「思ってたのと違う…。」シン・仮面ライダー こっこさんの映画レビュー(感想・評価)
思ってたのと違う…。
実はずっと以前に、本作のレビューはしていたのですが、こちらのサイトが合併云々した際に、古いレビューを消されてしまった様なので、改めて記しておくこととしました。重複している部分があったらごめんなさい。
「シン・ウルトラマン」を観ていたお陰で、庵野作品と言えど《過度な期待はしない》で、劇場へ行きましたが、それでも1stライダーの物語ですから、どんな仕掛けを作ってくるのか興味津々だったのは確かです。
ところが正直に言って《エヴァ》の影響が本作にも出ており、生い立ちやら親との関係やらでゴチャゴチャと捻じくれた登場人物が多く、その点ではガッカリしました。
それは確かに《明朗快活な仮面ライダー》を改めて作ったところで、既存の(今やってる)お子様向けのライダーと変らなく成っちゃうのは分かりますが、どうしてこう皆が皆、内に籠った暗い生い立ちの人ばかりに成るのか、「またか…」とウンザリしました。
浜辺美波ちゃんだって、もう少し明るい役に設定したって問題無いでしょう。怪人同士も、知り合いだったり、敵対関係だったり、ライダーと戦う前に政府組織にヤラれちゃう長澤まさみさんの蜂女が居たりと、正直物語の構図が〈仮面ライダーの物語として〉理解できませんでした。
それから森山未來君演じる悪の組織と、池松くんのライダー(と柄本くんの2号)、そしてそれらの先端技術を狙う政府組織の三つ巴の展開も、少し前に何処かで観たような“既視感”が有りました。
但し、メカや装備等の技術面では全く問題無く、素晴らしいギミックに満ちたアイテムが出て来て、この点では流石お見事だと思います。CG合成等も派手に使わず、わざわざ人力で作り出すアクションにはやはり迫力が俄然違いました。
ところが、東映と共同で作る映画なのに「仮面ライダー」伝統の大野剣友会による《戦闘員の取扱い》がとても雑だったのには正直驚きました。
そしてその前後に、本作の製作の裏側をNHKのドキュメンタリーでやっていましたので、見たところ、監督は「大野剣友会さんには充分に頑張ってもらう」と事前に言いながら、撮影が始まると例によってドンドン異なるアイデアが浮かんで来て、やる事が変わってしまい、その辺から東映側の困惑が、画面からでも、ものすごく伝わってきました。
又、ライダー役同士での演技の擦り合せと云うか事前の関係性に関する話し合いについても、森山君が折角「やっておきましょうか?」と提案しているのに『別に、やりたきゃやれば?』みたいな返答をしていた点にも違和感を憶えました。
最終的な決着についても「どうしてそんなに煮え切らない答えにしちゃうかなぁ…」と、ため息が出る思いで終了。
戦闘シーンの迫力や、ワイヤーアクション、スマホで撮る等の『シン・ウルトラマン』でも活用された技術を使って、盛り上がった部分も少なからず有っただけに、勿体無いなぁ…と云うのが総括になります。
池松君だって、そんなに杓子定規に死なせる必要が有ったのかなぁ…。
監督が、若い頃自主製作で作っていた頃の「ライダー愛」は何処へ行ってしまったのか、甚だ疑問に感じました。
庵野監督、もう〈エヴァ的な展開に固執する〉のは止めていただけませんか?
エヴァは御自身でもう決着を付けたのですから、チョロチョロと他の作品に援用等せずに、スパっと断ち切って、新しい物語を作ってください。
そして出来ることなら『シン・宇宙戦艦ヤマト』じゃなくて『続 シン・ゴジラ』の方が余程観てみたいと、個人的には思っています。