「好みのテイストの作品ではあったのですが‥」シン・仮面ライダー komagire23さんの映画レビュー(感想・評価)
好みのテイストの作品ではあったのですが‥
(ネタバレですので鑑賞後にお読み下さい)
作品のスタイルとしては嫌いではない作品ではあったと思われます。
秘密結社SHOCKERとの格闘で容赦のない描写も(もちろん本当の私的な好みは別にあるのですが)逃げがなく好感を持ちました。
ただ、残念ながら、(庵野秀明 監督が脚本を書いた映画『シン・ウルトラマン』の時も感じたのですが)”これ?私達の人間社会に関係ある話なの?”とは一方で正直思われました。
私達の人間社会では、幸福も不幸も日常に織り込まれ、自身の内面の複雑矛盾と共に他の人達とも関係し、その曖昧さもある生活の中で、ささやかな自己肯定と内省を反復しながら日々生きています。
その(凡庸な)日常感覚からすると、この映画『シン・仮面ライダー』で描かれている「プラーナ」とか「人類の幸福」とか「ハビタット」とかの考え方は、(その考えの前提となっている)人間理解が余りにも単純化されていないか?と思われました。
そうなると、この映画は面白さはあるのだけれども自分にとってはあまり関係のない話だな、とはなりました。
細かい点を加えて言えば、今回の映画『シン・仮面ライダー』は、対人アクションが主な重要場面になっていました。
しかし、その対人アクションの見せ方も寄りのカットが多すぎて、他の映画と比べて、アクション全体を(アクションの斬新さ含めて)魅力的に見せられていなかったのではとも感じました。
(もちろん、(私には単純には思えた)世界観やアクションの見せ方は、原作や初期の特撮ヒーロー物としてのドラマ「仮面ライダー」に忠実に沿ったもので、その正当性は別にあるのかもと一方では思われましたが‥)
ただ、仮面ライダーとなった本郷猛(池松壮亮さん)の苦悩や、緑川ルリ子(浜辺美波さん)の孤独の寂しさは特に魅力的に伝わり、映像の見せ方も(アクション以外は)やはり庵野秀明 監督の非凡さが随所に見受けられ、見て不満がある映画では決して無かったなとは一方では思われてはいます。