劇場公開日 2021年7月1日

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スーパーノヴァのレビュー・感想・評価

全40件中、1~20件目を表示

5.0【失って悲しいと思うもの】

2021年7月2日
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上映館は多くないみたいだけど、多くの人に観てほしいと思った。

「失って悲しいと思うものは、良いものということ」

もし、それさえも忘れてしまうのであれば、もっと悲しいだろう。

忘れることも、忘れられることも、怖いし、そして悲しいのだ。

この作品は、こうした状況を巡る、サムとタスカのやり取りが切なく、しかし、とても暖かい。

エンディングでサムが弾く「愛の挨拶」は、エルガーが妻に送った曲だ。

イギリスが舞台の作品であることもあって、エルガーがチョイスされたと思うが、エルガーと妻が、階級(エルガーが庶民)、宗教(カトリックとプロテスタント)、年齢(エルガーが相当年下)を乗り越えて結ばれたことも、サムとタスカに重なるところがあるのだと感じる。

ただ、この作品には、こうしたノン・バイナリーについてあれこれ考えるところは、ほとんどない。

2人の愛し、信頼し合う関係が、あまりにも自然に感じられるからだ。

記憶が無くなっていくというストーリーが、そうさせていると考える人もいると思う。

しかし、僕は、コリン・ファースとスタンリー・トゥッチの演技が、僕達を終始2人の心の揺らぎに釘付けにし、他の考えを寄せ付けないようしているのだと思う。

認知症という物語の背景はありつつも、ジェンダー云々のカテゴリーを超えた、人が人を愛するというところにフォーカスし、葛藤を深く表現した秀作だと思う。

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ワンコ

4.5コリン・ファレルが顔も含め全く違う感じで、さすが役者。二人の過去は...

2021年12月31日
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鑑賞方法:VOD

コリン・ファレルが顔も含め全く違う感じで、さすが役者。二人の過去はほとんど語られないのに、ふたりの濃密な関係は感じさせる。
普通のカップルなら、情況に任せて、あえて言及しないこれからのことについて、二人は真正面から語り合う。ゲイゆえの向き合い方?
残酷な人の運命。

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Emiri

4.5切ないけれど

2021年7月22日
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鑑賞方法:映画館

120本目。
芝居と分かっているけど、日常会話に感じてしまう演技力。
大切な、共有したい思い出も共有できなくなると分かってしまうと切ない気持ちなる。
愛しているからこその覚悟なのか、思いやりなのか、我儘なのかは観る人の自由だとは思うけど、あそこで匂わせているから、切ない気持ちに涙腺がと言いたい所だけど、後ろのオッサンのすすり泣きが気になり、そこまで感情を持っていけなかった。

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ひで

4.5美しい風景に出会うと

2021年7月3日
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鑑賞方法:映画館

もう次にこの風景を見ることはないと気づく。
そんな映画だった。

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Momoko

4.0泣き虫サムは赤ワイン、ユーモア好きのタスカーは白ワイン。愛し合う二人は譲らない

2025年2月10日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

上は無限の星空、下は美しい木々に囲まれ川と湖が繋がる(奥入瀬渓流から十和田湖に急に視界が広がる風景のようだった)広々とした野原に抱かれた湖水地方。その上と下の間に沢山の人間達。サムとタスカー、二人を囲む家族と友人。時間は有限なのか?星空のもとでは有限も無限もないのか?

痛みの苦しさ、愛する相手と自分を徐々に忘却していく恐怖。私は両方とも怖い。忘れる側のタスカーがサムを思い決断しようとする気持ちが優しくも矜持あるタスカーらしかった。タスカー演じるスタンカー・トゥッチはダスティン・ホフマンのような雰囲気で素晴らしい演技だった。サム役はコリン・ファース以外には考えられない。立場が逆転して駄々をこねるかのようなサムは、タスカーが大好きな曲を演奏会で晴れ晴れと愛を込めて弾いた。タスカーは客席で聴いていたにちがいない。

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talisman

4.020年傍にいたからこその2人の考え

2022年12月4日
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泣ける

自分が認知症になったら?
パートナーが認知症になったら?
と。
ゆっくりと流れる時間のなかで、
2人の気持ちが痛いほど感じられた。

ラスト、見た人に委ねられた気がするけど、
自分は、やはりサムはまだ乗り越えられてなく、
でも忘れないで欲しいという言葉を
守ってるようにも見えた。

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ちくわぶまま

4.0コリンファレルの声が好き

2022年10月13日
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鑑賞方法:VOD

静かな映画。
尊厳死。いろいろ語りたくなるが、とりあえずコリンファレルが好き。
最後のお髭を綺麗にしたあとの顔がチョーゼツ好き。

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ボケ山田ひろし

4.0なぜこのタイトルを付けたのか。

2022年10月11日
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《天文》超新星◆新星(nova)より大規模な激変星。大質量の恒星が一生の最後に一気に収縮して大爆発を起こす<中略>放出されるエネルギーはすさまじく、太陽が一生の間に放出するエネルギーに匹敵するとされる。また超新星爆発によって水素より重い元素が作られ、宇宙に放出される。
発音sùːpərnóuvə、カナ スーパーノウヴァ、分節super・no・va

だそうです。劇中でタスカ―が女の子にお話しするシーン。秀逸です。

冒頭の暗転から、静かなピアノの単音にストリングスが重なり、ほんの小さな白い点が表れる。
その白い点が少しずつ増えていき、天体だと分かる。真ん中にある小さな白い星が少しずつ少しずつ大きくなる。しかしそれは画面全体からすると、とても小さい。気づくか気づかないか。それがゆっくりと周りにある星より大きくなったかなと思ったところで消えてなくなる。
冒頭からここまで、約2分。
スーパーノヴァという言葉が持つ強さからみれば、
とてもとても静かで長い時間をかけたオープニング。
そして、この静かなスーパーノヴァこそがこの映画を
見事に表している。

ストーリーは実に地味。
ゲイのじいさん二人のロードムービー。
しかし、その地味な旅路の会話やしぐさ、エピソードなど
長い年月をかけ培ったであろう2人の絆が
なんとも素晴らしい。さすが名優。

病気を宣告されてから
君に迷惑をかけてまで生きていられない。
僕の看病のためにピアノを手放すなど耐えられない。
それならば僕は喜んで命を捨てる。
いや、
君といつまでもいることこそが僕の生きがい。
君がいない人生など耐えられない。
それならば僕は喜んでピアノの才能を捨てる。
慈愛に満ちた、激しい感情のぶつかりあい。

そしてラスト。
ピアノの演奏曲エルガーの「愛の挨拶」。
いま一緒にいる人を生涯大切にしたいと
とても強く胸に響いた。

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にゃろめ

4.0静かな良作。

2022年10月5日
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鑑賞方法:VOD

ゆっくりと落ち着いて観られました。
人間関係は複雑ではなくて
実はいたってシンプルだと思う。
無理やり複雑かつ面倒くさくしてるだけだと感じます。
トゥイッチさん、ファースさん
英国俳優さんはカッコいいな。

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けはえ

4.0差別や偏見のない理想の世界、幸せな終末。

2021年8月25日
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主演二人の静かな眼差し、ウィットに富んだ会話、心吸い込まれるような湖水地方の風景、どこまでも広がる星空の中、一瞬の煌めきを放ち消えてゆく星。繊細で静謐な描写に浸る幸せを感じさせてくれる良作です。

最も心打たれるのは、ゲイカップルである主人公達をごくごく自然に受け入れ、包み込み、愛し労る周囲の人々の態度。
サムの姪がタスカーから「スーパーノヴァ」の話を聴く場面では、物語の核心とも言える話の内容はもとより、「叔父の男の恋人」という(少なくとも今の日本では)特殊な存在に懐き、尊敬の念すら抱いているような姪っ子ちゃんの眼差しにやられました。
差別や偏見のない、理想の世界がここにあります。

基本的には異性カップルでも成り立つ愛の物語ですが、「子ども」という未来に繋がる存在が介在しない分、今という刹那を慈しみながら生きる二人の姿が心に沁みます。
サムと周囲の人々の愛に包まれて旅立ったタスカーも、彼との愛を胸に生きてゆくサムも、満ち足りた幸せな人生と言えるでしょう。
独り者としては羨ましい限りですが、コリンのお尻を冒頭で拝めた眼福を反芻しつつ(美しい風景より結局これか 笑)生きていきたいと思います。

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ビワハイジ

4.0自分ならどうするか

2021年8月13日
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鑑賞方法:映画館

終始ドラマって感じで多少の効果音以外は湖水地方の美しい風景と渋い男性俳優2人の演技しかない。
長年連れ添ったパートナーが認知症で徐々に自分自身を失っていくのに直面し、彼からの提案でキャンピングカーで旅に出る。認知症に罹っているのは作家タッカー、そのパートナーのサムはピアニスト。お互いこの旅行に思惑を持っていそうな雰囲気が漂う。夫がアルツハイマー、妻が末期ガンのロードムービー「ロング、ロングバケーション」に少し似てるが、こちらは片方は見送るだけの立場でかつ、同性カップル。同性カップルならではの要素はないが、同性だからこその悲しみが伝わってくる。
最後、薬の入った箱を前に、サムが「ずっと一緒だ」と言ったので、こっちも2人で逝っちゃうのかと思ったが、ラストはピアノのリサイタルで終わったので、その選択は取られなかったのだろう。お姉さんの家であれだけ多くの友人に囲まれたのだから、その選択で良かった。
観た人みんなが、自分がサムなら、タスカーならどうするか、考えさせられる作品。
コリン・ファース、最初に見た「アナザーカントリー」は1985年頃?35年以上前か、美青年だったけど今回は優しいクマさんみたいだった。

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ミーノ

4.0難しいなぁ...

2021年8月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「愛しているなら許して欲しい…」って
いちばん難しいやつ。

「ブラックバード」だったり、「痛くない死に方」だったり…
自分の選択肢がそうなのか、
それとも映画業界に尊厳死的なテーマが多くなっているのか、
世の中の風潮なのか…

とにかく難しい問題。
逝く側、遺される側、どちらの気持ちも、現実にそこに在るから。

でも、もし、自分が生きる側なら、やはり、心の辛さを我慢して、
逝く側の思いを尊重するようにしたい。
逆なら自分の気持ちを優先させて欲しい。
日本の法律が許すならだけど…。

盛り上がりは然程ないが、淡々と描くことにより、リアルさが増しているし、
二人の心の繋がりの強さを余白で感じ取れる。
風景も美しく、二人の押さえた演技も素晴らしく、深く心に染みました。

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hkr21

4.0愛情の深さは一緒

2021年7月8日
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鑑賞方法:映画館

監督は異性、同性関係なく愛情の深さに変わりはない、ってことを描きたく本作を作ったそうです。
はい、それは静かで美しい映像と共に、十分に描いていたと思います。
主人公のカップルは旅にでています。その道中は、彼らの起伏ありつつも豊かであろう人生をなぞるかのようです。この演出とてもよいです。二人の会話を始め、作る空気感も見事です。さすがの演技力です。

全体的にセリフ少なめ、少ない描写で的確に説明してくれますから、ゆったり静かにクライマックスに向けて、物語が厚く厚くなっていきます。
愛するが故の言葉の数々に、想いの大きさに見てる方はホントに辛いです。頭だけの理解ではどうにもならないことだらけですよね、この世は。

ラストのまとめ方は余韻を楽しめ、、、いや、楽しむではないな。ずっと僕はこのエンディングの解釈について考えてしまってました。作中の二人がとても好きになってしまい、幸せになってほしいなぁって思ったからではないでしょうか?ワンコのルビーも可愛い。

答えは一つじゃない。愛の形の数だけあるんだろうな。

秀作です。

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バリカタ

4.0期待値を上げず自然体で

2021年7月4日
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観るべき映画でした。
人生はほろ苦いからこそ、よくも悪くも面白い!
そんな事を考えながらパートナーのいない私は、自分の行き方を考えてしまったのでした..

余談
某日本映画で同じようなテーマの映画があって、レビューしましたが、国民性なのか曖昧なラストで終わったことは、つくづく残念です。

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ソルト

4.0哀切の物語

2021年7月3日
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ピアニストのサムと作家のタスカーは、長年時間を共にしてきたゲイカップル。タスカーは病のため認知症が進み、いずれはサムのことも忘れてしまうと思い詰めている。
サムの久しぶりの演奏会のため、二人は車で旅をする。途中、サムの実家に立ち寄り、姉夫婦や友人の歓待を受ける。その夜、サムはタスカーが隠していたものを見つけてしまう。

湖水地方の美しい景色を背景に、老境に入った二人の旅を淡々と描くこの映画は、二人の抑えた演技と相俟って切々と感情に訴えかけるものがある。もちろん、愛し合う二人の性別がどのような組み合わせであっても一応は成り立つ物語ではあるのだけど、男同士だからこその哀切を感じさせ、何が起きたのかを思い描かせるラストも含め、余韻の残るいい物語だった。

なお、完全に余談だが、コリン・ファースがヒゲを生やすとああなるというのがちょっと個人的に衝撃だった。

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よしえ

4.0しみる。

2021年7月3日
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鑑賞方法:映画館

主演二人の演技に美しい自然、こころにしみる。相方が生きた記憶をどんどん失くしていったらどうするだろう。家族がいと友がいて人間関係があってこその人生だけど結局決めるのはふたり。思い想われ、そういう人生歩めただけで幸せかも…。

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peanuts

3.5どう最後を迎えるか。

2022年12月13日
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とても考えさせられる作品でした。
病気が原因で、日に日に忘れてしまう状況の中最愛の人とどう最後を迎えるか。
相手を思うからこその決断だけど、本当にそれが最良なのか、お互いに辛い最後だと感じました。
ハッピーエンドじゃないけれど、いい作品でした。

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ひっか

3.5人間の尊厳とは

2022年11月7日
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鑑賞方法:DVD/BD

年老いて人生の最期が見えてきたら人はどういう決断をするのだろう。
この映画も、人間の生と死、尊厳、愛を描いていて、考えさせられた。
静かな物語であったけど、主役の二人が演技とは思えないぐらい自然で、イギリスの湖水地方の風景も相まって、ついつい惹き込まれてしまった。
淡々とした中にずしりと重い課題をプレゼンしている作品。

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Jo

3.5老ゲイカップルの別れを切々と!

2022年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

名優2人の演技を堪能する映画です。
長年(20年)のゲイカップル。
作家のタスカー(スタンリー・トウッチ=実年齢52歳)
パートナーでピアニストのサム(コリン・ファース=実年齢61歳)
2人は大きなキャンピングカーで旅しています。
イギリス北部のハイランドを北上して湖水地方へ。
木立、丘陵の木漏れ日。
湖水へ向かう一本道は、目を見張るほどに美しい。
途中で茶色の中型犬ルビーと散歩に出て、行方不明になるタッカー。
なにか変です。
血相を変えるサムも少し変です。
サムの実家へ寄る。
そこにはタスカーの企画した懐かしい知人たちとのパーティー。
(タスカーはこのパーティーを自らの「お別れの会」と決めているのです。)
(そっとお別れしようと決めているのです。)
しかし、サムはタスカーの決意に気付いてしまいます。
サムの絶望!!悲哀!!

実はこの映画で私が一番に感動したのは、
ラストでピアニストのサムが弾くエルガー作曲の
「愛の挨拶」でした。
本当に美しい演奏(編曲)でした。
(この曲は本来ヴァイオリンの独奏曲です)
ピアノの編曲で聴いたのは初めてですが、サムの万感が込められていた。
きっとサムのタスカーへの想い。
タスカーは崇高な美しさに満ちたかけがえない存在・・・
サムにとってタスカーの代わりはいないのですね。
監督は敢えてタスカーの認知症の進行を具体的には描きませんでした。
(正直言って物足りないです。)

普通に歩ける。
普通に会話出来る。
(皮肉も冗談も言える)

けれど彼の創作ノートを見ました。
細かく精緻に書き込まれていたノートの終わりは、ミミズの這ったようなくねった線・・・
そして千切れたページ。余白・・・。
そのページが痛ましい!
タッカーの絶望感が迫るシーンでした。

サムにとってのスーパーノヴァ(超新星)は、タスカー。
永遠に彼に照らしてほしい。
彼に生きていてほしい!!
彼のいない世界は闇。

この映画は結論ではありません。
2人の人生のロードムービー。
道順を変えながら、立ち止まりながら、
旅を続ける・・・。
行けるところまで、行く・・・。

いつの日か、初めて会ったように、「挨拶」するでしょうか?
誰にも分からないのです。
人生の最後のページは!

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