「その姿だけで見る意味がある」シン・仮面ライダー nazionaleさんの映画レビュー(感想・評価)
その姿だけで見る意味がある
細かな点などもはやどうでもよくなるほどにビジュアルの完成度が高い。
基本的にオリジナルを踏襲しながらも随所により機械的かつ現代的なアレンジがされておりそのライダースーツの上にコートを羽織る姿は唯一無二の存在感を発揮しており余りにもクール。
勿論それを際立たせるための背景の整備、小道具や演出も見事なんだが兎にも角にもライダーが映し出されるだけで鳥肌が立つためもうその時点で完璧とすら言いたくなる。
オリジナルへのオマージュとリスペクト満載のBGMとそこに新たなエッセンスを加えられた特撮アクションに完璧なビジュアルの仮面ライダーが落とし込まれることでもう気持ちはヘブン。更にそこからライダーキックまで見せられればそりゃノックアウト。
サイクロン号の変身バンクも素晴らしく、初代同様搭乗しながらライダーへ姿を変える演出もにくいの一言。演じる池松壮亮のどこか闇を感じる存在感と業を背負い戦いを余儀なくされる1号との調和も素晴らしく説得力を帯びる。
2号のビジュアルもまた隙がなくスーツ造形やベルト造形も見事だがそれをより引き立てているのが一文字を演じた柄本佑のスラッとしたスタイル
最早立ち姿だけで様になる。
更に1号と2号に並び立たれちゃ勿論興奮を覚えざるを得ない。
そしてそのライダーの存在をより浮き上がらせる画作りも見事。庵野秀明特有の左右対称の画面構成と空撮も駆使しながらの引きの画、アップカットや下から煽るようなカット割り 2人の関係性を画面で写し取るような構図は流石であり、それがより彼らに説得力を持たせている。また海や夕日、そして風といった自然を活かした感情描写も繊細。
ということで演出面に関しては本当に個人的には完璧に近い。
ただストーリ面に関しては少し引っかかる。クモ、コウモリ、ハチはまだいいとしてもサソリや新種のオーグがあまりにもあっさりやられすぎでいやしないか。
ここは正直キャストサプライズのための駒にされた感が否めず、特にサソリは前日譚となる漫画ではメイン級のキャラであったため拍子抜け、より多くの展開を期待していた というのが正直なところ。
その他にも少なからずネガティブに感じ取れる部分もあった とはいえ、やはりこれだけ画としての説得力を見せつけられると納得せざるを得ない。
それほどまでに仮面ライダーという存在のカッコ良さを浮き上がらせており、個人的にフィギュアを並べたいとまで感じたのは初めての経験。
ビジュアル面だけでも何度でも味わいたくなる。