ショック・ドゥ・フューチャーのレビュー・感想・評価
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新たな時代の夜明け感が全身を貫く
映画にうねるようなドラマ 性を求める人にとって、本作の織りなす形はあまりにミニマルに映るかもしれない。だがある意味、そこが肝だ。狭い室内の壁を覆うのは巨大な電子楽器。柔軟運動をこなしたヒロインが、世に放たれたばかりの未知なる楽器と向き合い、スイッチや調節つまみに触れてはガラリと変わりゆく音色やリズムに心を委ね、時おり恍惚の表情さえ浮かべる。こういった機器と人間のコール・アンド・レスポンスを見ているだけで僕らの体が熱狂するのは、そこに最も純粋な形の「芸術の初期衝動」を感じ取るからなのだろう。かと思えば、ひとたび部屋を離れると、社会に漂うのは旧態依然とした業界のあり方や価値観だ。巨大な電子楽器を操るヒロインの姿は、さながら70年代の荒波にもまれても決してくじけずに未知なる次元を突き進む、宇宙探索船のパイロットのよう。今まさに夜が明けようとしている。そのダイナミズムを一点集中的に味わえる作品だ。
一向に盛り上がらない
パリで電子楽器によるニューミュージックが誕生した1970年代のある一日を追う感動作と言いたいが終始ため息とたばこの煙にテンションは一向に盛り上がらない。
ニューミュージック誕生だけでなく女性差別の古い業界体質などにも言及したいのだろう。
ただ、冒頭から主人公のパンティ丸出しの意味のない開脚運動を見せるのでは監督自身のリテラシーの薄さが丸出しですね。
テーマ曲ももっと活気のある曲を出せばいいのに劇中曲を聴く限りではエネルギッシュさに欠けた陰気な歌詞だし新鮮味も今一、ローランドのリズムボックスCR-78が立役者のようですね、当時としてはプログラミングとメモリー機能が評価されたようです。
電子音楽を拓いた女性ミュージシャンに捧ぐとのクレジットがでましたが、そういう趣旨のモキュメント映画でしたか・・。
もしあなたが自分が作るものに自信を持てなかったり「何か惰性っぽくな...
もしあなたが自分が作るものに自信を持てなかったり「何か惰性っぽくなってんなぁ」と思うなら、ぜひこの78分の映画を見てほしいっす。
アマゾンは有料だけど、WOWOWに入ってたら無料で見れます。
テクノミュージックがメジャーになる前の70年代のフランスで、日本製のシンセサイザーに出会った女性が、くすぶっていた思いを開花させようとする一日が描かれてます。
映画館でやってた時も、面白そうだなぁ、どうしようかなぁと思って見過ごしていたのですが後悔。でも、自分も同じようにくすぶる気持ちを抱えた夜に出会えた事は超良かったです。
新しい音楽に出会った時の、主人公の霞が取れていくような表情が魅力的です。
音楽も表現も難しい事なんていらなくて、出会った時の喜び、初めて作った時の喜びが超大切!な事を思い出しました。
石野卓球のコメントも素敵です。
「たまらなく自分のスタジオに行ってアナログシンセをいじりたくなりました(特に前半)」
エレクトロミュージック
1970年代末のパリ、主人公は若き女性ミュージシャンで、シンセサイザーを使って、依頼されたCM曲を作ろうとして悪戦苦闘している。
リズムマシンが導入され、音楽の作り方が大きく変わった時代らしいが、とても新鮮で面白かった。
新しい時代が始まる転換期というのはある。 今何か新しいことが起こっ...
新しい時代が始まる転換期というのはある。
今何か新しいことが起こっているぞと。
新しいものは常に否定されがちだが、
そこに気づける人もいる。
僕の年齢だと、
初めて EAST END×YURI の「DA・YO・NE」を
聞いた時は衝撃だった。
あれは一つの時代の転換期だったのではなかろうか。
僕自身は新しい時代の始まりに気づけなかったので、
ただ変な音楽だなと思ってしまったw
テクノ系が好きな人だったら、
テクノ系の進化の瞬間が見れて良い映画だと思う。
テクノ音楽が好きな人のための映画かな。
アナログシンセの魅力が分かるなら
大前提として、電子音楽に興味がある人ための映画。音楽はやっぱり生音じゃないと!とか、ロックンロールが鳴り止まない人にとっては観る必要はないかなと。
でも、そもそも映画ってそういうものじゃないですか。
個人的にハリウッドチューンな映画は得意じゃないので、タイタニックやアルマゲドンを未だに観ていなくても、誰に何も言われたくない。個人の自由な訳です。
YMOや電気グルーヴをルーツにダンスミュージックに30年弱触れてきた身からすると、古い(時代背景的には最新の)モジュラーシンセに囲まれた空間だけで目がハート。主人公のアナがツマミを弄り、ジャックを挿すシーンがもう格好いい。Supernatureをバックに朝から踊る姿なんてもう最高。個人的には、映画史上5本の指に入るタイトルバックです。
パンフで石野卓球氏も言っているように、良質なエレクトロミュージックは歳を取らない。もし知らない曲ならば、今聴いたその時がまるで新作。そんな素晴らしい音楽が鳴り続ける本作。早すぎるエンドロールを目に「もっと観ていたい!」と思えたのは、音楽の良さ(と言うより嗜好の一致)と映像の美しさ、そしてフランス人の内なるエロスが原因なのでしょう。老若男女すべての演者が格好いい。ああ、見た目だけフランス人に生まれ変わりたい。
と、星の数に比例しない感想なのですが、その理由は客観視した時のストーリー。英語を小バカにし、ニュートラルに女性を下に見る1978年のフランス気質を挟みながら、新しい音楽での成功を目指して頑張る女性を描く。それ以上でもそれ以下でもないので仕方がない。
TR-808以前のリズムマシン「CR-78」を体感してはしゃぐアナに価値を感じるなら必見です。
【エレクトロミュージックが世界を席巻し始めた1970年代後半のパリを舞台に、近未来的な音響を追い求める若き女性ミュージシャンの長い長い一日を描いた作品。】
ー エレポップと言えば、今作でも流れるディーヴォを始め、アメリカ、ドイツ、北欧、イギリスが主流だと思っていたので、舞台設定が意外であった。
だが、今や、ミクスチャーロックを始め、殆どの分野でエレポップ、ロック及び、今作でも紹介される日本製リズムマシンや、シンセサイザーが当たり前のように使われているのだ。ー
・依頼のCM曲が仕上がらず、行き詰っていたアナ(アルマ・ホドロフスキー)の前に持ち込まれた、初めて目にする日本製のリズムマシンに魅了され、アイディアは、一気に曲に昇華する。
<さて、当時の保守的な男性優位の音楽社会に、彼女の乾坤一擲の曲は受け入れられたのであろうか・・。
今や、電子機器無しの音楽は”ほぼ”考えられないが、当時の音楽業界の姿が、垣間見える作品。
年齢的に、知っている曲は僅かであったが、劇中で流れるエレポップが魅力的で(そうでないのも幾つかあったが・・)この作品のサントラ盤が欲しいぞ!。>
<2021年10月31日 刈谷日劇にて鑑賞>
雰囲気はよし、しかし中身なし
なんだろなー。昔、こんなことしてたんだーって思い出話を聞かされた感じの作品。
一時期、音楽で飯を食おうか?と夢に描いてドラムマシンで無敵感を感じた人にはど真ん中ホームランボールの作品ではないでしょうか?
そんな方々にはあるある感満載でビシビシ共感できるんじゃないでしょうか?
僕はそんな経験ないから、思い出話を聞いても「へー、すごいねー」で終わっちゃう。だから本作観ても同じ感想だなー(笑)
確かに好きな事に打ち込む姿やワクワク感は伝わるんだけど、そこまでなんだよな。映画としてのストーリーは弱いし、稼げないなんちゃってクリエイターにイラついたり。
曲作りに関しての熱いドラマが欲しかったかな?あー、こんな感想をもっちゃう僕はきっとアナログ人間なんだろな。
知らんオッサンよりも仕事仲間の言葉を信じろ
今ならチャンネル開設して有名な歌い手さんを呼べば即バズりだったかもですが
知らんオッサンの一声でアルバム作成が決まるとか、オッサンも責任重大ですねはよ引退すればいいのに(本音)
感性が同じ人との繋がりがとんでもない作品を産むという現象、素晴らしかった
題材は好き。センスも好き。 でも物語/映画としては……。音楽映画でもしっかりフランス映画でした;
うーん、個人的に微妙。
電子音楽の夜明け、そして女性作曲家のやり辛さを描いた映画。意外と後者の要素が大きいかも。
シンセの音、音楽への人々の反応は素敵。
でもストーリーがあまりに地味で……音楽映画でもしっかりフランス映画でした;
理解されない電子音楽。ナチュラルな女性軽視。こういう時代があったことをしっかり描いてる。
しかし、ただ取り扱ってるだけで、プラスワンモアの「で?」の部分があまりに弱いと感じました。
あと「ちゃんと仕事せい」ってので主人公に感情移入できなかったのが大きい;
冒頭のダンスシーンは秀逸。音楽に酔ってる感覚を見事に映画に落とし込んでる。
新しい音楽好きのおじさんがレコードを持ってきてかけるのがThrobbing Gristleってのでウホーつてなりました。
でもこのシーンあたりがピークだったかなぁ。
題材は好き。センスも好き。
でも物語/映画としては……
学生映画みたい
Pffとか学生映画の短編を観てる様だった。
ギャスパーノエのCLIMAXで聴いたあの曲の原曲は10分くらいあるんだ。
美しい主人公はホドロフスキーの孫だった。
唯一の発見。
女性進出を描くと言いながら、何かにつけて男性の影が見え隠れするのは説得力ゼロだった。
CR-78に魅せられて
主人公のアナがCR-78に出会い、作曲していくがエレクトロミュージックの夜明け前、そして女性がまだ軽んじられていた時代において中々認められるのは難しい
それでも世界中にこういう音を取り入れていった人達がいたから今があり、その一端に日本が関与しているというのも面白い
特別テクノ好きってわけでもないけれど、自分が生まれる少し前の時代、なんとなく懐かしい音が聴こえてきたし、カッコいいモノは時代関係なくカッコいい
1978年の日本ではYMOが活動を開始したんだそうで、劇中でも東京のレコードシーンは凄いと触れられている
のもそういう影響なんだろうか
電子楽器と女性先駆者
パティ・スミスのレコード「Horses」やジャニス・ジョプリンのTシャツ、ゴダール監督作「パート2」のポスター、Suicideはダサいと否定的なホド爺の孫、時代は70年代後半で個人的にはPunk、ニューウェイヴ、ポストパンクとピコピコ音楽なエレクトロには全くな程に興味は無く。
何者かになりそうで何者にもなれない達成感はゼロ、エンディングで讃えられる女性アーティスト達、アナの人生は何処にも交わらないまま、観ている側がもどかしい気持ちで鑑賞。
パーティーまで自分の部屋かとある意味での密室劇、弁護士の彼が素晴らしい好感度、最初から最後までアナには共感出来ない、何気に恵まれた環境過ぎる、だが自分の人生定まらず、夢は果てしないまま打ち砕かれる??
あの頃の音楽好きにはたまらない
電子音楽の夜明けは、フランスにおける女性の音楽業界での地位向上のための第一歩でもあった、ということで、これは音楽映画でありつつフェミニズム映画でもあった。
でーんと部屋に鎮座するアナログシンセサイザーの巨大なモジュール群は、あの時代を少なからず知ってるわたしからしたら垂涎の的ですよ。ほとんどのシーンがそのしつないだけでかんけつするところもなかなか良い。
TG(スロッビング・グリッスル)だとかアクサク・マブールだとか、普段聴いてはいるけど言われてみればあの頃の電子音楽カテゴリだったな、というくらいで、今まで自分が聴いてきた音楽の見方がちょっと変わった。サントラについてはもうちょっと詳しく知りたい。聴いてるはずだけど聴き分けられてない曲がかかってた気がする。
(個人的に)好みの類型だけど、確かにいろいろと細かい点が…
今年118本目(合計182本目)。
私自身は、子供のころは習い事の一環としてエレクトーンをやってました(趣味でやる範囲では学習グレード6級は、一応の終着点とされる)
さて、公式サイトなどにある通り、電子化していく音楽を、フランスを舞台にして描くという内容。
「学術系映画」とまでは言いませんが「音楽系映画」でもなく(それは、音楽ばっかり聴く映画?)、ある程度の音楽の趣味・知識があるのが前提かな…とは思います。
良かった点としては、音楽のこのような移り変わりを扱うという類型の映画は少なく(よく、バンドを組んで何をするだの(純粋な音楽映画)、古典音楽(モーツァルトの歴史とか)の類型の学術系映画は見ますが、その中間点くらいな位置にあるところです。
また、全体的な長さが短いので(80分くらい)問題提起としては少ないものの、「女性の職業選択の考え方」「人それぞれの感受性の違いの尊重」といった部分は(長さの関係で、完全には)描写されていないものの、理解することは可能です。
時代が1980年代と今から40年前と、今ではおよそ先進国なら当たり前な「男女同権」等の考え方は、日本はおろか、フランスでも軽視されていた、というのもまた一つ学習になりました。
一方で、他の方も書かれている通り、この映画、かなり「地味」です。
実質、「主人公が電子機器を使って音楽を作成する」「パーティに出席する」「ラストにパリ?の通りで話をする」という3か所程度しか出てこず、実質「屋内の2か所(自宅とパーティ)だけで95%を占める」という珍しい内容になっています。
ただ、それが直ちにダメだというわけではなく、当然、電子機器(今でこそ軽量化されているが、1980年代だと映画内で描写されているように持ち運びなど男性でも到底不可能)が出る以上、仕方なしかな…とは思えます。
また、「音楽映画」ではないにせよ「音楽を題材にした映画」である以上、もう少し音楽的話題を振ってもらえれば…という印象です。
とはいえ、フランス映画は「何らかの意味で」「余韻を残して」視聴者に趣旨を考えさせるという類型も多いのはこれもまた事実で、「当時(1980年代)男女同権なんていう考え方は理想と現実が乖離していた」など、考えることは多く、そういう点の描写も踏まえ、かつ、日本ではやはり珍しい「音楽を題材にした映画」という類型は少ないので、そこまで低評価にしませんでした。
評価は、下記が気になったものの、大きな傷ではないので、5.0にしています。
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(減点0.1)ごく一部ですが、映画の序盤で、音楽の演奏歴(ピアノでも何でもいい)や音楽学校(高校)など、ある程度知識がないと理解できない字幕があります。
ただごく少数ですし、「それが理解できないと全部が理解できない」というものではないので、この程度です(誰しも音楽に接していても、音楽理論(要は、演奏経験などで身に着けるもの)を学んでいるわけではない)。
(減点なし/他事考慮) この映画、先日(9月10日)、シネリーブル梅田のシアター1で見たのですが、開始前に「男性用お手洗いは向かって右側に……パンフレットも販売しておりますのでお帰りの際はぜひともお買い求めください」みたいな放送を流しているのですが、なぜかしら「笑いながら」放送しています(たとえで言えば他の方が足をくすぐった結果、「こそばゆい状態」で、「笑いながら」放送しているように「見える」)。
おそらく、スピーカーの故障ではないかと思うのですが(笑いながらこれらの案内放送をするわけがない)、「なんじゃこりゃ」ということにもなりかねないので(シネリーブル梅田さんでは、シアター1で時々この現象が起きる。シアター2~4では経験なし)、「映画館側が」注意してほしいです(スピーカーの定期テスト漏れ?)
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可能性に溢れたテクノの黎明期を楽しめるなら…
80年代前半から洋楽を聴き始めて、時代を遡って聴いたりもしたのだが、テクノはあまり通ってこなかった。それでも聴いたことのあるテクノは未来の音楽だなぁという印象は持っている。
本作はテクノの黎明期と同時代に生きた女性アナが主人公。リズムマシーンを出会いテンションが上がるシーンがあったりするのだが、その感激は今ひとつ伝わらない。でも、可能性に溢れていたんだろうな。
予想はしていたことだが、話にあまり大きな動きはない。さらに、アナのクリエイターとしての姿勢に疑問を感じてしまう。留守電聞かないし、締切守らないし、唯一出来上がった曲もボーカルの女の子がメロディ作ってるし。さらには大物に酷評されて泣くぐらいショック受けておきながら、レコーディングを見学に行ったところでアーティストから励まされたら今すぐ作業したい!とか言い出すし。
でも、時代もあるが、女性アーティスト・ミュージシャンの苦労は物凄く伝わってきた。まともに相手してもらえず、外見や性的視線にさらされ、生活のために自宅でマッサージしたりして。女性の自立の話として多少の重みはあった。でも、大きな評価にはつながらないかな。
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