「保安官の名がジョン・ディーコンだったら笑うしかない!地獄へ道連れだ!」リトル・シングス kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
保安官の名がジョン・ディーコンだったら笑うしかない!地獄へ道連れだ!
ちょっとした違和感のあるサスペンス。サメは止まったら死んでしまうとか、印象に残る台詞もあったけど、事件は一体どこへ向かうのか?と、不思議な気分にさせられた。いや、解決するでしょ!きっとするはず!という期待もどこかへ・・・
検挙率ナンバーワンの刑事がある事件と離婚と心臓病のため地方へ左遷。階級も巡査になってしまったデンゼル・ワシントン演ずるジョー・ディーコン。たまたま証拠品を回収するためロサンゼルスへと向かうが、そこで起きていた連続殺人事件に首を突っ込んでしまう。指揮を執る若手捜査官ジム・バクスター(マレック)は、休暇を取ってまで事件に協力するディーコンにのめり込んでしまう。いやはや、検挙率だけで判断しちゃヤバいよ・・・冤罪だって可能性もあるんだから。
ロサンゼルス市警ではディーコンのことを“疫病神”だとして嫌っていたけど、管轄外なのに文句も言えない。何故だかは終盤に明らかになるのだが、どことなく昔ながらの経験と勘に頼る逞しさをも信じてしまったのか、そのまま独自にスパルマ(レト)という容疑者を徹底的に洗うことになった。しかし、スパルマも狡猾で抜け目がない。彼には嫌疑をかけられても単なる犯罪マニアという烙印が押されていたのだ。アパートの自室には警察無線も盗聴していたんだから、相当ヤバい奴!
冒頭に出てきた女性が車に煽られるという恐怖体験シーン。彼女の証言によってまますますスパルマが怪しくなる。小さなことが大事になってしまう経緯も面白いし、善と悪に対する宗教観の違いも見せてくれる。結局は真相は藪の中。スパルマだったかもしれないし、そうじゃなかったかもしれない。確実に言えることはディーコンが犯人を追い詰めると、必ず不運な刑事が生まれるという事実。意図的ではないが、冤罪だとか隠蔽だとか、警察の黒歴史を作ってしまうという“疫病神”なのだ。
90年代というアナログな時代。携帯電話もGPSもない背景が古めかしさを表現しているし、60年代のオールディーズソウルがいい雰囲気を醸し出していた。サルは未だに活躍していたけど、バクスターはどうなっちゃうんだろ。自殺しなきゃいいのですが・・・