DAU. 退行
劇場公開日:2021年8月28日
解説
ロシアの奇才イリヤ・フルジャノフスキーとエカテリーナ・エルテリが共同監督を務め、ソ連全体主義の社会を前代未聞のスケールで完全再現した映画「DAU. ナターシャ」の続編。本作ではフルジャノフスキーとイリヤ・ペルミャコフが共同で監督・脚本を手がけ、前作から10年以上が経過した1960年代後半を舞台に、前作では断片的にしか描かれなかった秘密研究所の内部で繰り広げられる複雑な人間模様を、全9章・6時間9分で描き出す。ソ連某地にある秘密研究所では、科学者たちが「超人」を作る奇妙な実験を繰り返していた。スターリンが築き上げた強固な全体主義社会の理想は時代の流れと共に崩れ、西洋文化が流入する中、かつては徹底的に管理されていた人々の風紀が乱れはじめる。上層部は研究所の腐敗を正すべく、KGBのウラジーミル・アジッポを派遣。自ら新所長に就任することで研究所を監視下に置いたアジッポは、特別実験グループと呼ばれる被験者の若者たちと親しくなっていく。
2020年製作/369分/R18+/ドイツ・ウクライナ・イギリス・ロシア合作
原題:DAU. Degeneratsiya
配給:トランスフォーマー
スタッフ・キャスト
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イデオロギー抜きで、全く面白く無い映画だ。騒がしいだけで、イライラしてくる。名監督の駄作と言われる戦争映画のパクリだと感じた。牛と豚の違いだけ。
さて、イデオロギーを加味すると、スターリン後の反スターリン主義(スターリン批判)が定着しつつあったソ連の政治体制を『退行』と表現して、俳優に狂気を演じさせている。つまり、スターリンの方がまともだったとも解釈が出来る。勿論、そうではないのだろうが。だから、現時点でのロシア政治体制の批判ともうかがえる。ロシアでは上映禁止だそうだが、ロシア人からしてみたら、ふざけた話だと思う。何がダンテの神曲か!と思った。イデオロギーを加味すると今まで見た映画でも最低の映画だと思う。騒がしいだけの長編B級ホラー映画と言った所だ。0点にしたが、マイナス20点位。個人的な意見を更に言えば、これ以上、このシリーズは続けて貰いたくない。時間の無駄。反スタは日本の造語でしょうがね。(反スタ反帝!)また、日本の分派した反スタ運動はこの映画と同じ狂気をたどるけど、こんな狂気ではないし、この監督がそんな事知ってるはずもない。反スタよりもスターリンの方が良いはずはない。
楽しい映画ではないことは最初から分かっているので、事前に気は重くなるのは仕方ないですね。で、やはりそのような内容なのだが、乗り切ると爽快感があります。
2021年9月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
ソ連時代の全体主義社会を秘密研究所を舞台にデフォルメする「DAU. プロジェクト」の第二弾。
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あまりにも冗長な「DAU. ナターシャ」で見切りをつけた方が多いと思う。ましてや6時間9分の長尺。絶対ダメだろうと思ったが、これは良かった。
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前作の50年代から60年代後半に時を移したあの研究所。皆、余りにも愚かだった。
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善悪を意識することなく軍事目的の研究を続ける人々。彼らは何も生まなかった。
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権力を笠にきてレイプさえも正当化する所長。
彼にモラルは無かった。
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そして恐怖政治の象徴でもあるKGB。
彼らが正義だった。
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これはアンジェイ・ワイダ、あるいはタル・ベーラの作品の対岸にある傑作。戦後、ロシアの影響下に入り自由を奪われた東側の人々を思った。理不尽に奪われた多くの人の命を思った。
2021年9月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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独裁大国にとって人権など存在しない。命のあまりにも軽い扱いに気が滅入る。個人が全体に取り込まれると最悪の怪物となる。最終的には一番手っ取り早く、素早い解決策である暴力で終わらせてしまうやり方は時代を問わず何時でも根底にある。全体主義の核は恐怖であることを、この監督は映像と時間を上手く使って見事に描いている。その上で、エンディングにおけるナレーションがいつまでも頭に残る仕掛けとなっている「地獄は魂が浄化されるところである」。
尺の長さなど気にならないほど良く練られたシナリオと手持ちカメラによる画面の落ち着きなさによる効果が見事にはまった濃厚な作りで、少しの綻びが大崩壊となる過程を丹念に描くにはこれだけの尺が必要だと妙に納得がいった。監督の狂気が素晴らしい作品を生み、その時間を共有した喜びの余韻はしばらく残りそうだ。しかし、心胆を寒からしめる内容であることには違いがない。