「"入浴する智子と母" 時として写真は語る」MINAMATA ミナマタ アオイアオさんの映画レビュー(感想・評価)
"入浴する智子と母" 時として写真は語る
2回鑑賞、パンフレット
ここではないどこか。水の音と子守唄、女性の横顔。
ニューヨーク。写真、暗室、JAZZと酒。
モノクロの距離感と印象。
カラーの親近感と現実味。
映画を通して一気に幼い頃に感じた"怖さ"の記憶が蘇る。
エンドロールで現在進行形の世界の公害問題を写真ではっきりと提示。
あまりの多さに圧倒させられる。
恥ずかしながら義務教育で少しなぞった程度の曖昧な知識と"恐怖"の印象だった
"水俣病"
1971年、ニューヨークから日本へ渡りファインダーを通して見た悲惨な現実を命懸けで撮り、世に知らしめ、闘う人々の背中を押した写真家と編集者がいた事、それにより世界を動かした事実がある事。
"ミナマタ"の苦しみに寄り添い、自身も戦争写真家として負った傷を抱えながらも再び生きる意味を得てパートナーと共に闘った事。
人間の弱さ、そして、受け入た芯の強さが見えた。
勇気ももらった。
彼がアイリーンと共に撮影するに至った
"入浴する智子と母"の写真は
あまりにも神々しく、全てを包み込むように揺るがない愛とありのままの姿が写真を通して語りかけてくる。
言葉にならない息を飲むほどの美しさ。
まだ終わっていない。解決には至っていない。
戦い続けていかなくてはならない現実にもどかしさを感じつつ、、
利便を最優先するが故に生まれる悲しみの可能性を忘れてはならないし、共生する術を考え続けることをやめてはならないとも感じた。そして、それらを想像する力を失いたくないとも、、
公害問題は人災だ。では環境問題は?" "社会問題は?""
エンドロールの壮大な歌は
その全ての闘う者たちへの応援歌であり賛歌であろう。落涙。
坂本龍一さん(教授)の劇判の圧倒的旋律と儚さと洗練された撮影、編集のテンポの良さ潔さが伝記映画として強く印象に残る、生きたメッセージが詰まった作品でした。
大きなアクションを起こさずとも知る事で向き合い考えて一人一人が行動する事で大きな何かにつながるのだろうと再認識出来る大切な時間になりました。
改めて、鑑賞出来てよかったです。気になる方は是非!
あれほどに"ジョニーデップ"ではない彼を見るのは初めてだった。
英語、日本語、きつめの熊本弁が飛び交うので聞き取りづらいため
(日本語にも字幕付きver.)をオススメします!www