「エイドリアン・ライン+ベン・アフレック+アナ・デ・アルマスときたら?」底知れぬ愛の闇 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
エイドリアン・ライン+ベン・アフレック+アナ・デ・アルマスときたら?
この3人が揃ったら期待するな!!と言う方が無理でしょ!!
条件は揃い過ぎてるのに、それだけではダメという見本のような映画でした。
まず第一に驚くのは、伏線というものが一切ないです。
だから伏線回収の醍醐味がない。
ここが一番の欠点ですね。
監督はエイドリアン・ライン(ナインハーフ、危険な情事、フラッシュダンス、ロリータ、運命の女)
主演・・・ベン・アフレックとアナ・デ・アルマス。
原作・・・パトリシア・ハイスミス(太陽がいっぱい、見知らぬ乗客、アメリカの友人、
………………(ギリシャに消えた恋、リプリー、キャロル、ライク・ア・キラーなどが映画化されている)
これだけ条件が揃っているのに、ピクリとも心が動きませんでした。
(監督のエイドリアンさんが“運命の女“から20年振りの監督作品とのこと)
(ご病気でもなさっていたのでしょうか?お歳は81歳になられました)
ミステリーが原作なのに、
1、推理物ではない。
2、心理劇には近いかも知れないが・・・それにしては、アホ揃い!!
3、ラブスーリー、ではないし・・・愛と言うよりより執着?
ぶっちゃけて、簡単に言えば、
浮気症の美しい妻メリンダ(アナ・デ・アルマス)が交際する男が、
どんどん殺されて行く。
限りなく怪しいのは夫のヴィック(ベン・アフレック)。
・・・そう言うおはなし。
ラストの方で、ヴィックを“怪しい“と狙いをつけた作家の男(トレイシー・レッツ)が、絡んでくる。
まぁ、ここが山場なのだが・・・。
妻のメリンダが、嫉妬する夫のヴィックをヤキモキさせて、喜んでるという心理ゲーム??
そうかなぁ?
心理戦は不発だ。
(駆け引きがない)
脚本が不出来。
(役者の魅力がまったく引き出されていない)
その結果として役者(ベンとアナ)が大根に見えてしまう。
小さなエピソードをチビチビと重ねて、重層的で立体的に見せる工夫がない。
その結果として、期待が高まらない。
近所の噂や娘の幼いトリスタまで、
「殺したんでしょ!!」
「ねえーどうやって!!」
この辺のあからさまな疑惑は、ちょっと風変わりだが・・・
それから、エロティック・サスペンス風でR 18+、と書いてあるが、ぜんぜんそんなことないです!!
アナ・デ・アルマスは一応脱いだりしているけれど、
綺麗だな、
可愛いな、
でおしまい。
美しさに凄みや深さがない。
(本当に陰影のない女優さんですね。泣き顔とか、女の怖さとか、切なさ、
(特に切なさは微塵も感じられず!!)
一応推理作家のパトリシア・ハイスミスの原作なら、犯罪を描いて欲しかった。
題名はDeep W ater
邦題は『底知れぬ愛の闇』
妻の浮気相手の排除に執着する夫役のベン・アフレックには、
《闇》も《サイコ》も演じきれていない。
(ベンに心の闇は無理みたい)
同様に淫乱な妻、
アナ・デ・アルマスにも、
(夫を滅ぼすほどの『魔性の女』には見えず)。
2人がただのバカップルに思えたのだった。