「最後の一枚」MINAMATA ミナマタ よっちゃんイカさんの映画レビュー(感想・評価)
最後の一枚
最後の一枚の美しさがただただ印象に残る。
美しいというと語弊があるかもしれないが、本当に美しく感じたのだ。
公害によって痛ましい姿になり、介助がないと生きていけない体になってもその一枚の写真から感じるのはそれらを全て超えた普遍的な親子の愛だった。
映画はこのラスト一枚に向けてドラマチックに構成されている。
水俣病患者とその家族の苦しみ、ジャーナリストとしての苦悩、企業の妨害それらを乗り越えて撮影されたあの一枚だからこそあんなに感動できるのだろう。
正直な話水俣病は義務教育で習った「歴史上の出来事」といったイメージだった。
しかし、この映画がきっかけで調べてみると現在でも水俣病関連の裁判や水俣病と認定されるかどうか、患者家族の生活の困窮など水俣病という公害はまだ終わっていない事を知った。
そういう問題提起の映画として偉大な役割をこの映画は果たしたとおもう。
が、やはり一部には脚色もあったようで写真の現像をしていた小屋が燃やされるなんてことは無かったらしい。
後、アイリーンとは水俣で愛を育んだように描かれていたが、実際は結婚してから水俣にきたらしい。
ユージンスミスが暴行を受けたのも水俣ではなく千葉県五井の工場だったらしい。
このように脚色されているということも念頭に置いておく必要があると思った。