劇場公開日 2023年3月17日

  • 予告編を見る

「深すぎる原作愛+エヴァ要素が入ってちぐはぐ」シン・仮面ライダー mokusin takataniさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5深すぎる原作愛+エヴァ要素が入ってちぐはぐ

2023年5月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

難しい

結婚式で初代仮面ライダーへ扮し披露宴に臨んだという庵野秀明氏。その愛の深さが窺い知れ、この人が描く仮面ライダーが前作の内容からどうなるか予想出来たのと、ライダー作品の知識皆無ゆえ見送り予定だったが、本作の冒頭25分を特別配信で見てしまい、その冴えわたる演出に負け劇場へ足を運んだ---結果、概ね想定通りの話だったがラスボスの目的が呼称が違う“人類補完計画”だったのにビックリ。過去の一件で人に絶望したラスボス、彼は過激組織"ショッカー"に所属する幹部で人類を魂だけの理想郷へ送り出す計画を立て、その組織でバッタの怪人(劇中ではオーグと呼称)に改造された主人公が仮面ライダーを名乗りラスボスの妹であるヒロインと共に計画阻止に奔走する---てのが大まかな話。目的が世界征服は流石に…と感じたか現代風にアップデートした事で【シン・エヴァンゲリオン劇場版】のセルフオマージュになり、そこへシン・ゴジラから続く独自用語と小難しい理屈が飛び交うアニメ調の会話劇、とどめに監督の仮面ライダー愛が炸裂してるであろう原作再現演出などが集約された本作は、これまで以上に尖り倒したストーリーに変貌していた。

もちろん、エヴァから続くハッタリの効いた戦闘演出と描写は健在で、仮面ライダーの怪力がもたらすスプラッタ撲殺表現、一撃必殺も頷ける超高度からのライダーキック、ジェット噴射で空を飛ぶバイク、ハチ怪人の高速移動攻撃に量産ライダーの一糸乱れぬバイク追撃など冴えわたる部分もある、しかし大半は前述の会話劇に何で出したか謎の前作ヒロインの役者が演じるサソリ怪人のギャグパートは恥ずかしくなり、それまでの話の流れ上自然な展開とわかってもラストバトルが泥仕合めいた地味戦闘の末、エヴァかな?と既視感ある精神世界での語らいで締められる、どうにも本作は盛り上がり難い作風だった。

以上、粗削りで盛り上がりずらいとはいったが観た事自体に後悔はない、強いて言うなら派手な戦闘を求めると肩透かしを食らうので注意。

木神