決戦は日曜日のレビュー・感想・評価
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なかなか良かった!りえちゃんと窪田がいいね。
ちょうど、我が地元の市会議員選挙と合わせて見た。
宮沢りえが、なんかうっとおしかった!窪田の秘書ぶりも淡々としていい。隣国のミサイルや、中国からのウィルスなどこれから難題の時に、さあどうなるって感じかな?その後の話もみたいよね。
長いもの
Amazon Prime Videoで鑑賞。
とても面白い社会派コメディーでした。事なかれ主義の若手秘書を窪田正孝が、利権絡みの思惑で無理矢理出馬させられた世間知らずお嬢様候補者を宮沢りえがそれぞれ好演し、抜群のコンビネーションで物語を力強く牽引していました。
落選狙いの画策がことごとく裏目に出る展開はありがちながら、随所に挿入される政治の在り方や長いものには巻かれろの精神にチクリと釘を刺すシーンは見ていて痛快でした。
実際に川島有美みたいな人が政治家になってくれたら、日本はもう少し良い国になるような気がするんだよなぁ…
かくかく?
代議士選挙に担ぎ出された世襲議員の選挙活動の裏側をシニカルに秘書目線で描いた社会派ブラック・コメディ。描かれている世界は実際に選挙スキャンダルで度々報じられていることだらけだから、まるでドキュメンタリーの様でした。
最初の方は議員の娘、川島有美(宮沢りえ)のお馬鹿ぶりを延々描くのでうんざり。
もっとも、麻生太郎氏が「未曾有(みぞう)」を「みぞうゆう」、安倍首相が「云々(うんぬん)」を「でんでん」、菅首相が「疾病(しっぺい)」を「しつびょう」と誤読したのだから笑い事ではないのだが、有美の各々のかくかく発言はかなりブラック。
教養以前に基礎学力も疑わしい連中に国を任せて良いものか、民間では職に就く為には採用試験合格が必須なのだから議員にも試験があってしかるべき・・。テレビではお馬鹿タレントの無知ぶりをからかうクイズ番組があるが、出せるものなら政治家を俎上にのせて資質を晒してみたい衝動に駆られます。
もっともガーシー騒動のようにSNS人気だけで当選してしまう現実を考えると選挙民のいい加減さの方が切実な問題かも知れませんね。そんな、現状を顧みて、本作を観た若者が問題意識を持ってくれたら幸いです・・。
主権在民を考えれば、決戦は土曜日だ。
三権分立と主権在民を勉強しょう。
バカバカしい話だが、事実に基づく話でしょ。
早い話が選挙の方法を変えれば良いと思うが、ネットのキャパシティが大きくなったのだから、少なくとも小選挙制は止めるぺきだと思う。とどのつまり、代議士と言う概念を止めるべきだ。
これはもはや芸術ではない。
具体的に言って、直接民主制の時代だと思うよ。勿論、価値観が多様化している時代だから、アメリカの様な二大政党なんて駄目なのは火を見るよりも明らか。勿論、芸術面も含めて、世襲は淘汰すべきじゃないかなぁ?
代々、血統、伝統、絆、馴れ合い、こんな形で『PLAN75』が決まったら、たまらないと思うよ。
この行為は政治ではない。政治とはこの選挙で選ばれた者が代議士として、法律を作り、その代議士の中から選ばれた者(内閣)が、行政を執り行う事が政治。
小学校6年で今は習うと思うが、大学出た様な演出家がこんな映画を作っては駄目だ。
まぁ、ポピュリズムと言う問題は残るけどね。
結局は大衆の教育の向上しかないと思うが。
わたしたちの落選戦争
日本映画界は政治に忖度しているのか、鋭くメスを入れた社会派作品や風刺の効いたピリ辛作品などがあまり無い。
かと言って皆無ではなく、『新聞記者』は見応えと意欲ある社会派力作だったし、今から33年前、1989年に公開された『善人の条件』は邦画政治風刺の傑作。
本作も同ジャンルとしてなかなかの快作。コメディとして描いたのが面白い。コメディだからこそ、滑稽と風刺で笑い飛ばし、訴えられたものがあった。
地方都市。地元で強い支持を得るベテラン議員。
その秘書の谷村。学生の頃からこの世界に入り、まだ30歳の若さながら政治の裏表を知る中堅。
今の仕事にも満足していたそんなある日…
衆議院解散。と同時に、議員先生が病に倒れてしまう。
その後継者として白羽の矢が立ったのは、娘の有美であったが…。
新人候補とスタッフが当選目指して奮闘。
…と、一応はそんな話なのだが、
所々ユニークな展開を凝らしている。
有美は政界ド素人。意気込みだけはあり。
そんな有美を谷村らは嘲笑。仕方ない、色々教えてやるか。
出馬表明の会見の場。スタッフが用意した原稿を読み上げるが、ちょっと漢字が苦手のようで…。“かくかく”“かくかく”…。
街頭挨拶。炎上目当てで挑発してくるYouTuberにブチギレ。暴言に暴行…。
さらには後援会の古株面子と喧嘩。古株らは後援会から手を引くと…。
出馬表明してまだ日も経ってないというのに、こんなにトラブル続出。
こんなんでやっていけるのか…?
とにかく自由奔放な性格の有美。遅刻もしょっちゅう。コーヒーはアイスだホットだ、ミルクだ砂糖だ、細かうるさい。
政界ド素人故、言いたい事はズケズケ言い、ヘンな事はヘン。
それがスタッフを困らせ、後援会と見解の相違。
でも時々、的を射た事も言う。
政治が何も変わらないのは、私たち自身が変わらないから。まず、私たち自身が変わる必要がある!
…と、大声で力説。政治内部に嫌気が差して自殺しようと事務所のある建物の屋上から発したのだが、この時のスタッフ一同が慌てる素振りは全く見せず、至って平静。谷村にとっては自殺を“お手伝い”。ひょっとして、よくあるの…?
政治が変わらないのはやってる当人たちが変わらないから…と言うのは確かにそう。
それはそれ、これはこれ。今まで通り。暗黙の了解。事無かれ主義。
そんな描写は劇中にも…。
父親の失脚レベルの不祥事発生。有美本人には全く関係ない事だが(実際有美は全く知らなかった)、選挙に不利にはなる。そこで、一人のスタッフのせいにして、嵐が収まるのを待つ。勿論これはでっち上げ。政治家特有の“逃げ”。にも関わらずそのスタッフも当たり前のように嘘の罪を被り、その他スタッフも当たり前のような対応。
…こんな事していいの!?
父親が意識不明に。古株らは命の心配するどころか、亡き後の金の配分について激論。さすがに怒り心頭の有美は彼らを一喝。だが、古株らは…
「うるせぇんだよ、バカ女!」
「あんたの出る幕じゃない」
そこで知ってしまった有美が推された経緯。父からの推薦と聞いていたが、本当はそうではなく、古株らが自分たちの“操り人形”として有美を指名。しかも、父も同意の上。
有美の怒り、落胆、失望は計り知れない。
有美は雑誌記者にこの内幕の全てを暴露記事にして貰うよう密かに連絡するが…、すでに記者にスタッフの手が。別の記者に暴露しようとする有美に、谷村は穏やか口調で、しかし辛辣に押し留めさせる。
有美は出馬そのものを辞めると言い出すが、今となっちゃあそれも無理。多くの準備、人が動き、金も掛かっている。辞めたら全てが水の泡…。
政治は嘘と金と老害と男尊女卑と決まり切った必要悪(=ルール)で回っている。
政界こそ、何処よりも最大のブラック企業。
この世界を本当に変えるのは、無理…?
普通のやり方で変えようとしてもダメなら…。
ならば、イレギュラーなやり方で。
有美はわざと問題発言や行動を起こす。わざと選挙に落選しようとする。
問題起こして落選して騒ぎや注目を集めれば、反面教師的に訴え、何か変えられるかもしれない…。
有美の独断…と思いきや、谷村も協力。
きっかけは、一杯のコーヒー。事務所に置いてあるコーヒーマシンが、とにかく不味い。手伝いの若いスタッフは、「泥水」と。谷村は平然と飲んでいる。長年飲み続けて、麻痺してしまったようだ。
不味いなら変えた方がいい。コーヒーマシンもこの世界も。
目指せ、当選!…ではなく、目指せ、落選!
坂下雄一郎監督の作品を見るのはこれが初めて。
インディーズでオリジナル脚本のコメディやドラマを手掛ける俊英。
本作もオリジナル脚本。5年の歳月を掛けて執筆した力作。
エンタメ性と笑いと風刺と訴えを込めた手腕はなかなかのもの!
宮沢りえにしては珍しいコメディ。理想の政治家には程遠いかもしれないけど、政界や世間知らずの中にも一本芯が通った快演。
窪田正孝が巧演。一見人の良さそうに見えて、実はかなりのキレ者、デキる人! 味方だったら頼もしいけど、敵に回したら手強そう…。
他キャストで印象に残ったのは、音尾琢真。いつも怖い役が多い彼が珍しく穏やか優しい性格。そのギャップが何故かウケた。
地元に強いベテラン議員の娘。だから、ちょっとやそっとの事じゃ落選は無い。と言うか、当選はほぼほぼ決まってるようなもの。
落選目指すなら、ちょっとやそっと以上のスキャンダルを。
父の賄賂現場を抑えた映像を流出。
それが消し飛ぶような国際ニュース。バカみたいに喜ぶ古株スタッフ。
その映像を盗撮して流出。
あの手この手を尽くした“落選活動”。
こんだけ散々やって、もし当選でもしたら、あり得ない…いや、終わってる。
開票は…
普通だったら、万歳!万歳!…と喜ぶ所だろう。
まさかの当選に失望。
これ以上ない皮肉。
何をやっても政治は変わらないのか…?
ほとほとうんざりする政治という世界。
こんな世界から足を抜け出したいが、足を踏み入れてしまった以上、もはや無理。
やるしなかない。
政治を変えられるか、出来るか出来ないかじゃない。
やるしなかない。
やり続けていれば、いつかは変わる。
それとも、やり続けても永遠に変わらない。
政治家は今、何を思うか…?
かくかく(各々)が、かくかく(各々)の信頼を取り戻す
前半はキャラクター紹介的なコメディタッチの雰囲気。川島の娘有美(宮沢)がやる気とはうらはらにカラ回りしていく様子を描き、後半は秘書チームとやぶれかぶれ戦法で戦っていく展開。
どんなことがあっても、異常に冷静な秘書谷村(窪田)が鼻につく。
少しは焦る表情しろよ(お前は神か)
政治の暗黒面を見て、
正義に覚醒めた有美が谷村と共同作戦を張ったところでオシマイ。
「俺たちの戦いはこれからだ!」的打切りマンガ感。
どうせなら主題歌をドリカムにお願いしたらよかったかと(笑)
笑えない
予告を見た印象やと、もっと軽いコメディなんかと思ってたらブラックコメディやった。
しかも、笑えへん。誇張されてるとはいえ、腐り切った今の現実が描かれてるから。
宮沢りえが演じる二世議員候補は、小池百合子とか小泉進次郎みたいなテイストで、わかりやすく記号的過ぎる気はするけど、秘書連中の人を見下した態度、さらに彼らを完全に下僕以下の存在としか見てない地方議員や後援会の連中。腐ってる。
後半の落選作戦は無理があるし、そのために差別的な発信をするのは、現実の自称保守をデフォルメして腐してるんやろうとはいえ許し難い。
結局自分らのことしか考えず、差別が助長されることで差別される側への影響なんかお構いなしってことやし、どうなろうが自業自得としか思えへん。そんな方法選ぶなら立候補取り下げろ。大人ぶってしがらみに流される言い訳ばっかしてんなって感じ。
それに、支持層の反発を招きたいなら性差別解消とか入管の人権侵害とか、リベラルな発信とか政権批判した方が手っ取り早いやろし。
それでたとえ野党側の支持層が一部支持したとしても、票が割れて落選出来たんちゃう?
宮沢りえがブチ切れてクソ共皆殺しにしてくれたらいいのにって思うけど、スッキリさせへん結末は現実から目を背けさせてくれへんて意味でよかった。
清洲会議に割り込んだ宮沢りえを一喝した小市慢太郎、怖かったなー。内田慈さんも終始いい味出してたし、宮沢りえとかイケメン2人よりも、その他の秘書とか地方議員、後援会とか脇の人たちが光ってた。
安易に差別をネタにしてたりとか、自殺を仄めかす人への接し方とか、事前にアナウンスして欲しい。コロナ禍になって頻発してる芸能人の自死のニュースを想起してしまったし、精神状態が悪い時に観てたらと思うと恐かった。
現実の政治に対する無関心とか諦念とか絶望、それでも出来ることをするしかないってかすかな希望みたいなんを描けてるとは思うけど、トリガーになる人のこと考えんとそーゆーとこを軽視してるから説得力ないし、大いに問題あると思う。
もっと丁寧に考えて作って欲しかった。
Netflixドラマ版の「新聞記者」と同根の問題点を感じた。
異常な世界
とんでもないものを見た。
当選シーンを見た時そう思った。
これだけはちゃめちゃなことやっても当選できちゃうのが今の日本の選挙なんだよ。というメッセージが痛いほど伝わってくるものだった。
投票率アップのためにはこれ以上ない映画だったろう。
しかも、そのメッセージをコメディというものでオブラートにして硬いことが苦手な人にも伝わりやすいようにしてるのはすごい。
主人公たちが落選しようとしてる事が悉く裏目に出る所なんか思わず笑ってしまった。
ただ、爆笑するほどではない。
腹抱えて笑うようなコメディを期待していくとダメかもしれない。
役者陣の演技は皆さん素晴らしかった。
特に宮沢りえさん、最初に事務所に入ってきた時からわかる「面倒くさくてうざい女」感は素晴らしい。
窪田さんも怖いまでにドライであくまで仕事として候補者と接しているという一線の引き方の上手さ、切り替えの見事さ、その全てがよく似合ってて良かった。
特に屋上から飛び降りようとする川島に対して「どうぞ」と促す件なんか、川島に飛び降りる意図がないことを見透かしてる観察眼の良さも感じさせて良かった。
脚本も“最終的には”なるほどと思った。
特にうまいところを言うとお父さんの不正が発覚した時にどう対応するかを会議する場面。
それまでは革命家を気取っている川島が異常でそれに周りの秘書たちが振り回されるという構図だったのがこの場面では川島が正常で周りの秘書たち、即ち政治の世界が異常になる。
その人が異常だと思ったら実は逆で世界の方が異常だったという正に天地がひっくり返るような場面だった。
また川島父が危篤状態に陥りその後に秘書のリーダーと地方議員たちが言い争いとなり清洲会議状態になるところも最初は些細な言い争いから徐々にヒートアップしていく様子が上手く描けていて役者さんもとても演じやすそうだった。
ただ、この作品で監督は何を描きたいのかそこに途中疑問を持ってしまった。
最初は革命家を気取ってる人を皮肉っているかと思えば途中から政界そのものを批判し始める。
監督はいったいこの映画で今の政界を批判したいのか肯定したいのかどっちなのかがさっぱりわからなかった。
おそらくここで脱落した人も多いのではないのだろうか。
ただ、最後まで見るとなんとなくこの物語の全体像が見えて来た。
この映画は最初革命家を気取っていた候補者が革命家になるための決意を固めるまでの物語だったんだなと思った。
ただ途中監督の思想が前に出過ぎてるようなシーンも感じたし、途中そんな固有名詞出して大丈夫?とヒヤヒヤするような展開もあったりどことなく危なっかしく粗削りな感もある作品。
体質
映画は面白く、日本の選挙がつまらないって事を理解できた。
小市さんが素晴らしい仕事をしてる。
慢性化した選挙の権化みたいな立ち位置で、窪田氏も海千山千のゲテモノ感が凄まじい。
見てくれが凄い頼りなさそうなのだけど、やる事がエグい。ナイスなキャスティングだった。
コメディな事もあって間口は広い。
なのだが、自国の話なのでそうそう笑い飛ばす訳にもいかない。笑い飛ばせない事の方が多いから。
何が民主主義なんだと思う。
…いや、まぁ、民主主義なのだろう。
一部の民衆の為にこの国の政治はある。
崇高な思想も、情熱も無意味なのだ。
「選挙」っていうかなり強固なシステムが蔓延していて、それは辞書に載ってる「選挙」の意味とは全く違う。すっごい馬鹿にされてる。
この映画にしたって、結構な角度で抉ってる。
なのだが、きっと連中は歯牙にも掛けない。劇中にある理論と論理が浸透しきってるし、そういう風に調教もされてきてる。
そんなシステムに気付けて良かった。
どんどんやって欲しい。
ワザと関心をもたないように誘導されているのかもしれない。不確定要素に介入されても面倒なだけなので。彼等にとっては、それが安心安全な選挙と政治であり、安泰で盤石な世界なのだ。
そして、政治の腐敗は選挙の腐敗だと思える。
そして、そんな腐敗を改善する為にも選挙というシステムを利用しなければならないジレンマがある。
そんな仕組みを感じられて良かった。
終幕は濁した感じで歯切れもわるかったのだけど「現状」を的確に表現してたようにも思う。
全くもって、この国の選挙という枠組みは胡散臭い事この上ない。かなり無骨な問題作をかくも呑み込みやすい内容に仕立てた監督の力量を評価したい。
この作品を一過性のモノとしてタカを括ってる連中に一泡吹かせてやりたいと思うが…巨象に立ち向かう蟻のような構図に思えて仕方がない。
だけど、やっぱり観れて良かった。
今まであんまり切り込まれなかった世界だけに、一見の価値はあると思われる。
そして、チグハグな価値観を撒き散らす宮沢さんは、流石の一言だった。
第一声から違和感だらけのキャラを、その違和感さえも纏える資質に脱帽なのである。
今年度の俺的アカデミー主演女優賞を進呈したい。
小市慢太郎さんには助演男優賞を!
ムーブメントが起きるに越した事はないが、広く国民に見てほしい作品だと思う。
興味深いがストーリーに難
ベテラン国会議員の父が倒れ急遽後継に担ぎ出された娘と、父に長く付いてきた中堅秘書が選挙に挑む物語。
政治経験ゼロの候補は、議員事務所の秘書たち、地元の県市議会議員、後援会役員など海千山千の者たちが作り上げてきた慣習、しがらみに抵抗するが、父のスキャンダルや、地元の利益配分をめぐる争いに疑問がピークに達し……
基本はコメディで誇張があるが、選挙区での議員活動をめぐるドロドロした部分を凝縮して描いており、呆れつつもとても興味深かった。特に父の大臣時の収賄疑惑で当然のように秘書が責任をかぶるところや、ベテラン秘書が父議員の威光で裏で取り仕切ってきた地元議員関連業者への公共事業分配(談合)のバランスが、父が危篤になると即座に崩れ出すところはさもありなんと感じた。
ここまではよかったのだが、幻滅した候補と秘書が選挙期間中にとった行動と有権者の反応が荒唐無稽で、それまでのストーリー展開と質感が変わってしまった気がして楽しめなくなった。本作中での政治家に高潔さや誠実さは求められてないにしても、人物造形の一貫性は必要だろう。
まあ、世襲議員は何をやろうが当選するし、当選してからが(よくも悪くも)全ての始まり、という点は受け取ったが。
日本では政治コメディは難しいと感じる。自己規制があるというか、最後は綺麗事を言うしかないみたいな雰囲気が見える。本作は途中までは頑張っていたと思うだけに残念。
目的地のないドライブ
演者の演技レベルも高く、ちょくちょく笑えるシーンもあったのと、選挙、政治の実態を移していてなるほどなぁと勉強にもなった。
ただ、ストーリー構成が甘い。
前半の川島の奇行や世話焼き加減の描写が長すぎた故に、後半の腐敗政治にメスを入れようと立ち上がる主人公二人の描写が中途半端になってしまった。選挙というテーマに限定してた故に、展開の広げ方が中々難しかったか。もっと早くから腐敗政治中心に深く掘り下げていけば、盛り上がったと思う
痛快なコメディには
出演者は皆さん本当に演技が素晴らしい。
何を頼んでも美味しい居酒屋さんのように、どのシーンも見てて迫力がありました。
難しい題材を扱いながらも、引き込まれる演技で、時間を感じさせませんでした。
ただ、後味が。
ポリティカルコメディなら、じわじわ来るメッセージがほしい。
コメディでないと伝えるのが恥ずかしくなるようなベタなことを、笑いと勢いで突き進むから、最後に受け入れてしまうような、ありきたりな事を。
デイブのような爽快感を期待してしまっていました。
ちょっと、政治に携わる方々に失礼な形で終わってしまったのが、マイナス⭐︎2です。
無関心、見ない振りが印象に残る
意図した訳ではないが年明け1本目は政治がテーマの映画。ここでの星が当初より上がり気味だったので鑑賞。前情報無しで見たので、宮沢りえが候補者で『決戦は日曜日』という、なんかドリカム的なタイトルからして、さわやかな候補者の政治劇か? 前に見た政治をモチーフにした映画で中谷美紀がそういう候補者を演じてたしと思っていたら全然違いました……w。
川島有美(宮沢りえ)は衆院議員の娘で、父の病気で担ぎ出されるのだが、いいのは見栄えとやる気だけで、政治に関してはド素人で全くのカン違い候補。折に触れてポンコツ振りを発揮する。それを1番近くで支えるのが、私設秘書の谷村(窪田正孝)で有美のKY行動が図抜けてるので、それをカバーする秘書の手練手管がリアルで重労働感と苦心が伝わってきて、選挙の裏側をよく反映してると感心。私の選挙区でも世襲では無いがああいう候補(それも新人ではなく副大臣も務めた中堅だが)いるよな……。
ただこれは序章で有美の父の口利き疑惑の報道を受け、谷村とは別の秘書がやった事にする件や、父の病気の急変でまだ死んでないのに政策秘書とスポンサーが大口論をするなど政治の醜い面が明らかになるにつれ、自分を出せない有美の不満が爆発。谷村も初めは秘書の職責通り、有美の不満の抑制と事態の収拾に努めるが、前議員の有美の父が谷村の娘の私立校への入学を引き合いに、『本人のことを考えて言ってるつもりなんだろうけど、結局は自分(親)が思い通りにしたいだけなんだよな』と言ったのを機に谷村は考えを大きく変える。
谷村は有美の反発に共鳴して有美が“落選するために”(←ココ重要!!)、有美の父の口利き動画をはじめ有美にとってネガティブな情報を横流しするが、返って炎上でコア層を開拓したり、対抗有力候補の病気撤退や低投票率での組織票効果や、ミサイル騒ぎを受けた世論の右傾化による与党支持の増加などで“当選してしまった”。ことごとく有美と谷村の反抗は不発に終わるのであった。
印象に残ったのは、不調和が極まり可怪しくなった有美がふらふらと車に飛び込みそうになったのを谷村が体を張って防ぐのだが政策秘書をはじめとするほかの秘書チームが、よくあることだという風に無関心でその場を去ってしまうところや、谷村が政策秘書のパソコンから情報を盗むのに遭遇しても見ない振りする女性秘書。選挙になると方々から改革、改革と聞こえてくるがこういうところにありがちな日本的ともいえる腐朽した無関心で無責任な風潮が政治風土として根付いている限り(ちゃんとやってるところもあるでしょうし、それが大多数と信じたいですが)、政治を改変する活動は難しいと感じさせられた。
素直
政治や選挙を独特な角度で皮肉るコメディ。
新年早々良い邦画観たなぁと思いました。前半はとにかく熱意だけはある有美(宮沢りえさん)が暴走していく姿をニュース映像などの視点で面白楽しく笑っていたのですが、中盤をすぎた辺りで、「あれ?これ笑っていいのか…?」と思ってしまうほどの政治・選挙の裏の面に打ちのめされていく有美の姿を見ていると苦しくなっていく作品です。
良かった点
・前半の大暴れがとにかく大笑いできる。有美が飛び降りようとした時に秘書たちが冷静にマットを敷いて、敷いた上にゆっくり突き落として受け止めたり、YouTuberの突撃に思いきり立ち向かっていったり、後援会には容赦なく老人会と言い放ったりと、気持ちよく笑える瞬間の連続でした。
・現実が全てそうなのかは分からないけれど、秘書の苦悩と口封じ的な行動が妙にリアルで、今後選挙に行く時に立候補者を見るたびにそう考えるんだろうなーとムズムズ。
・北朝鮮のミサイル発射、女性差別な発言、少子化問題など、一部の方々が敏感なテーマを容赦なく扱うので、笑ってもいいのか?とは思いますが、結局は笑ってしまう不思議。
・成功しようとすると失敗、失敗しようとすると成功してしまうというコメディの常套手段でありながらもしっかり笑えて、最後の俺たちの戦いはこれからだ!的な展開も意外とカッコよく決まっていて良かったです。
・役者陣の演技、特に窪田正孝さんの表情と行動のバリエーションの豊富さに驚きました。誰か1人の演技に一点集中して見ても面白いはずです。
なかなか楽しい作品でした。大作多めなのもあり座席数自体はあまり多くないですが、時間に余裕が有れば是非見てほしい作品です。
鑑賞日 1/7
鑑賞時間 15:40〜17:35
座席 G-5
まずまず
議員というのは地元や後援者に利益をもたらすカネの成る木であり、あくまでも「顔」であり「神輿」。
その陰で、調整役や繋ぎ役として時に泥にまみれた仕事をするのが秘書。
それを象徴するのが冒頭の体育館裏のぬかるみでのおんぶのシーン。
まあ、分かり易いのだが、逆に言えば裏テーマを持った小難しいストーリーではなく、見る側の想定を逸脱しない範囲で展開していきますよ、という宣言のようにも見え少し押し付けがましく感じた。
その後も、「この仕事、子供をあやすようなところがあるから」という中堅秘書(内田慈)の言葉を強調するかのように自棄になった候補者(宮沢りえ)の飛び降りをアシストしたりするなど直球過ぎる脚本は、ある意味コメディとしての本分を踏み外さなかったとも言え、鑑賞後には妙な安心感を覚えた。
予告編を見るとおバカ一辺倒のコメディだが、配給元がクロックワークスということもあって、「世の中にはこんな非生産的なことをやってる職業もあるんですよ」というちょっと斜めから見た視点の入った作品。
ただ、選挙を題材にするのなら、娘が父の後継になることを決意する過程も描いても良かったのでは? というのは率直に思った。
個人的にはお気に入りの俳優の一人である音尾琢真が途中で退場してしまったのが残念。
事務所の番頭役を演じた小市慢太郎も好きな役者さん。
この人はクセが無く、どんな役もサラっとこなすので安心して見ていられる。
他の映画よりリアル。左思想の方は見るべからず
非常にリアル。もちろん実際と多少違うところはあるが、他の映画に比べて細部までリアル。
ネタバレになるので詳しくは書かないが、事務員?の女性が最後の方に秘書に話しかけたちょっとした内容も、リアルだなと感じた。
感動はあまりない。選挙って、秘書って、こういうものなんだ!というのをひたすら見る映画。候補者の葛藤も大げさだが結構リアリティがある。実際何も知らない人が候補者になるとそうなる。
保守党をモチーフにしていて左の方が見ると気分を害するのでご注意ください。
宮沢りえさん久々ですが良い味出してますね 窪田くんはだいぶ地味でし...
宮沢りえさん久々ですが良い味出してますね
窪田くんはだいぶ地味でしたね笑
議員秘書の絶望を描いてますが、もしホントにあんな感じなら現場から誰もいなくなりそうですね。。
後半からは
前半は、宮沢りえが歳とったな、わがままでハチャメチャだな、と正直、面白くない映画だなあと思ってましたが、
後半からは、宮沢りえが良い方向に向かい、政治の世界の表も裏も知った窪田正孝が困難と知りつつも、宮沢りえの意思を尊重するようあれこれ画策したり、しかしやっぱり、そうは思い通りにはならない虚しさを感じつつも、最後は腹をくくってあきらめずにやってみようというところが良く、面白かったです。
窪田正孝だけでなく、内田慈や小市慢太郎、音尾琢真もいい味を出してたと思います。
期待し過ぎて見たら期待外れに終わると思いますが、期待せずに見たらそこそこ面白いと思います。
それでも変えないと
前半が特に面白いよ。
政治の素人の宮沢りえがしきたりに翻弄されて、政治のプロ達はまさに「大人の対応」で丸め込んでくるの。プロ達の淡々とした対応がいいの。
想田和弘監督の《選挙》でも思ったんだけど、政治家本人より後援会が醜悪なんだよね。表に出てこない奴らがなに偉そうに言ってんのっていう。でも後援会ないと選挙に勝てないんだよね。この辺を変えないと。
後半は「地方議員の言いなりになるぐらいなら落選する」と頑張る宮沢りえと窪田正孝の策が奏功せず「あれえ?」って話だけど、そこまで面白くないのと、カタルシスが来ないのね。
政治の世界は絶望的にシステムができあがっていて、そこで新入りがまともなことを言うと「正論なんですけどね」と言われてしまう。
父の疑惑を秘書のせいにするときに宮沢りえだけが「おかしいよね」と言うんだけど、他の人間はスルーするんだよね。こういう状況は、仕事でたまにある。まともなこと言ってるのに、誰も聞かないのは恐い。
宮沢りえが「飛び降りる」っていうときも、淡々と処理されるんだけど、恐らく政治の世界では、一人の命に重みがないんだね。それも恐かった。
ラストは絶望的な状況を前に、それでもやろうとなって終わり。少しずつでも、やっていくしかないね。
宮沢りえは演技うまかったな。自分の主張だけを言うキャラクターが良く出てた。ビシッと固めた脇役に全く引けを取らない。
女性政治家というとみんな小池百合子都知事がモデルになっちゃってたけど、違うタイプで良かった。
政治ネタを入れ込んだ脚本も良かった。宮沢りえが主演するっていうと、このレベルの脚本がくるんだなと思ったよ。
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