「「シン・」シリーズのフォーマットにより磨きがかかった一作」シン・仮面ライダー yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
「シン・」シリーズのフォーマットにより磨きがかかった一作
『シン・ゴジラ』(2016)から四作目となる「シン・」シリーズの最新作です。登場人物が己の役割を遂行する姿に焦点を絞り込んだ(要するに「仕事中のところ」しか映さない)人物描写、独特のカメラアングルが生み出す映像の躍動感など、庵野監督がこのシリーズで取り組んできた様々な試みは、本作においてさらに完成度を高めた感があります。
加えて本作の冒頭で展開するアクションは、土くれと血しぶきが舞い散るかなり激しい描写で、『プライベート・ライアン』(1998)や『西部戦線異状なし』(2022)すら彷彿とさせるものした。「えっ、もしかして今回は流血描写にこだわったの!?」という予感がしたんだけど、本編ではそこまで過激な描写が続く、ということはありませんでした。ただ暴力描写が苦手な人は、この冒頭部分だけでもちょっと心構えが必要かもしれません。
仮面ライダー1号、2号がショッカーと戦うという、シリーズ最初期のリブートであるため、スタンプを押すとかの変身ギミックは控えめです(結構空は飛ぶけど)。最先端の「盛り」を期待するのではなく、オールドファッションなライダーたちのいでたちを、庵野監督がどのようにスタイリッシュに仕上げているのか、を楽しむ方向で鑑賞するのが良さそうです。
倒すべき敵の数もあらかじめ教えてくれるという、シリーズのこれまでの作品にはない親切要素も本作の特徴です。
あえて感情表現を抑制した人物描写からどれだけキャラクターの内面を引き出せるのか、その読み取りを楽しめるかどうかで評価が分かれそうな作品でした!
コメントする