「カーナハン監督らしい歯切れの良さは健在」コンティニュー 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
カーナハン監督らしい歯切れの良さは健在
『オール・ユー・ニード・イズ・キル』『メメント』や『恋はデジャブ』を始め、今や一つのジャンルを確立した感のある”ループ・ムービー”。これらを描く上では特殊状況を引き起こす独創性や世界観のみならず、「繰り返し」をいかにリズミカルに描けるかというセンスや力量までもが不可欠となる。その点、ジョー・カーナハン監督はもともと息詰まる関係性や出口なしの状況を描くのに長けた人だから、はじめから緩急自在の快作になるのは運命づけられていたと言えるかも。抜群に歯切れの良いアクションと隠しキャラのごとき登場人物からも「スモーキン・エース」の頃のような遊び心の高さが伺える。生死を繰り返しながら経験値を高めていく流れはゲーム世界の専売特許だが、繰り返しの努力によって限界の壁を越えてゆくという発想は、むしろ一周回って現実的。久々にメル・ギブソンの悪人顔を堪能しつつ、頭をからっぽに気軽に楽しめる娯楽作と言ったところか。
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