配信開始日 2022年3月18日

「エイドリアン・ライン+ベン・アフレック+アナ・デ・アルマスときたら?」底知れぬ愛の闇 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0エイドリアン・ライン+ベン・アフレック+アナ・デ・アルマスときたら?

2022年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

この3人が揃ったら期待するな!!と言う方が無理でしょ!!
条件は揃い過ぎてるのに、それだけではダメという見本のような映画でした。
まず第一に驚くのは、伏線というものが一切ないです。
だから伏線回収の醍醐味がない。
ここが一番の欠点ですね。
監督はエイドリアン・ライン(ナインハーフ、危険な情事、フラッシュダンス、ロリータ、運命の女)
主演・・・ベン・アフレックとアナ・デ・アルマス。
原作・・・パトリシア・ハイスミス(太陽がいっぱい、見知らぬ乗客、アメリカの友人、
………………(ギリシャに消えた恋、リプリー、キャロル、ライク・ア・キラーなどが映画化されている)

これだけ条件が揃っているのに、ピクリとも心が動きませんでした。
(監督のエイドリアンさんが“運命の女“から20年振りの監督作品とのこと)
(ご病気でもなさっていたのでしょうか?お歳は81歳になられました)

ミステリーが原作なのに、
1、推理物ではない。
2、心理劇には近いかも知れないが・・・それにしては、アホ揃い!!
3、ラブスーリー、ではないし・・・愛と言うよりより執着?

ぶっちゃけて、簡単に言えば、
浮気症の美しい妻メリンダ(アナ・デ・アルマス)が交際する男が、
どんどん殺されて行く。
限りなく怪しいのは夫のヴィック(ベン・アフレック)。
・・・そう言うおはなし。
ラストの方で、ヴィックを“怪しい“と狙いをつけた作家の男(トレイシー・レッツ)が、絡んでくる。
まぁ、ここが山場なのだが・・・。

妻のメリンダが、嫉妬する夫のヴィックをヤキモキさせて、喜んでるという心理ゲーム??
そうかなぁ?
心理戦は不発だ。
(駆け引きがない)

脚本が不出来。
(役者の魅力がまったく引き出されていない)
その結果として役者(ベンとアナ)が大根に見えてしまう。

小さなエピソードをチビチビと重ねて、重層的で立体的に見せる工夫がない。
その結果として、期待が高まらない。

近所の噂や娘の幼いトリスタまで、
「殺したんでしょ!!」
「ねえーどうやって!!」
この辺のあからさまな疑惑は、ちょっと風変わりだが・・・
それから、エロティック・サスペンス風でR 18+、と書いてあるが、ぜんぜんそんなことないです!!

アナ・デ・アルマスは一応脱いだりしているけれど、
綺麗だな、
可愛いな、
でおしまい。
美しさに凄みや深さがない。
(本当に陰影のない女優さんですね。泣き顔とか、女の怖さとか、切なさ、
(特に切なさは微塵も感じられず!!)

一応推理作家のパトリシア・ハイスミスの原作なら、犯罪を描いて欲しかった。
題名はDeep W ater
邦題は『底知れぬ愛の闇』

妻の浮気相手の排除に執着する夫役のベン・アフレックには、
《闇》も《サイコ》も演じきれていない。
(ベンに心の闇は無理みたい)
同様に淫乱な妻、
アナ・デ・アルマスにも、
(夫を滅ぼすほどの『魔性の女』には見えず)。

2人がただのバカップルに思えたのだった。

琥珀糖