「人生はインプロビゼーション」MINAMATA ミナマタ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
人生はインプロビゼーション
借金を抱え、酒に溺れている写真家ユージン・スミスは、ある日アイリーンと名乗る女性から依頼を受けて熊本県へと旅立つ。そこで見た現実は想像を絶する水俣患者の姿であり、意欲をなくしていたユージンを奮い立たせた。
一枚の写真は100の声に匹敵する。妥協を知らない暗室作業によって彼の作り出される作品にはまさしく魂が込められているもので、陰影が織りなす被写体には彼の心が映し出されるのです。「真っ暗闇のような黒とまっさらな白のメリハリ」という言葉がピタリと当てはまる。劇中ではアキコという胎児性水俣病の少女の写真がそれを物語っている。実際には「入浴する智子と母」公開の議論があったようだが・・・
写真に写った人は魂を抜き取られる・・・実は写真家も魂を吸い取られているのだ。と語るユージン。また、言葉が通じないのに足の不自由な青年と心を通わせ、カメラ指導もする。ユージンが人生を掛けていることがひしひしと伝わってくる中、気に入ったのが「人生はJAZZ」であり、即興(improvization)なのだ!バーのシーンではアート・ブレイキーの「モーニン」が掛かってるあたりでもジャズ好きなんだと伝わってくるのです。坂本龍一の音楽ももちろん素晴らしい♪
ユージン・スミスと後の妻となるアイリーン美緒子スミスの生き方についての伝記映画に水俣病についての物語。チッソに対する抗議運動意外にも、賠償金を受け取った人や認められない人との分断も描かれており、大企業の隠蔽体質をも告発している。エンドロールでは人為的な事件の数々も足早に紹介されていたり、現在もまだ続く訴訟問題が提起されている。2013年には日本の首相が「水俣病は克服した」と発言されたが、とんでもない。全く終わってないのだ!単に過去の公害問題ではなく、強者による弱者イジメという普遍的な問題提起をしている映画なのです。
※現時点で1500人が認定審査結果待ち、1800人が損害賠償を求めている。
今も未認定患者は大勢いて、当時3歳や4歳だった方に対してまで「汚染された魚を食べた証拠を出せ」と国は言う。福島第一原発事故にしてもコロナワクチンにしても患者と関連付ける医学的根拠はないと逃げる政府。これからも多くの人が犠牲となるであろう公害や薬害や原発事故。真実を突きつける勇気を持とうと魂を揺さぶられた思いになった。2021年度暫定1位。
kossyさん自営?おっ!お店行きますよ。店舗じゃないのかな。文章はkossyさんのほうが上手いよ。簡単に気軽に書けます。通勤電車、昼休みとかで書いてます。ぜひドラマ書いてほしい。鋭いの(笑)
kossyさん評論が今2位です。別の作品評論では3位。詩集は10位。前は他のが16位、20位。探偵小説家は前に36位だったけど多分上がる。もう読みに来てください。というかkossyさんと話したいな。
私も今年1位でした。もう確定かも。
それくらい世界で日本で現実に起きていることだよと。
より多くの人が知らなければ取り返しがつかなくなってしまう。
組織のリーダーは真の変化が必要だ。