劇場公開日 2021年9月23日

  • 予告編を見る

「経済成長の功罪」MINAMATA ミナマタ 映画野郎officialさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5経済成長の功罪

2021年10月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「水俣病」、正直当事者ではない自分は教科書のひとつの歴史としてしか捉えていなかった。
しかし世界中には今もなおそういった公害に苦しめられている、と戦っている人たちがいる。その現実を改めて知り、考えさせてくれる映画。

それは人々が豊かになろうと選んだ経済発展の代償であり、SDGsが求められる現代に背負わなければいけない十字架である。

同時にジャーナリズムの存在意義も描いている。
社会問題という負の現実を伝えるためには、真面目さだけではなく人の目を惹きつける美しさも必要になってくる。1枚の写真が世の中を動かし変えることができる。

目先の注目や利益のために権力との癒着や捏造が横行するメディア業界において、信念を持って真実を追求する大切さを教えてくれる。

なによりこの映画も人の心に届くための映像美が素晴らしい。カメラワークが巧みで、ボケやなめ、手ぶれを上手く活かしたカット割が印象的だ。

ストーリーはシンプルだが、苦悩する主人公の感情にフォーカスを当てた展開となっている。
ただその分ちょっと回りくどく感じたが、ジョニー・デップをはじめ世界で活躍する俳優陣の確かな演技で惹きつける。

この行き過ぎた資本主義と持続可能な世の中を叫ばれる今つくられたことが意義ある作品。

もの語りたがり屋