「非情になれ、しかし、優しさは失うな」シン・仮面ライダー みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
非情になれ、しかし、優しさは失うな
作品の世界観が個性的であり、しっかりしていて揺るぎない作品である。登場人物のキャラは明確であり、分かり易い。この世界観に入れないと意味不明な作品になってしまう。この世界観に入ることが本作を楽しむ絶対条件である。
本作は、悪の秘密結社SHOCKERによって改造人間になった主人公・本郷猛(池松壮亮)が仮面ライダーとして、改造人間の生みの親・緑川博士の娘・ルリ子(浜辺美波)とともに、SHOCKERが送り出す怪人(オーグ)との戦いに挑んでいく、懐かしいヒーローアクション物語のリブート作品である。
TV放映開始当時に比べ、CG技術の進歩で、戦闘シーン、バイクの疾走シーンなどは格段に見応えのある出来映えになっている。
冒頭の戦闘シーンは過激であるが、正義行使のリアリティを見せつけている。正義を行使するとは敵を倒し血しぶきを浴びること。正義行使は、辛さを伴う茨の道であることを示唆している。心優しい主人公は正義行使に苦悩する。葛藤する。ルリ子に優し過ぎる、覚悟が必要と叱咤される。
ルリ子役の浜辺美波の振り切った感のあるクールビューティぶりが見事。迷いのない信念に満ちた台詞、行動は、力強さがある。彼女の過去描写は少なめ。主要登場人物も同様。主要人物像の掘下げ等のサイドストーリーは必要最小限にして、メインストーリーに絞って、迫力、スピード感を増すことを重視したと推察する。
迷える孤高の主人公は、SHOCKERとの戦いを通して、ルリ子と信頼関係を築いていく。そして、強さと優しさを併せ持つヒーローに成長していく。強くなければ生きていけない、優しくなければ生きる資格がないという言葉を思い出す。
新たなる希望で終わるラストが清々しい。続編を観たくなる。
本作は、確固たる世界観で、改造人間になった青年が、真のヒーローになるまでを描いた成長物語である。
シン・ゴジラを起点にした新解釈ヒーロー列伝も面白いが、そろそろ、新解釈ではなく令和の新生ヒーロー誕生物語が観たい。
映画単体としては、みかずきさんのレビューにまったく同意です。
しかし、私にとって本作は「仮面ライダー1号」ではありませんでした。(2号は令和の新解釈として許容範囲。蝶オーグのWタイフーンには「ふざけんな」って思いです(苦笑))
庵野氏の仮面ライダー愛も疑ってしまいました。
いっそリブートではなく、令和の新生ヒーロー誕生物語にして欲しかったですー。
みかずきさん、お久しぶりです。
本作、私の方にもコメントくださってありがとうございました。
私は、ゴジラもウルトラマンもオリジナル作品が好きだったのですが、シン・シリーズでは、庵野監督の「悪ふざけ」とも感じられる逸脱感が好ましく思えていました。
ところが、本作ではシリアスにすぎる作風で、ちょっと期待に外れたかもしれません。未読の原作は暗いストーリーのようですので、旧作テレビシリーズより本作の方が忠実なのかもしれませんが。
(サイボーグ009も、原作は悲しいラストだとか聞いたことがあったのを思い出しました。)
私は、最近劇場からすっかり足が遠のいていたにも関わらず、さっそくにコメントをいただけたのは、とても嬉しかったです。
ぴあ映画生活から引っ越して以来、さぼっておりましたが、時々は現れるかと思います。以前のように、また共感作で盛り上がれる機会がありますように。