「シリアス版キューティーハニー」シン・仮面ライダー だるちゃさんの映画レビュー(感想・評価)
シリアス版キューティーハニー
シンウルトラマンは樋口監督でしたが、シン仮面ライダーは脚本も監督も庵野監督という事で、本人が本当にやりたい内容を、本当にやりたい方法で、カタチにしたのが本作だと位置付けています。
言い換えれば、本作こそが、庵野さんの特撮映画監督としての実力(?)を表していると理解しています。
その前提で鑑賞しましたが、正直な処、テレビ版のマニアックな再現性(蜘蛛男戦のロケ地が同じ等)にはとことん拘られていた様ですが、ストーリー自体に斬新性はないのと、お話を端折り過ぎて、ストーリー展開自体が、悪い意味でのテレビサイズのレベルになってしまっていたという印象です。
例えば、蝙蝠男にせよ蜂女にせよ、蝶男にせよ、秘密結社の中枢部であるはずの敵のアジトに、何度でもフリーパスの様に出入り出来ているし、蝙蝠男はスタジアムを建てたのか借りたのか不明ですが、あんなに公然と利用出来るのか?とか、真面目に考えると(マンガなのだから、真面目に考えてはいけないのでしょうが。)、ツッコミどころが多過ぎて、常に冷めた目で見てしまい、最後まで波に乗る事が出来ませんでした。
本郷猛が死亡したのは驚きでしたが、石ノ森章太郎の原作を踏襲していたという事を後で知ったので、必ずしもテレビ版をなぞるだけではなく、原作マンガやスピンオフマンガ等の設定も取り込んでいたというのは、良い意味での拘りを感じました。
1番良いなと思ったのは造形で、コートを常用している姿とか、マスクは体と一体化しているのではなく、あくまで顔を隠したり、各種の機能を利用するためのデバイスという位置付けなので、頻繁に脱着したりという設定は、リアルで良かったと思います。
ただ、ロボット刑事もどきやイナズマンもどきが本当に必要だったのかな、というのには疑問を感じます。
最後に、2号が1号の遺志を引き継いで、緑色の新ライダーになるというのも、テレビ版の整合性も意識した設定で、ガチのファンにはたまらないのだろうなと感じました。
総合すると、ストーリー展開や、設定の雑さが目立つので、作品としての評価は、ニ十年前のキューティーハニーの頃から変わらないなという印象でした。