「前作DAU・ナターシャと比べればストーリーははっきりしており理解し...」DAU. 退行 LSさんの映画レビュー(感想・評価)
前作DAU・ナターシャと比べればストーリーははっきりしており理解し...
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前作DAU・ナターシャと比べればストーリーははっきりしており理解しやすい。がシーン構成や演出のトーンは(所長室や幹部会議、実験シーンなどが増えているものの)前作同様で、6時間!の視聴は忍耐を要した。
時代はプラハの春が潰された1968年。閉鎖研究都市で成果を出せないが特権的地位は享受している科学者コミュニティと、それを国家への害悪とみなし治安的アプローチで対処しようとするKGB出身の研究所長、彼が手駒とする極右ナショナリスト的グループ。前作が全体主義の下で生きる個人に焦点を当てていたのに対し、本作は彼らのやりとり(科学者に対する反知性主義的挑発は本当に神経にこたえる)から、より広く、当時のソ連社会の一典型を描き出そうとしていると思えた。そして同時に、前作以上に、今日の民主主義社会に対する警告を強く含んでいると感じる。
追体験だとしても長すぎて皆に観てと言えないので星1つ減。
追記:ダウことレフ・ランダウは史実では1968年モスクワで死去とのこと。DAUプロジェクトにはまだ十数本の映画があると聞くが、時代を遡るのか、再び町が興されるのか。次回作も楽しみ(楽しくはないだろうが)。(クライマックスで彼の姿があったか記憶がないが、さすがにソビエト水爆の父の晩年がアレではアレなので、直前に家族の希望どおりモスクワに転居させたのかもしれない。)
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