劇場公開日 2021年4月23日

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「【「むっちゃん!言い方!」】」別に、友達とかじゃない ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【「むっちゃん!言い方!」】

2021年5月3日
iPhoneアプリから投稿

思ったことが、何でも口から突いて出てしまう。

いるいる、むっちゃんみたいなの。

この、たかだか40分くらいの作品には色んなものが詰まっている。

私達、友達じゃないし。

友達であることを確認することはあっても、面と向かって、友達じゃないことを確認することは、なかなか無い気がする。

友達の定義って何だろう。
今は結構難しい問いであるように思う。
でも、高校時代はゆるーくしか考えていなかった。

時代が変われど、田舎の高校生なんて、多かれ少なかれ、この3人のように希望や、閉塞感と不安なんかを、ごちゃ混ぜに抱えながら成長していくのだ。

でも、田舎も都会も関係なく、若者は皆そうだとも思う。

ただ、僕達の高校時代より、もっと早い速度で世の中は変わり、情報も溢れ、もしかしたら、僕達より、その目まぐるしさに翻弄されたり、取り残される感覚を覚えているのかもしれない。

YouTuberなんてなかったし。

でも、昔から、エンタメ界を目指す人はいて、実際、僕の先輩の中には、誰もが知る俳優や歌手や、音楽関係者になった人がいる。

だが、それはそれ、そういう場所に立つことだけが「何者」かになるということではなかったはずだ。

元ヤンで、シングルマザーが一番吹っ切れてて、立派な何者かだったじゃないか。

今、帰省すると、田舎の商店街はイオンなど大型商業施設に取って代わられ、多くの人が、そういう場所で職を得てサラリーマン化している(悪い意味ではありません)。

そんなことで親の職業もバラエティが少なくなって、田舎の子供は多様な将来像を描きにくくなっているのだろうか…なんて、シリアスに考えてみたりもした。

でも、むっちゃん、なかみのない薄っぺらいことしか発信できないインフルエンサーになるより、数は少なくても友達でも作って、信頼関係を築ける人になるほうが良いよ。

涼子も、恵麻も、挫折は失敗じゃないよ。

三人とも、田んぼでドロドロになったことは大切な思い出だ。

たこ焼き屋を辞めて、パンケーキを焼いたって良いじゃない。

別に、友達じゃなくても、たまに話してみたって良いと思う。

それに、夢は、場所や年齢や性別じゃなくて、人に宿るんだよ。

君達は自由だ。

ところで、「むっちゃん!言い方!」って何度も口にする涼子をやった人、初めて見たけど、良い目をしてたと思う。

ワンコ