「スッキリしない映画でした」シン・仮面ライダー torasanさんの映画レビュー(感想・評価)
スッキリしない映画でした
仮面ライダーは、1号本郷猛からストロンガー辺りまでリアルにテレビで見ていた世代です。それを前提にした感想です。
シン・仮面ライダーを観ましたが、よく分からなかったというのが第一印象です。良いも悪いも無く、ただ分からない。場面はどんどん転換してストーリーが進んでいくけれど、芯が無くて何のお話しでしたっけ、という感じです。
アクションシーンはCGが使われていて、戦闘シーンなんかは当時のテレビとは比べ物にならない迫力でした。ただ、リアルさを追求するならば、空中戦は無い方が良かった。足で踏ん張れない空中で殴り合っても、ダメージを与えられるのか疑問です。
また、残念なのは、爆破シーンがほとんど無いんですね。いや、あるんですけれど大き過ぎてリアルに感じられないんです。ライダーがバイクで走るその近くでドッカン、ドッカンと火薬が爆発するのを見て子供心にドキドキしたものでした。そういうのを期待していました。
あの頃とは火薬を使うルールが変わったのでしょうか?でも、CGならできると思うんですよね。
爆発といえば、ショッカーの怪人がライダーにやられた時も爆発せずに泡になって消滅していました。爆発してしまうと目立つし、消防も来てしまうでしょうから、秘密を守るという意味では泡というのはリアルでした。
しかし、テレビ版もそうでしたが、今回もショッカーの規模が小さすぎます。世界を変えるはずなのに、日本のある地域のお話し程度の規模感でした。
庵野監督のシン・ゴジラやシン・ウルトラマンで登場した政治的な部分は全く無く、その点は再定義してリアルさを付加するということは感じられませんでした。また、ヒーローものというより、人間ドラマ的な部分が大きかったように思います。
テレビとの関連性といえば、公安の人?が立花と名乗っていました。立花のおやっさんはそういう風に再定義したんですね。続編があるなら、ライダーとの関係性がどうなっていくのか、そこは興味を惹かれます。
エンディングが終わっても、スッキリすることはなく、心に重いものが残る感じがしました。全体が暗い重い印象を受け続けていたのですが、多分、原因は本郷猛です。彼に覇気が無いんですよ。ショッカーをぶっ潰すという強い意志があるわけでも無く、世界の平和を守るという使命感も無く、ヒロインとの関係性からショッカーに立ち向かうという姿勢です。主体性が無く、ナヨっとしていてアクションヒーローとしてはキャラクターが弱いと思いました。感情の抑揚を抑え過ぎた喋り方も、さらにそのイメージを強くしていたようです。
最後に、2号がバイクで走る場面がありました。これは、続編への伏線なのでしょうか。この映画はもしかして2号が主役で、エピソードゼロ的な2号誕生の背景説明の映画だったとしたら、ありなのかも。ただ、彼もアクションヒーローとしてはキャラが弱いと思います。
続編が制作されたら観るとは思いますが、アクション物が得意な監督さんにやってもらいたいですね。