったMISIAの目に、この映画はどう映るんだろうか。
メトロ劇場が改修で音響が良くなったのが嬉しい。この後も音楽映画の上映があるし、ピーターバラカンが来場予定だし楽しみ。座れるかなぁ…
黒人たちの叫び。そしてラテンとの融合。ミュージシャンは必見の映画。
最高でした。
ニューヨークで行われた1969年の野外コンサートは、前年までにマーティンルーサーキング、マルコムX、ケネディ大統領と次々暗殺され社会的に大きな波が押し寄せてきた時代。
歌詞が字幕で出され黒人の人権を強く訴える歌に心打たれました。当時の様子を多くの人がインタビューで語り、まさに現実問題として黒人の置かれた状況を扱った熱いコンサートです。私的にはこのような社会背景の中から出て黒人たちに支持された音楽に心揺さぶられました。
「ソウルとラテンの融合」と大きく紹介されたのが、レイバレットとモンゴサンタマリア。画面でもニューヨークの地図が映し出され、ラティーノのスパニッシュハーレム、いわゆる黒人たちのハーレムの位置関係も紹介された。ラティーノの事を含めて、もっと多くの人にニューヨークのラテン音楽を知ってほしい。
このような歴史的なコンサートが50年も上映機会がなかったというのが驚き。当時、どこの配給会社も取り扱ってくれなかったよです。
若かりし頃聞いていた懐かしい曲が出てきたときはとても感激。特にスティーヴィー・ワンダー、B.B.キング、ザ・フィフス・ディメンション、ライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーン、テンプテーションズのデヴィッド・ラフィンのマイ・ガールほか多数。
ドキュメンタリーは基本的に好きでは無いが…
私事だが,スティービー・ワンダーがドラムソロを見せる処がある❗️というのが一番の目的だったが、もう始まって15分後位に「未だ入れますか?」という遅刻とは言うには値しないノリで鑑賞した…。がしかし,目的のモノを観ないままに,レビュー出来る訳ないじゃん❗️と思いつつ,未だ演ってる上映館を見付け,改めて観直して観てみた。
いやぁ〜この手の分野好きには堪らん,言い替えればCDでしか聞いた事しか無いような映像&
音源のオンパレードで、観ながら何気無くメモった処で,例えばフィフス・ディメンション,
マヘリア・ジャクソン,スライ&ファミリーストーン,ニーナ・シモン,スティービー・ワンダー等の演奏してる映像が観れただけで,もう余は満足じゃ❣️という処…。
むしろ今、ハーレムでこんなフェスティバルが開けるのだろうか?
闘いを始めた頃の記録、としての価値。
これは強く感じた。
かなり政治色が強いであろう事は、ある程度予測してたものの。ニーナ・シモンが完全に活動家してたのには驚きでした。単なる音楽映画だなんて、とんでもない。アメリカの激動の時代を写す鏡の様なドキュメンタリーでした。
50年間、フィルムが地下に眠った理由は「誰も見たいとは思わないから」だと言うけれど。「誰も、その値段では買おうとしなかったから」ってのが正しいと思うんですよね。
半世紀を経て。
声を上げた弱者を取り巻く環境の激変はあったものの。過度に精鋭化した集団の登場、ビジネスと選挙に結びつける潮流、などなどもあり。差別は悪との認識は一般化したものの、被差別の悪用と偽装弱者の蔓延は、問題の根本的な解決を更に困難なものにしている、ってのは最近強く感じます。
メディアを通じて目に映る対立と分断の激化は、社会の実態と乖離してる事ないですか?
にしても。B.Bキングもニーナ・シモンも、すごい歌詞の歌を歌ってたんだな。ってのが衝撃的だった。
良かった。
音楽も。ドキュメンタリーとしても。
ゴスペル、ソウル系が好きな人にはお宝ですね
スティービーワンダーが若い!ドラムも出来るんだ。
あの時代もちろん白人には受けないだろうから、どの様な活動をしていたのでしょう。
活動が限定されていたのかな?
歌の迫力がただ凄い。時代を変えるだけのチカラを感じました。
迫力ある演奏に圧倒されつつも、未公開だった理由をぜひ教えて欲しい一作。
若きスティービー・ワンダーの演奏が、観客を一気に1969年に引き戻し、ニーナ・シモンのメッセージが時を超えて観客に訴えかける、そんな魂と迫力のこもった一作です。ブルースもソウルもほとんど知らなかったけど、そんな素人でも一聴して分かる、ミュージシャン達のまさに魂を削って紡がれる演奏。その迫力もさることながら、数週間にわたって行われたこの、ハーレム・カルチュラル・フェスティバルを記録した映像も膨大なものだったようで、観客席、ステージ脇、そしてステージ袖から、など、あらゆるアングルで撮影された映像をつなぎ合わせて、みごとに一つの舞台を映像上に構築しています。
ところがこの映像は、約50年にもわたってお蔵入りしていたとのこと。アレサ・フランクリンのライブを記録した『アメイジング・グレイス』も同じような経緯だったけど、後者は主に技術的な問題で公開ができなかったという説明がなされている一方、本作が未公開だった理由はあまりはっきり示されません。フェスティバル全体の運営はもちろんのこと、記録映像の撮影という部分を抜き出しただけでも、膨大な人員と機材、資金が投じられていることが明白であるにもかかわらず、です。恐らく収益予想などの興行的な問題が絡んでいるんだろうけど、同年に、しかもそれほど離れていない場所で開催された「ウッドストック」と
は余りにも対照的な経過を辿っています(黒人中心のフェスティバルだったから、という背景も示唆されています)。
しかし、だからこそ、時を超えて蘇ったミュージシャン達の姿は鮮烈で、心を揺さぶるものを宿しています。映像を観て、当時を回想している参加ミュージシャンや、観客の表情もまた忘れられないような印象を残します。作中の、「月面着陸よりもこっちのフェスティバルの方が重要だぜ!」という台詞は、当時の時代背景と彼らの熱意が伝わってくる、なかなか上手い言い回しですね。
よくぞ見せてくれた!
素晴らしい!その一言に尽きる。69年の夏の強烈な出来事。月面着陸もウッドストックも彼女ら、彼らには意味もなく、関係すらない。自らの生活と地続きなフェスがハーレム地区にある公園で行われた現実が全て。これほど熱狂し、感動するフェスを目にした人々がとても羨ましい。スクリーンから放たれるそのパワーを鑑賞するだけでも、その価値と凄さが解る。マヘリア・ジャクスン、スライ、スティーヴィ・ワンダー、ニーナ・シモン、B.B.キング…もう言葉は無用であり、その音楽が全てだ。特にマヘリア・ジャクスンのパフォーマンスにほ震えが来るほどの凄まじさだった。ニーナのパフォーマンスも個人的にとても思い入れがあることもあって、不覚にも涙ぐんでしまった。久々に清々しい感動に浸れた映画だった。
月に行く金があるなら貧困層に回せ!
呼称が“ニグロ”から“ブラック”に変わった頃。公民権運動が盛んだった60年代、ベトナム戦争、ドラッグの蔓延、ジョン・F・ケネディ、マルコムX、ロバート・ケネディの暗殺、そしてキング牧師も・・・暴動を起こさないために音楽で押さえ込もうとしたとも言われる「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」が開かれた。動員数30万。日本じゃ全くわからなかったよ!
最初からスティービー・ワンダーの登場♪しかも貴重なドラムソロの映像まで流れる。しかし、これはほんの序章なのだ。様々な黒人ソウル音楽が登場する中、やっぱり知らないミュージシャンもいた。だけど、みんな熱い!!ブルースを祖とする音楽がこれほどまでに心に訴えてくるのは凄いことです。
BBキングの映像は結構観たことあるけど、ザ・フィフス・ディメンションは初めてでした。「アクエリアス~レット・ザ・サンシャイン・イン」は大好きな曲なのに、オリジナルではないことも知らなかった。そのミュージカル「ヘアー」のエピソードも楽しませてくれました。偶然?音楽の力?やっぱり何かある。
次に楽しませてくれたのがエドウィン・ホーキンス・シンガーズ。「オー・ハッピー・デイ」は『天使にラブソングを...2』でも使われた有名な曲。思わずウーピーを思い出してしまいました。そして圧巻だったのはマヘリア・ジャクソンとニーナ・シモンの迫力ある歌声。また、グラディス・ナイトが可愛い・・・スライ&ザ・ファミリー・ストーンがカッコいい。黒人白人混成ではあるけど、音楽やるのに皮膚の色は関係ない!
もうちょっと音楽を楽しみたかったけど、インタビューも随所にはさんで60年代黒人音楽シーンと政治史を語ってくれる。最近のスティービーの映像やクリス・ロックまで登場するし、何度も見たい映画となりました。
最後にはハーレムにある会場に残ったゴミ、ゴミ、ゴミ。つわものどもが夢の跡といった雰囲気は映画『ウッドストック』にも通ずる同じ構成だなぁ・・・
ビューティフル
だれでも参加出来る様に無料フェスだとおもいますが、お金を払ってでも観る価値のあるフェス
1969年
SNSのない時代
よくこんなに黒人が集結
ラジオとか色々宣伝していたのかなぁ
50年間眠っていたなんて信じられない
月に行ったのは、白人
そんなお金あるなら黒人の生活を改善してというのが刺さる
観客に、笑顔、ノリノリな人の中に、少し不安気な虚な人がいたのが印象的
まだまだ黒人差別が残る現代
本当に難しい問題
お財布が届いてます
(笑)
見た人だけが知ってるネタ(笑)
全体的にはウッドストックより良かった
やっぱりアメリカは白も黒もイエスの国ですね。
69年と言う70'sを迎える前夜の
爆発しそうな空気感が良かった。
ブルースは今のラップだなぁと改めて感じた。
結局自分の生活をリズム付けて吟じてるだよね。
坂本某が「ラップなんて10年で朽ち果てる」
って知ったか教授してたけど彼こそ見たほうが良い。
ミュージシャンのバイブル映画です。
それこそ奴隷音楽から娯楽音楽の転換を
映し出してる。
ニグロからBLACKへ!
本当に良くこのフィルム残っていたな
おススメです。
黒人音楽の深い理解者ではないし、USAにおける黒人差別問題を語れるような資格も無いが、このドキュメンタリー映画の音楽のパワーには圧倒される。
①先ず、5th Dimensionのまだ若く美しいマリリン・マックがその美しい声で『Aquarius』の“When the moon is in the Seventh House…” と歌い出すところで感動してしまった。この映像、何度でも繰り返し観たい!②その後も黒人音楽のそうそうたるレジェンドたちが登場する。マヘリア・ジャクソンの映像は初めて観た。スライ&ファミリーズもニーナ・シモンも。70年代以降今日に至るcontemporary musicが全て大なり小なりここで披露されるあらゆる黒人音楽に影響されていることが良く分かる。それだけでも価値の高いドキュメンタリーだ。③然し、この「ブラック・ウッドストック」とも呼ぶべきこのドキュメンタリーが50年間も時の流れの中に埋もれ忘れられていたという事実が、USAにおける黒人差別問題の根深さを証明している。最近のBlack Lives Matters Movementを考えれば、このドキュメンタリーの中で語られる種々の問題が50年を経た今も解決されていないのが良く分かる。USAでの人種間差別問題や格差問題を日本人が本当に理解出来るかどうかはともかくとして(私自身も正しく理解出来ているかどうか疑問であることを自戒として★の数を半分減らしてある)。④ともかくUSAの歴史・社会・文化の一瞬間を音楽の力とともに捉えた優れたドキュメンタリーだと思う。
題名を「ソウルの夏」とした意味 そこにさらに「革命がテレビ放映されなかった時」と添える意味 そこに私達は考えを及ばせるべきだと思います
感動で泣きました、泣き通しでした
ウッドストック・フェスティバルは、本作のイベントのあった同じ年の8月15日から17日に行われていました
まさに同時平行です
そちらは映画にも、レコードにもなって、誰もが知っています
ウッドストックはNYから北に160km のところ
東京から那須塩原ぐらいの感覚です
一方、本作で記録されているイベントは、ハーレム・カルチュラル・フェスティバル
つまりNYのハーレム文化祭です
詩人とかもでていたようです
しかしやっぱり音楽がメインです
1969年6月29日から8月24日までの9回の日曜日のうちの6回開催
場所は、NY ハーレムのマウント・モリス・パーク
そこは1973年に今の名前のマーカス・ガーヴェイ・パークに改称されています
ハーレムのど真ん中、地下鉄125丁目駅から東にすぐ
あのアポロシアターには、そこから徒歩10分くらいのところ
300m 四方の真四角の公園で、およそ日比谷公園の半分くらいの大きさ
そこに入場無料で、司会はラジオの人気DJ、有名アーティストが毎回多数出演するのですから、各回とも数万人、のべ30万人近くを動員しました
毎回午後3時頃から、日没ぐらいまでの日中の開催
なので夏の西日を照明代用にして予算をケチったそうです
提供は、NY市の公園局や文化局などの行政とマックスウェルのコーヒー
なので出演料は必ずでるから安心して出演してと交渉したと、プロデューサーが言ってます
邦題の「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」は、原題のSUMMER OF SOUL
(OR, WHEN THE REVOLUTION COULD NOT BE TELEVISED) を直訳しただけです
もちろんソウルとは、Soul Musicのこと
当時はR&Bというより、そう呼ばれていたのです
音楽祭記録映画の名作「真夏の夜のジャズ」
原題Jazz on a Summer's Dayを意識していると思います
アメリカにとって同じほどの大きな意味を持っていると言いたいのだと思います
しかしSoul on a Summer's Dayでは無いのです
単に夏の日のソウルミュージックとしない意志を感じます
題名を「ソウルの夏」とした意味
そこにさらに「革命がテレビ放映されなかった時」と添える意味
そこに私達は考えを及ばせるべきだと思います
1969年が黒人の人権問題についてどのような意味を持つ年であったのか、そして21世紀の現代においてそれがどんな意味をもつのか
それが本作のテーマです
1969年の夏
黒人の命の魂も、夏の季節を迎えた
ソウルミュージックもまた、夏の季節を迎えたのだ
この意味を伝えたいという意志を感じるのです
そしてサブタイトルの意味は、当然この革命的な出来事を当時テレビ放映しようとしなかったメディアの黒人の人権問題への無関心さを訴えています
それだけでなく、半世紀が過ぎた今でもそれは同じではないのか?
違うというならば、本作は一体どのような評価を受けるのか?
正しい評価が21世紀ならばされるというのか?
そのような挑戦的なメッセージです
だから、編集の構成もそのような意図に沿って成されていると思います
日本語の字幕が秀逸で歌詞まで大変上手い訳で、全ての曲につきます
私達日本人には内容を理解する上で大変ありがたいことです
序盤に登場する二つのグループが、その意図を象徴しています
フィフスディメンションが序盤に登場して、黒人らしくない楽曲だとどこでも批判されたとメンバーが盛んに証言します
しかし彼らのステージは実に驚くほどソウルフルでした
彼らの音楽の方向性が、後のソウルミュージックの世界的な隆盛に導いていったのです
そして、アクエリアスの歌詞の戦いを止め平和の世界をという内容は、ベトナム戦争の事のようで、21世紀の我々には人種対立の先鋭化を歌っているように聴こえるのです
人気絶頂期のスライ&ファミリーストーンは、人種と性別の混合バンドでした
しかもリズムの中核のドラムは白人であり、トランペットという花形楽器を女性が担当しているのです
なんと先進的なスタイルのバンドなんでしょうか!
こんなに黒いバンドが実は人種性別混合バンドなのです
黒人だけ、男性だけというのは、それもまた差別的なことなのではないのか?という21世紀の視点なのです
だから、この二つのグループを観た観客の驚きを特にフィーチャしていたのだと思います
そして黒人音楽のルーツたるゴスペル、プエルトリコやキューバのラテン世界や第三世界からの他の有色人種の音楽の紹介も入れて目を配っています
そしてモータウンという、日本でいえばジャニーズ事務所みたいな強大なところのアーティスト
しかもグラディスナイト&ザ・ピップス!、そしてデビッド・ラフィン!の登場です
当時の最高の人気者です
つまり黒人文化が現代アメリカをリードしている
これからもそうだろうということを宣言しているのです
21世紀からみれば、このモータウンの基盤の上にフィフスディメンションとスライ&ファミリーストーンの方向性が今日の世界のポップスをリードする存在に、ブラックミュージックを押し上げたのだということがよく分かる構成であるのです
後半には、ニーナ・シモンの白人への攻撃を煽動する歌や、ブラックパンサー党の背筋が寒くなるような白人は豚だと幼児に教える活動を紹介します
そしてまたスライ&ファミリーストーン
曲はハイヤー
もっとハイになれよ!
歌詞の内容は、「クスリでイキなよ」みたいなあられもないものです
しかし、ここまで観てきた21世紀の私達には
こう聞こえてくるのです
もっと高みを目指すんだ!もっと高く!高く!
そんな高尚な内容の歌詞に聞こえてくるのです
確か字幕もそれを意識した訳であったように思います
ソウルミュージックファンなら、神々にも等しいアーティスト達の全盛期の素晴らしいアクトを、インタビューなどでぶったぎっているのは許せない!とお怒りの向きもあるでしょう
しかし、本作は単なる音楽祭の記録ではないのです
「黒人の魂が夏を迎えた」革命の記録なのです
ここを履き違えてはならないと思います
音楽だけの映画にしろということは、こうした監督のメッセージを拒否して、黒人社会の成り立ちの上に華咲いた黒人文化を単に消費だけしようとする態度だと批判を受けることではないでしょうか
それこそ差別的な態度では無いのでしょうか?
とはいえ、これほど良い映像と音で記録されているのだから音楽だけを観て聴きたいというのも人情です
それほどのクォリティーがあるのです
エンドロールに流れる歌の歌詞で、「僕を信じて」と何度も繰り返し歌われます
つまり、黒人達のことを信じて欲しいとのメッセージです
何もブラックパンサー党のような、白人は悪人だ、ぶっ殺せ!そんな革命を目指そうなんて考えを持っている訳じゃない
ただ、同じ人間だということを分かって欲しい
それだけのことだ
信じて欲しい
BLM活動が暴動を起こすような先鋭化を、黒人は誰も望んではいない
これが本作のメッセージなのです
当時の白人市長ジョン・リンゼイをステージにあげて、このフェスティバル開催の成功をともに分かち合うシーンを長く紹介する意図はそれです
人種の融和、平和的に寛容な社会を目指そうというメッセージなのです
このフェスティバル自体、数万人もの黒人が毎週集まったのに一切事件も騒動もなく終わったのです
このエンドロールの曲、誰のなんという曲なのでしょうか?
浅学故に分かりません
プログラムのセットリストにも記載は有りませんでした
追記
Chambers BrothersのHave a Little Faithという曲だそうです
この曲が終わっても、長いエンドロールはまだまだ続いています
会場のガヤガヤの音声だけが、ステレオで大きめの音響で長く流れ続けています
まるで、タイムマシンで半世紀前のハーレムの会場にいるかのように感じてきます
21世紀と、1969年は確かに繋がっているのだ!
それを感じ取れるはずです
エンドロールも終わった最後の最後に、スティービー・ワンダーがちょっとだけ登場します
スタンドマイクの所にうだうだいって、雨も降り始めたのに白人スタッフの上着を掴んで離さないのです
その服は俺が買ってやったものだ!
それが最後の一言です
つまり、これが本作でいう革命ということだ
肌の色に関係なく人間の才能だけが、経済的地位や社会的地位の上下関係を決めるのだ
その捨て台詞だったのです
セットリストが記載されていますから、劇場でプログラムを必ず買うべきです
47 ページもあり、有用な情報が満載です
"BlackWoodstock"
初っ端、スティーヴィー・ワンダーのドラムソロに驚愕しB.B.キングのあっさり感、ウッドストックにも顔を出すスライ&ザ・ファミリー・ストーンの盛り上がり、圧巻のニーナ・シモン。
何となく「真夏の夜のジャズ」のソウル版的な雰囲気も感じながらロック・アゲインスト・レイシズムを描いたPunkなフェス「白い暴動」やヒッピーな「フェスティバル・エクスプレス」みたいなドキュメントも、やはり「ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間」の派手さに知名度、忘れ去られたハーレム・カルチュラル・フェスティバルは夢か幻か。
幼少の頃に観た記憶が薄らぎながらも確信から遠のき、やっと自分が観た事実が真実になり涙する男性、こんな豪華なメンツでのフェスが抹消されるギリギリの月日に年月や時間を彷徨い続け。
クエストラブは知らんがデイヴィッド・バーンの「アメリカン・ユートピア」を監督するより本作の方が合っていたようなスパイク・リー、そんな無理難題を思ってみたりもする。
熱気が凄い
ソウル、ヒップホップ等のブラックミュージックが好きなので、本作は絶対に劇場で観たくて、劇場まで足を運びました。約10年ほど前に鑑賞した『ソウル・パワー』は、渋谷アップリンクで鑑賞したのですが、確か上映館が小さなミニシアターだけだった様な記憶。本作の上映規模が予想以上だったことに驚きました。
久しぶりにスティービーワンダー、ニーナ・シモン、SLYの歌声を聴いて、懐かしくて家に帰ってからもまた聴いてしまいました。観客もほぼ黒人のフェスだったので、ルーツとアメリカのブラックカルチャーが融合した感じ。熱気も凄いし、お客さんの衣装もユニークで素敵でした。
1990年代初めにフリーソウルブームがあって、私はそのブームで、スティービーワンダーやSLYを知る事になり好きになりました。だから、本作を若い方が観てくれてブラックミュージックを好きになってくれたら、なお嬉しいです。
まさにこのフェスをリアルタイムで見て影響を受けたアーティストがいるかもしれませんよね。もしかしたらマイケルが客側で観てたかもしれないなんて妄想してしまうほど素晴らしいフェスでした。
ステージの上と下がフラットで驚いた
思いをバーンと音に乗せる、その格好良さと熱気にやられた。
音楽で全員を同じ方向に突き動かす。政治デモよりも強く訴える力を感じた。
ニーナシモンの歌う姿が凄すぎてビックリ。
全65件中、21~40件目を表示