劇場公開日 2021年9月23日

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「「いまさら水俣病か」 ではない歴史の事実」MINAMATA ミナマタ CBさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「いまさら水俣病か」 ではない歴史の事実

2021年10月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「いまさら水俣病か。1970年代の公害病だろ?」自分が最初にこの映画の話を聞いた時の印象。しかし、この映画はそれこそ、そんな考え方で忘れ去ろうとする俺に、「こんなことを再発させない唯一の方法は、みながちゃんと知って、記憶し続けることなんだよ」と教えてくれる。そして、そのことは、映画の役割のうちの大切なひとつなんだと、最近は痛感している。みなさん、ぜひ、観てください。

患者である少年キヨシのセリフ 「僕にさわるの、怖くない?」 これが、世間一般の水俣病に対する反応だったろうし、遠く離れた静岡で水俣病の話を聞いている当時少年だった俺自身もまったく同じだ。今あらためて激しく反省する。

1956年に最初の患者が確認され、1968年に厚生省が、「原因物質はチッソ水俣工場の廃液に含まれたメチル水銀化合物である」と認定した。この映画は、患者とその家族が株主として1970年の株主総会に参加し、1971年の訴訟に勝つまでを、数か月日本に滞在して水俣病の写真を撮り続けた「LIFE」誌の写真家ユージン・スミスの目とカメラを通して追う。
「LIFE」誌で公表された水俣病の現実が、日本を動かしたのも事実の一環であろう。
そしてスミス本人は、企業に忠誠を誓う多数派労組の暴行により脊椎を折られ、片目失明の重傷を負っている(暴行の容疑者は不起訴処分)。

水俣病の健康被害を訴える人とその認定問題は2020年代においても継続中。汚染海域の沿岸に居住歴がある人は約47万人。未認定患者で認定申請した2万2229人のうち認定されたのは1790人(8%)。(Wikipediaから引用)

「入浴する智子と母」の写真は、遺族である両親とアイリーンの話し合いにより、1998年6月、今後は同写真の使用を許諾しない方針と発表されたもの。今回の映画では公開されているが、ユージンの妻アイリーンは「この写真を大切にするなら今何をすべきかと考え『本物の写真を見せることだ』という結論に達した」と述べているとのこと(Wikipediaから引用)

引用ばかりになってしまったが、この歴史の事実をしっかり記憶しようと思う限り。そして、この映画はジョニーデップが製作したアメリカ映画。日本でも、(ドキュメンタリーとは言えないが) 多少の脚色でエンタテインメント性を付け加えて観やすくしてある本作のような 「事実に基づく物語」 である作品が、多く撮られるようになることを期待します!

本作のセリフにもあるように
・ 感情に任せちゃダメだ。何を撮りたいのか、何を伝えたいのかに集中しろ。
・ 知らないふりをしていることは、隠そうとしている方に加勢をすること。
・ 注目が集まれば、無視できないはず。

CB
ぷにゃぷにゃさんのコメント
2021年11月11日

コメントありがとうございます。
どうも映画そのものではないところが気になるもので。
メッセージ性が高く、公平な視点を持つ映画だったと思います。
ついでに銀塩写真まで説明してくれた、ということで、ありがたい。
100年先にも残っていて欲しいな。

ぷにゃぷにゃ
りあのさんのコメント
2021年11月10日

CBさん
コメントありがとうございます。
そうですね、日本も公害でも水俣だけじゃなくイタイタイ病も有るし、原爆で苦しんでる人もいるし、世界大戦中の苦しい状況、被差別部落の問題、など、題材は沢山あると思います。
ただ単に面白かった、だけじゃない、歴史の勉強になるような作品も良いですね。

りあの
everglazeさんのコメント
2021年11月9日

コメントありがとうございます。

仰るように、日本も事実に基づく映画をもっと撮れると良いですね!

everglaze
talismanさんのコメント
2021年10月27日

アイダは、重そうだなー、見るのやっぱり辞めとこうと思ってました。そうしたら忘れた頃にル・シネマに何となく応募したプレスリリースなんとか(要するにパンフレット)が当たって送られてきたので、見なきゃ悪いかなと思って見たら良かったです。

talisman
talismanさんのコメント
2021年10月27日

CBさん、こんにちは。パンフレットをたまに買ってもそれで満足して熟読しないのが悪い癖です。「いまさら水俣病?」と私は思ってました。でも皆さんの評価が高いので見たらやっぱり良かったです。

talisman