最後のフェルメール ナチスを欺いた画家のレビュー・感想・評価
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稀代のペテン師、ハン・ファン・メーヘレンの裁判劇。
最も成功した贋作者の物語であるが歴史的に見たら、現在はメーヘレンがオランダの英雄とみられる説はかなり揺らいでいる。その点もキチンと指摘した物語にはなっている。贋作事件はヴォルフガング・ベルトラッキによる贋作が公立美術館にまで流入したケースが有名で、時代と鑑定技術が進んでも鑑賞眼の曖昧さが引き起こすこういった心理的隙間をついた贋作事件は今後も続く事であろう。日本国内で完結した物語でも「永仁の壺事件」(1960年発覚)は突出して有名である。鎌倉時代の古瀬戸とされ国の重要文化財に指定された瓶子が、実は陶芸家・加藤唐九郎の現代作だったことが判明した事案である。この事案は近年🎦海の沈黙と言う作品で倉本聰が美の本質に問いかけをした作品として取り上げられた。この作品は残念ながら映画としてはイマイチであったが、倉本の美に関する意識の具現化と言う意味において一定の評価がされるべく作品となっていた。
ヴォル◯ガング◯ベルトラ◯キに騙されるな♥
ハン・ファン・メーヘレンは贋作者で、僕でもこの事件の事は知っていた。
彼は自分の作品もいくつか残している画家であるが、贋作者としての名前が先行して、ついて回る。そして、この映画で言うように、ナチス・ドイツへの協力者としての足枷が、その後をついて回る。
しかし、こう言った解釈ははっきり証明されているわけでは無い。さて、では。
そう言った画家は日本にもいる。
戦争画家として『アッツ島玉砕』で名前が知られている藤田嗣治画伯である。しかし、彼は贋作者としてではなく、所謂、軍国主義に加担した画家として名をけがしてしまっている。勿論、それまでの功績で、既に世界的に名前が売れた画家だったのだが、戦争画を書いて、更に言葉で戦争に賛成してしまったのである。理由は結局分からずじまいで、彼は日本から去ってしまい、異国の地で生涯を終えた。その間、寡黙を貫いた様だ。
さて、だが、しかし、『アッツ島玉砕』を見てもらいたい。見れば軍国主義に加担した画家に見えるだろうか?
僕は藤田嗣治画伯を、この映画の主人公とは別次元の人として、大変に評価している。
しかし、残念ながら、世界的にはこちらの贋作者の方が有名である。
さて、
当該主人公は明らかに、ナチス・ドイツへ加担した絵のうまい画家なんだと思う。
しかし、それでも、
当該映画は真っ白なワンちゃんだ。
ハインリヒ・カンペンドンクの絵を贋作の疑いがあっても、折角、買ったんだから、贋作として飾っておけば良いと思うけど、無理なのかなぁ?
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