「渾身の映画。でも、それを超える1枚の写真。」MINAMATA ミナマタ よしさんの映画レビュー(感想・評価)
渾身の映画。でも、それを超える1枚の写真。
水俣病を活写した世界的な写真家ユージン・スミスを描く物語。
史実をもとにした映画ですね。
名優ジョニー・デップが主演で(暗い歴史とはいえ)日本を描き、そして真田広之が脇を固めるとあれば、個人的には注目せざるを得ない作品でした。
そして、その注目と期待を損なわない、レベルの高い作品だったと思います。
物語のテーマは二つ。一つはユージン・スミスの物語。年をとり、トラウマを抱え、酒に溺れ・・・時代に取り残されたスミス。その彼がアイリーンという理解者を得て、水俣の惨状を目の当たりにし、水俣の人々と触れ合うことで、カメラマンとしての矜持を取り戻す姿を活写します。
もう一つは水俣の人々の物語。公害、病気・・・そして世間体。ある人は障害に苦しみ、ある人は介護に疲弊する。そんな市井の人々が、それでも家族を慈しみ、前を向いて闘う姿を描きます。
最後に写された「入浴する智子と母」。素晴らしい写真でした。2時間に渡る名優たちの迫力ある演技、その全ての演技に負けないだけの迫力と慈しみが、1枚の写真から溢れ出してきます。まさに、歴史の一ページを刻む写真だったと思います。
私的評価は4.5にしました。
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