「こんなに登場人物の数と死人の数が合わない映画って」コンティニュー ハルクマールさんの映画レビュー(感想・評価)
こんなに登場人物の数と死人の数が合わない映画って
無いやろなー、各自何回死んでるんやか。
一日を何度も繰り返し系の映画は今までも無くはなかったけど、これはなかなか一気見できるスピード感で終盤まで頑張った作品。
既にもう100回以上今の生活を繰り返しているという冒頭の設定はなかなか斬新。主人公ロイはなぜ自分の命が狙われているのか、なぜ刺客があちこちから現れるの考える余裕がないまま、襲われて反撃、また襲われてまた反撃を繰り返す。
何しろ元特殊部隊の隊員だったことと、既に100回以上も同じことを繰り返し、その記憶を蓄積することができるので、刺客がどう攻撃しているのかもお見通し。はい、次はこっちに動いてここで鉄砲撃って、と全て記憶している。
もちろん、うっかり攻撃を忘れて命を落とすこともあるけど、何のことは無いまた朝の目覚めに逆戻りするだけ。
そもそも何故こんなことになったのか、どうもカギは元奥さんのジェマが何かを掴んでいるらしい。しかしそんな妻とはなかなか連絡が取れず、ついに連絡が取れそうになったところで元妻の会社の上司から意外なことを聞かされる。
まず、ロバート・ダウニーJr.のシャーロック・ホームズよろしく相手の攻撃を読みに読みまくるロイ。当たり前だ、昨日も同じことやってたし。この序盤の説明シーンが、ロイのとぼけたキャラも相まってなかなか面白い。ロイのこのとぼけ具合いが、ともすれば何度も死んで生きる系だと悲惨になりがちだけど、飄々としていて重くならずにいい。
前の日までの記憶もバッチリ残っているのがミソ(ここ物語でメチャクチャ重要)で、謎解きを試みるんだけどどこかでハイ、殺し屋登場となってなかなか進まない。なんとかロイも粘り強く解明していって、事の真相に近づいていく。
そこに、ハリウッドお得意の離婚夫婦と子供の家族模様も絡めてくる。息子っちの無垢な瞳が可愛い。けど学校はサボるな。
襲ってくる刺客たちがこれまたキャラ立ちしてて、戦いっぷりも死にっぷりもいちいち面白い。毎日のように会うのに名前を聞くとかできないので、刺客にそれぞれロイが雑なあだ名を付けていて、爆発男とか、自分に似たヤツをロイ2世とか、スマイル野郎とか結構適当に呼んでいる。剣客キャラの女性はその中でもかなりの強敵。どう倒すか、そこもこの繰り返せる時間をうまく使って解決している。
終盤は何故かジョン・ウィックもかくや!というガンフーアクションまで炸裂。
終わり方には賛否ある気がする。だけど、冒頭からグイグイ引き込んでいく独特の引力があし、不謹慎ながらロイの大雑把さがめちゃくちゃハマって何度も大笑い。
謎解きサスペンスにアクションやって、ベースはSFやのに家族ドラマで軽く泣かせるとかどんだけ盛りだくさんなんよ!
なので、大満足。