「奔放な血の繋がりの無い母の謎が」そして、バトンは渡された リボンさんの映画レビュー(感想・評価)
奔放な血の繋がりの無い母の謎が
苗字が何度も変わってきた少女の物語でしたが、
途中まで不思議だったのは、少女との血の繋がりの無い再婚で母となった女性の奔放さ。
そしてせっかく再婚して奥さんになったのに、夫がブラジルに行くとなった時、勿論遠すぎるし相談なく決められたのはあるけど、夫の連れ子と2人で貧乏暮らしでも母子家庭として何故そこまで頑張れるのか、
何故そこまで血の繋がりの無い少女を苦労して育てられるんだろうか、という疑問がずっとありましたが、
最後に全て語られて腑に落ちました。
また、過去に複雑な状況を体験すると、身を護る手段の1つとしてやたら笑ったり愛想よくしてしまう子ども時代になってしまうのもよく分かりました。自分の状況がどうも周りの同級生達と違う、と分かってもいちいち干渉されたくない、何か普段の家の状況を説明して「えぇっ?あなたいつもそうなの?!!」みたいに驚かれるのももう鬱陶しい。なるべく中休み昼休みは友達に話題を振って自分は頷く係に徹し自分に極力話題が振られることのないように気を付けるのが常態化しますから、
おそらくここを脱却出来るのは学生時代が終わり、大人になってから。そして自分とは異なるけれどやはり難しい家庭環境に悩んだり苦しんだり反発したりして苦労してる人に出会ってようやく「私の場合は親との関係性はこんなふうだったよ」と、吐露出来るようになって、色々なことが昇華されて、ようやく普通に生きていけます。そこの描写はよく出来ていて、共感しやすかったです。
3人もの父親達が穏やかに娘の結婚式で顔を合わせるなんて、なかなかなり得ない幸せな状況だと思いました。
実の父親ではなくとも、田中圭さんのお父さんぶりがとても好感の持てるとても良い演技でした!
ヒノマルソウルでは元エリートスキージャンパーにしか見えなかったのに、今度はちょっと冴えないけれど真面目な優しいお父さんにしか見えなくて、俳優さんて凄いな、と思いました。
彼のバトンが無事に渡せて良かった。
途中自然に涙が溢れる良い映画でした。。!