「庵野「シン」フォーマットに準じ」シン・仮面ライダー ますぞーさんの映画レビュー(感想・評価)
庵野「シン」フォーマットに準じ
仮面ライダー
映画は大人向け
テレビ放送は子供向けといった
方針だった東映によって
1971年から放送された
ヒーローシリーズ
単純な勧善懲悪なものと違い
陰鬱でストイックな雰囲気に
当初は人気が伸びず
加えて本郷猛役藤岡弘の
負傷降板もあり急遽設定された
一文字隼人で大きく普遍的な
ヒーローものに転換すると
これが大当たりし一転
社会現象となった
そこから休止期間を挟み
設定を時には大きく変えながら
未だに続いているシリーズ
である
今作はその仮面ライダーの
ゴジラやウルトラマンなどの
庵野秀明による「シン」
フォーマットに基づき再現された
初作をモチーフにしたリブート作
例によって
「最新CGで旧作当時の
特撮テイストを極力再現
(+アニメ調レイアウト)」
といった方針で
・バタ臭いせりふ回し
・仰々しい演出
・低予算感
といったものは据え置きで
設定は現代感のある解釈
だからMCUやトランスフォーマー
などのようなバリバリCGゴリゴリCG
の迫力あるシーンなんてのを
求める人にはまた酷評でしょう
まあ話題作なんだから
わからんでもないけど
いいかげん毛色をわかりましょう
とも思うけど
今作では改造人間
「バッタオーグ」にされた
本郷猛が緑川親子の手助けで
ショッカーから逃げ出し
追手と戦うという図式は
同じものの
本郷が力を欲したいきさつや
ショッカーの背景に
富豪が開発したAIに
「人類の幸福」を考え
それを実行するよう託し
その思考に基づいて
救済(と言う名の征服)
という今っぽい目的に
変わっています
まぁもともとショッカーの
首領の正体地球人だとか
諸説あるのであくまで
原作を踏襲した感じ?
後ろ髪が出ているデザインも
違和感を感じる人もいると
思いますがより人間がベース
そしてバイク乗り「ライダー」
である点を強調して
人間らしいシルエットを
絶妙に残した感じ
そこから戦闘員を倒すときの
過去のTV版からは考えも
つかないようなゴアなシーン
このエクストリームさに
引き込まれるところが
ありました
「政府筋の人間」として
二人のスーツの男が出て来ますが
「シン」シリーズでおなじみの二人
この二人と黒いアルファードだけで
政府の人と表現してしまうのは
スターシステムというか
憎い演出だし
低予算オマージュをたくみに
やるなぁと感心しました
ラスト付近で明かされる
二人の名前もそうだったのか
というサプライズ感
敵に関しても
「何を幸福と捉えるか」という
ある種の倒錯を抱えた敵ばかりで
ライダーと同じ何らかの哀しみを
背負いながらそれを半ば洗脳的に
覆い尽くされ道具にされている
といった背景を与えられ
必ずライダーが戦って倒す
わけではなくサソリオーグの
ように政府筋の人員で
倒されてしまうあっけないのも
いるあたりシン・ウルトラマンで
冒頭であっさり倒されてしまう
怪獣達に似たところもありました
庵野さんこういうのも好きね(笑)
今回のライダーのビジュアルも
それらの世界観を反映したもので
後ろ髪が出ているフォルムも違和感を
感じる人は多いでしょうが
あくまで人間がベースであり
葛藤を背負ってヒーローになっていく
存在として絶妙なポイントに
感じました
何かが欠けたままの人々が
時には衝突することで
どちらかが死に至るものの
その瞬間に真理を見いだす
庵野さんのエヴァンゲリオンや
ウルトラマンで見いだしてきた
人間の本質や理不尽さ
そして信じられる部分
テーマが伝わってくる
作品だったと思います